ギルドの部屋
ギルドに到着して、パーティー申請を済ませると、ギルドの職員がこんな話しをし出した。
「あなたがリーダーをなさるなら、自分の能力を計りたいのではないでしょうか?」
ギルドの受け付け男性は、急にそんな事を言った。
「そんな物がこのギルド内にあるのかよ?」
「えー、それが有るような、無いような」
自分から言い出したのに、急に目を逸らしたギルド職員。
「そこまで教えたんだから、最後まで話してくれないか?」
『普通、気になるだろうが!』
「そうですね、すみません。えーと、ギルドには、能力を計る部屋がある事をご存知ですか?」
知っていたら訊かないんだから、首を振る。
「有ると言ってしまえば語弊があるのですが、その名を『ブレンダーズルーム』と言って個人の分析をしてくれるのですよ」
「へぇー、『ブレンダーズルーム』ね。で、 どうすればその部屋に行けるんだ?」
「それがですね、いつ、何処のギルドに現れるのか知れない部屋でしてね、だからこそ、貴重で大切な経験になるんですが、これから、西の砦に行く前に現れてくれたら、どんなに良いかと、ふと、お話ししたくなった訳です、はい」
「……」
「ん~、ぶれんだあ!」
私の膝の上で聞いていたからか、ラキは探すように叫んだ。
カタッ……。
カタカタカタ……。
ズズズズズズ。
ドシーン!
振動があったかと思ったら、ギルド内に大きな縦揺れが起こったんだ。
「キャー」
「なんだ、どうした?」
どういう空間の捻れか知らないが、アイスドームのような丸い建物が、ギルドの待ち合い場所に降ってきたみたいだ。
「ラキが呼んだからか? フゥ、まさかな」
「ん~? ライルゥ、なあに?」
「いや、何でもない」
シーンとしてしまったギルドの奥から、立派な紳士が慌てたように出て来て叫ぶ。
「つ、ついに、キターッ!」
「……五月蝿いですよ、ギルマス」
職員に怒られている。
「とうとう、我がギルドにも現れたんだ! 『ブレンダーズルーム』……くぅ、この時を何十年待ったことか……」
独り感動しているギルマスに、呆れている者と「本当にあったのか!」と驚いてる者とに別れた。
「あ、ラキ、待ちなさい」
騒ぎに気を取られているうちに、いつの間にか膝から下りたラキが、出現したアイスドームの扉に手をかけてしまっていた。
シュン。(転移)
寸前で止めたと思ったら、何処だここは?
「ラキ! ラキ!」
「あ~、ラキ、ん~、れんだあ?」
「ガブガブ」
向こうの明かりがついているところから、声がする。
「ラキ~、ここか?」
部屋を覗くと、そこは、どういう訳かあの岩窟で……。
「お、大……婆……様……」
岩窟を掘って作られた石の椅子には、大きな塊がのっていた。
しかし、振り返った顔は、似ても似つかない狼男で、ラキは、狼男の膝上に居て、頭からまる齧りされていたんだ!
「ラキーッ!」
「ん~、やあん」
嫌がる声が聞こえた。
ホッとすると同時に、こんな事が前にもあった様な気がして辺りを見回したが、上皇人はいなかった。
『フゥ』
「ここは、ブレンダーズルームなのか?」
ベロン、ベロン。(ラキを舐めている)
「ウォーン? もう一人いた?」
「あ~、ライルゥ」
ラキが私を指差している。
「キューン、キューン、失敗した」
立派な銀の毛並みをしているのに、鳴き声は可愛いらしくて、この変な生き物はいったいなんなんだ?
『そんな事は後でいい』
苦悩して悶えている狼男に問うてみる。
「ラキの能力と自分の能力を見て、詳しく教えてくれないか?」
狼男は、ラキをまだ愛でたいのに、いや、でも……って感じで、こちらを向いた。
「ウォッホン。偉大な『ブレンダーズルーム』に良くぞ来た」
『いや、今さら、偉そうにされてもなあ』
私の眉が寄っていたからか、改めて咳をする狼男。
「ウォッホン、ホン失礼」
更に、目をすがめると言い訳を始めた。
「そんな目で見るなよな。本当に必要な者以外は、入れない仕様なんだから、キューン」
ラキに『いいこいいこ』されて、尾が揺れている。
まったく、下位世界だって言うのに、変な奴が多すぎるぜ!




