閑話 砦内での陰謀
「ヒッヒッヒ」
いつまでも笑いが止まらない私に、プランツとミールとジュマルはブー垂れた。
難を逃れたニーアとフローズ、ベルナップは良かったが、三人を庇ったルーミスや隊長が酷い顔で、この腫れ物は十日間はひかないそうだ、ヒッヒッヒッ。
砦の片付けの合間に、麻袋で覆面を作ったプランツ達と、ニーアとフローズも、砦から融通してもらった軽い兜に、格子状の布を巻き付けた物を作ったそうだ。
見慣れたら何とかなるかと思ったが……私の腹筋は崩壊しつつある。
だってな、鼻からハート型の腫れ物が飛び出ていたり、唇からのなんかは表現出来ない程滑稽なんだぞ。
しかもそれが、厳つい顔した男なんだから、やっぱり「それは、何の冗談なんだよ」って言いたくなるって。
こうして、皆が笑って復旧作業が進まない中、今度は、ある陰謀が起こったんだ。
*
遡ること数時間。
砦横にある森に集まった若者四人。
「アレが手に入ったのか?」
「けっ! 砦内の壺の中にはまだ沢山いやがった」
「それじゃあ、生きたまま捕獲できたんですね?」
「けっ! たりめえだ」
「……」
「じゃ、今夜決行するんですか?」
「けっ! 次は奴等の番だぜ」
「これで、少しは気が晴れるな」
「……」
昼間の騒ぎや後片付けがあり、全員疲れて眠っている。
そんな、シーンとした砦内を蠢く四人の男達がいた。
どうやら四人は、麻袋を被って顔を隠して(保護)いるようだ。
各、大部屋の扉をスッと開けて、壺の蓋を開けて中身をあけたら、壺を回収してソッと扉を閉めた。
そうして、大本命の部屋の前に立った四人。
「すまない。ラキの引き剥がしは無理だった」
「けっ! どうすんだよ」
「入って直接咬ませるしかないだろう?」
「……」
四人は頷くと、ソッとその扉を開けた。
こっそりベッドに近づいたところで、腰を抜かしそうになる。
眠っていると思ったラキが、上半身を起こしてこちらを見ていたのだ。
しかも、逆行で見えない筈のラキの零れそうな大きな瞳が、金色に光っている。
「わっ」
「うぎゃ」
「けっ!」
「……」
「お主等、こんな夜更けに何用じゃぞい?」
「ラ……キ?」
「この者達に、何かしようとするならば、お主等でも容赦せんぞい」
モヤモヤとラキの背後に何かが浮かびつつあるのが見えて、四人は、知ってはいけない何かを知ってしまったと怯え、部屋から何とか這い出したのだった。
「何だったんだ今の?」
「……」
翌朝……。
驚いたのは、ベルナップだ。
一夜にして、全ての兵の顔が残念な事になっていたのだから……。
すぐに、隅々まで音を鳴らして確認させ、そして、しばらくの間、全員に兜着用を言い渡したのである。




