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ロジスティックスまでの道のり

 明日には、補給する為のちょっとした集落に着くってさ。


 交代で見張りをする為のペアを考えたが、『フィッシュ&ウォーター』のメンバーを先にして、次に『トライパータイト』、最後が私とラキで朝までと言う事にした。


 勿論、工兵隊の方でも決めてもらっている。


 内回りを工兵隊、外回りを冒険者が見廻るそうだ。




 そして、翌朝事件が起こった。


 ムスクルスと言う大きなザルだと思っていた物が壊されたのだ。


 「何を大騒ぎしているんだ?」


 外周の見廻りを終えて戻ったら、ベルナップが顔を蒼くして狼狽えているところに遭遇した。


 「ライル! 工兵隊の身を守る為の防壁壕が壊されているんだ」


 「あのザルか?」


 荷車から下ろされていた、細かい網目のあるドーム型の物だ。


 「我々工兵隊には、とても重要な物なんだよ」


 重要だって事は、ベルナップの慌てぶりから、十分に想像できるがな。


 「冒険者は、外周の見廻りをさせられていたから、知らないぞ?」


 「ベルナップ様、疑いたくはありませんが、イットは囮だったのではありませんか?」


 従者のルーミスが言った。


 「悪いけど、冒険者達じゃないぜ。あのザルの使い方なんてそもそも知らないし」


 「それはわかっているよ。でも、この作戦は、ライル達と離れる事になるから、このままだと失敗するかもしれない」


 どんよりしてしまったベルナップ。


 「全員を集めて、聞き取り調査と壊されたザルの残骸を調べるしかないだろう」


 「うーん……」



 朝食の準備もそこそこに、壊されたザルの前に全員集められた。



 ラキにはモーラ達を呼んでもらい周辺の警備をしてもらっている。



 「今朝方、点検していた者から報告が入った。『ムスクルス』が壊されていると……」


 ベルナップが説明している脇で、私は、ザルを調べていた。


 どのくらい頑丈な物なのかと思って、ガンと殴ったら、なんと、粉々になってしまったのだ!


 「あ……」


 ちゃちい、と思って細かくなった残骸を拾っていたら、灰色に混じって青が見えたんだ。


 「なんだ?」


 私がそれを摘まみ上げたところ、工兵隊の一人が逃げ出したと。


 「捕まえろ!」


 ルーミスが大声をあげたが、私の馬鹿力にみながポカーンとしていたんで、馬を奪って町へと逃走するダングルには、追い付けなかった。


 しかし、モーラ達が先回りして、土壁を作り足止めをしていた。


 上手く馬で跳躍したかに見えたが、モーラ達の盛った土は、後ろから集めた物だったので、掘り下げられているとは思わない馬は着地に失敗してあえなく転倒。


 放り出されたダングルは、足を引き摺りながらそれでも町へと走り出し、フローズのスワロが鋭い爪で背中を強襲して取り押さえ、モーラ達も一塊になってダングルを押さえつけたのだ。




 *



 捕まえたダングルを縛り上げたまま、夕方には補給地の集落に到着した。


 私が拾ったのは、雫形の青い石がついたブレスレットだったんだ。


 ベルナップもルーミスも、不思議な模様の石だったから、ダングルの物だとすぐにわかったらしい。




 迎えに出た者達は、農作業をしているらしく、体格のいい農夫にしか見えなかったよ。


 「ベルナップ様、到着が遅いので心配しておりました」


 ベルナップの乗っていた馬は、ダングルのせいで残念な事になり、処分するしかなかったんだ。


 唯一の馬だった為に、ベルナップはここまで歩いて来てヘトヘトになっている。


 「疲れた~」


 「ベルナップ様、お情けない!」


 従者のルーミスに嗜められて、渋々労いの言葉をかけている。


 「ようこそ『ロジスティックス』へ」


 初めての冒険者達にも声をかけてくれて、小さいラキに驚いていた。


 「途中で保護したのではなく、塔の魔物退治に来たってか?」


 キュルンとした瞳の可愛い子供だからなラキは。


 「ラキ、ん~?」


 「人懐っこい坊主だな。おじさんは、ファーロンだ。ここの責任者をしているんだ、宜しくな」


 すると、置いてきたと思っていたマァルが、ラキの鞄から顔を出した。


 「あ、マァルゥ……」


 チラリと私を見上げたラキ。


 「なんだ、真っ白な肩揉怪獣(モミミン)か。ふわふわしてるな」


 どうも、自分の出番を察知して出てきたようだ。


 ファーロンの肩を踏み踏みして、「ニア~」と猫なで声を出した。


 「お~、気持ちいいなあ」


 「ファーロン、頼まれた物資は何処に置きますか?」


 ルーミスに言われて、マァルをのせたまま、慌てて行ってしまった。やれやれ。


 「ライルゥ?」


 ラキが、怒られると思って私を待っていたみたいだ。


 「別に怒ってないぞ、ただ、驚いただけだ」


 「あ~、ライルゥ、ごめんしゃい」


 ちゃんと言おうとすればするほど、ごめんなさいとは発音出来ないようだ。


 「ラキ、それより疲れたろう? 今夜はゆっくり眠れるからな」


 「ぅん」


 「こっちよ、ラキちゃん」


 フローズが呼びに来てくれたので、ラキを預けて私は荷降ろしを手伝った。

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