ベルナップ
私は今、ショーの時に上皇人が話しをした内容を思い出そうとしていた。
『能力が発生しただったか? それから、アレって雫石の事だな』
それから、『ブレンダーズルーム』に居た狼男が……。
『幻獣の力を手に入れたって言ったのは、あの彫刻のような幻獣がラキに入っていたからなんだな』
ようやく、わかってスッキリしたな。
「なーんだ」
「ライル様! なーんだとは聞き捨てなりませんよ」
ベルナップの従者、ルーミスが火を吹きそうな勢いだ。
「そんなに怒る事か?」
「ベルナップ様は、ご領主様の跡をお継ぎになる大切なお身体ですのに! 何故、止めて下さらなかったのですか!」
ラキがビクビクして、私の後ろに隠れようとしているな。
「あのさ、だからこそ『幻獣の力』を手に入れられて幸運だった筈だろう?」
あれから、ベルナップとしては目覚めていないので、こうして、砦内の一室のベッドに眠っている。
「ルーミス、お前が怒るとラキが怯えるから、ベルナップが目覚めたら呼んでくれよ」
「待って下さい! 目覚めた時に、いつものベルナップ様では無いかもしれないでしょう。『一緒』に居て下さい」
「フゥ」
「ん~、ライルゥ、いっしよ」
「わかってる」
『ルーミスの奴、知っていて「一緒」って言いやがったな』
あれから、プランツ達は、最上階から漏れる様々な光りと咆哮に怖じ気づいて、降りて工兵隊達を逃がす手伝いをしていたんだと。
そして、その恐ろしい咆哮は、二種類聴こえたそうだ。
会話しかしていなかったと思うが……。
外で成り行きを見守っていたベルナップ達に報告したところ、「ラキ君だけでも助けなければ」と言って塔に向かったそうだ。
隊長は、途中でへばってしまったベルナップを背負って上がって来てくれて、最上階の一歩手前で倒れたんだと。体力ねぇな。
『あれ? ベルナップの奴、あの時、ハァハァ息をきらせていなかったか? あ、わざとか』
「わっ!」
ガバリと起き上がったベルナップに、ルーミスは一歩引いたな。
「ライル! 聞いてくれ。僕の中に置物が居座っているんだよ!」
「あ~それ、幻獣だ。仲良くしろよ。これからあんたの力になってくれるんだからな」
「『幻獣』? 『力』?」
「あ~、ラキ、ん~?」
「ラキ君。無事で良かった。心配したんだよ」
「ラキを助けに来てくれるなんて、少し見直したぜ」
「僕が指揮をしていたのだから当然だよ」
「んー!」
ラキが珍しくベルナップに、訴えていた。
「何かなラキ君?」
一所懸命に指をさしている。
「ああ! 置物の名前を訊いたのか? って言っているんだろ?」
「あ~、ライルゥ、そお」
ラキは、ニコニコと嬉しそうな顔をした。
「えっ! 名前? ちょっと待って、今、訊いてみるからね」
目をつむったベルナップ。
「わかったよ。グァルルゥって……」
名を口にした瞬間、ベルナップの中で何かが起こったようなんだ。白目を剥いている。
「ベルナップ様!」
下がっていたルーミスは、ベッドにしがみついて主を心配した。
落ち着くのを待っている間は、とても長い時間のように思えたな。
「相棒、これで『一緒』やな」
ルーミスは驚愕していたが、私とラキには意味がわかった。
「いっしよ、いっしよ」
ラキが仔犬のように跳ね回って喜んだ。
「ベ、ベルナップ様……あの、髪が……」
「うん? 髪がどうした?」
いつものベルナップに戻ったようだが、正面の髪がクルンと巻き上がってしまっている。
『ん? ラキの頭頂にある髪……それに、ディミトリの角のようなツンツン髪……そして、ベルナップの前髪が巻かれた……』
「成る程なあ」
「ライル様! 何が成る程なんですか!」
「ルーミス落ち着けって」
「今、主に何が起こったのですか? ご説明を!」
「ルーミス、心配をかけてすまないね。だけど、ライルが言うように僕は、『力』を得たみたいだ」
「『力』ですか? ベルナップ様は、既に、ご領主様の跡継ぎとして指名されておられますが?」
「そんなの、何の意味もないよ。僕自信が優れていなければこうやって、小さなラキ君まで危ないめに遇わせてしまうんだからね」
ベルナップからは、いつもの頼りない感じが薄れた気がしたな。
折り返し地点なので、少し休みます。f(^ー^;




