ラキの友達
野宿した次の日。
サフラは、宿屋の娘で世話好きなクピ族だから、言わなくても食事の支度をしてくれた。
「今朝は、随分豪華だな」
大きな葉の皿に、温野菜がならぶ。
毎日、ラキ信者の小動物達が、木の実なんかを持ってきてくれているのはいつもの事だが、緑の豆や黄色の粒のような作物が並ぶのは初めてだ。
「やっと、ワシの信者が現れたのだ」
等と、ちゃんとした活動もしないトールのオッサンがほざいているが、それを丸っと無視して、ラキの後ろに顔を出している、新手の動物達をみた。
ラキは、マァルを頭に載せて、楽しそうにしている。
「ラキ、誰なのか紹介してくれないか?」
「あ~、ライルゥ、はよお。ん~、モーラ、いっしょ」
うっ、ラキが「いっしょ」と言う言葉を使うのは、勘弁してほしい。
「モーラ、モーラ」
手前の一番大きな動物が挨拶してきたぞ。
「ラキの友達か?」
『モーラ』と呼ばれた動物が、長い頭を横に振ると、今度は鋭い爪がある両手をクロスさせてポーズをとった。
『後ろの十匹あまりも同じポーズか……』
マァルは、ラキの頭の上で欠伸をしていた。
『完全に優位性をアピールしているな。なんて、抜け目がない奴』
ラキは、自分も『モーラ』達を真似てポーズを取っているが……。
『うーん、ラキのは、胸に手を当てちゃって、コテンと頭を倒しているから、何か可愛いんだよな』
「まあ、仲良くな」
「ぅん、なかよく、ねぇ」
ピョン、ピョン、ピョン、ピョン。
と、モーラ達が、端から跳び上がれば、ラキもピョンピョン跳びはねた。
「こうして見ると、ラキは、まだまだ幼児だな。昨日のアレも偶然かもしれない」
ライルが知らないだけで、昨日のアレでしっかりレベルアップしたラキは、『舎弟』を手に入れた。
ライルが、ただの動物だと思っているモーラは、土の傭兵と呼ばれる程実力のある魔物なのだ。
どうにも、ライルは、ラキの事になるとスッカスカな思考になるらしい。
*
「あ~、もん、おきい、ラキ、きたあ~」
門の上で警備をしている兵に手を振っている。
その後ろに続くモーラ達も、いつものポーズだ。
サフラは、ディミトリと腕を組んでいて、上空からは、パタパタとあのアホーじゃなくアコーが降りてきて私の肩にとまった。
『さて、これ等をどうすればいいのか?』
しばらく考えて、ベルナップに呼ばれた事にしよう。と決めたのだ。
『そう言えば、貴族だって事は知っているが、どのくらいの地位かは知らないなあ。確か、第二工兵隊隊長だったよな?』
「ここに、魔物を入れるなら箱か袋に入れよ」
「本来なら通過するだけなんですが、第二工兵隊隊長ベルナップ様に呼ばれていますので、お取り計らいをお願いします」
「工兵隊?」
三人いるうちの門兵の一人がそう訊けば、もう一人が騒ぎだす。
「第二工兵隊隊長ベルナップ様と言ったら、ご領主様のお孫様だ」
「誰か、すぐ確認してこい!」
「「領主?」」
「ああ、ここのご領主がファーディナンド・エンディコット様、その孫のヴィッカース・ベルナップ様でございましょう?」
『そんなご大層な名前だったのかよ』
苦笑いしながら、なんならこの風船を行かせようかと言えば、それは助かると言われ、アコーにメッセージを教えて、塔に立った水色の旗を目指すように放した。
『あれで、意外に賢いから捨てられないんだよな』
迎えが来るまでに、モーラ達をどうするかラキに話して待っていた。
「モーラ、モーラ」
「ライルゥ……」
「いや、だから、置いて行く訳じゃなくて、お前ら勝手に地面を掘って着いてこれるだろう? じゃないと、十五匹分もいや、アホーとマァルとサフラも入るのか?」
何だか、訳がわからなくなって、素直に通行料を尋ねたら、本当にベルナップ様に呼ばれたのなら、後でヴィッカース家が支払ってくれるそうだ。
「いやったぁ!」
私が喜べば、ラキもニコニコ笑う。
「そなたは、ケチ臭いのう」
と、トールのオッサンが言いやがるから、イラッとする。
『誰のせいで、金がないと思ってんだよ! まったく』
「クピクピ、旦那様。ここで~、サフラと暮らすの~?」
「そうだ。ここには、ワシの信者もおるし、ベルナップが教会を建てておる筈だからのう」
「クピピッ、楽しみね~」
『いや、お前の建て物じゃないだろう……』
どちらにしても、ディミトリは村の跡取りだから、サフラは幸せなんじゃないかと私は思う。




