悪口鳥
「クピピッ、鳥のことですね。どうぞお掛け下さい」
「あ~い」
「クピッ、可愛いらしい子供さんですね。 それに、肩揉怪獣までいる」
「マァルゥ」
ラキがギルド職員の前に掲げて見せた。
「ニー」
よそいきの声を出して、可愛いアピールだ。
「それで、この鳥の飼い主はどうなりました?」
「クピクピ、実は、良くある事なんですが、この悪口鳥を保護した場所に捨てて行かれる行商人が多くて、こちらでも困っているんですよ」
「捨てる?」
「あそこは、掘っていたら水が出てしまって、途中で開発が中止になった辺りなんでクピクピ」
「確かに、水の音がしてたな」
「だから、面倒みきれなくなると、行商人の方は、あそこに放置していかれるんでクピクピ」
「じゃあ、コレ、食べてもいいのか?」
凄い勢いで、私の頭を突っついていたが、それが止まったな。
「クピクピクピ。その悪口鳥は、結構便利な鳥でしてね、真似がとても上手だから、連絡に使われているんですよ」
「まさか、手紙の代わりにコレを使うのか?」
「クピクピ、最初に『人族』が飼い慣らしたと聞いています」
「でも、コイツ、性格が悪いから特に要らないかなあ」
「クピピッ、それが原因で、こうやって捨てられてしまうんですよね……」
職員も困ったようにため息をついた。
すると、おとなしくなった悪口鳥は、私の頭から降りてラキの前に立った。
「ん? なあに?」
ジッとラキを見詰めている。
ラキは、悪口鳥を自然に撫でて、こっちに振り向いた。
「ライルゥ、ねっ、ねっ?」
「ラキ……」
私は職員に質問するしかなかった。
「フゥ、悪口鳥って、どうやって飼うんだ?」
ニヤリと笑う悪口鳥。
『クソ! コイツ腹立つなあ』
「クピピッ、普通は、箱に入れて飼うようですが、君の場合は、放し飼いしても大丈夫に見えますが?」
「そうだった。好きに生きればいいんだから、外で放してやろう」
「クピピ、後は、この悪口鳥が決める事ですからね」
「そりゃいい」
結局、体よく押し付けられてしまった。
この後、試しにラキの可愛い声を真似させて飛ばしてみたら、三日ぐらいで追い付いて来た事にビックリしたんだ。
しかも、トリシャの声で喋るから、ラキが「あ~、もっかい、もっかい」と悪口鳥を放さないから笑えたよ。
*
「驚いたわね、アーバン」
「あぁ、まったくだ。下品な鳥が、いきなりラキの可愛い声で喋りやがったんだからな」
「でも、ラキちゃんが元気でいるのがわかって、私、嬉しくて……」
「先だって、別れたばかりじゃないか」
涙ぐむトリシャに慌てるアーバン。
「わかっているわよ。だけど……」
「本当になあ、ラキはとてもいい子だったからな、別れるのは辛かったな」
「まあ、あなたもじゃない」
「また、遊びに来てくれるさ。ライルが守ってくれているからな」
「そうかしら? 私には、ラキちゃんがライルを守っているように見えたわよ」
「そうかもな。ライルは地に足が着いてない感じがして、危なかっしいところがあるからな」
「ライルもマァルも元気でいるわよね」
「オレらも早く村に馴染まないとな。で、次に来た時には、ご馳走責めにして太らせてやる」
「うふふ、そうね。二人は少し痩せ過ぎているものね」




