ライルの考察
これで、安心して出発出来る……かな。
しかしラキは、ココラが心配で心配で、ずっと面倒をみようとしていてさあ。
赤ん坊だから、何も出来ないのは当たり前なんだが。
「ビオ、ラキ、ラキするぅ」
「手伝ってくれるの? ありがとうラキちゃん」
ヴィオラから匙を渡されて、ココラの顔を覗きながら食べさせるから、ココラもラキの顔を触ったりして、仲の良い兄弟にみえる。
それを、ジジババがとろけそうな顔してガン見してると。
「アーバン、畑仕事はどうした?」
「鍬を忘れたから、取りに寄ってみただけじゃねぇか」
「トリシャ、紡ぎを頼まれていたんじゃなかったのか?」
「あら、そうだったわ。そろそろ行かないとね、うふふ」
と、こんな調子だ。
「ラキが心配する筈だな」
ディミトリはと言うと、教会に行っていた。
この辺境の村にも教会がちゃんとあって、なんでも、大地神を信仰しているそうだ。
先日のことで、村の悪党だった四人がそこで奉仕をさせられていて、ディミトリも偵察だか何だかを兼ねて入り浸っているらしい。
だから、旅の準備は、私一人で行っているところなんだ。
どうせここまで歩いて来たんだから、回り道をして、エカリアの町にでも寄ってみるのもいいか。
雑貨屋の主人には、「金はねぇ」って言われて買い取ってもらえないんでね。
何しろここは、魔物取り放題な土地で、私も、悪党四人を懲らしめたって事で、村人から山の上にある祠の同行や、野生動物の捕獲なんかを頼まれて、で、その時狩った魔物が報酬だから増えてしょうがないんだよ。
えっ? おかしいって?
いや、私も善人アピールしているから、これで、アーバン家が少しでも受け入れられる手助けが出来ればと……。
あ、まだ嘘くさいな。
マァルは、すっかり元気になったヴィオラから離れて、今、ラキと一緒だ。
あいつの毛が、ふわふわな上に、真っ白さが増しているのか、こう、時々キラキラするんだよなあ。
ラキと居るとキラキラが増すと言うか……。
ハッ! そう言えば上皇人が変な事言ってたなあ。
ラキの能力って……うーん、ディミトリよりラキの方がカリスマがある? この世のどんなモノより純粋とか、失われないあどけなさとか……。
いかんいかん、あのジジババ馬鹿と同じになってしまう。
カリスマと言えば、エセ教祖。
どうも、ディミトリ(村長の息子)の方に能力があったように思うんだ。
何しろ、あのバーサーカーときたら、誰にも真似出来ない破壊っプリだし、電気まで発するんだからいったい何者なんだって感じがする。
そして、とりついているあの高貴なオッサン。
あれは、まさか王様とかじゃないよな。
それにしては、憑依しか出来ないポンコツだし……。
ゴホン。
自分の能力もハッキリ把握していないのに、わかる訳ないか。
知らないうちに、ライルの周囲は得体の知れない者の集まりだと、気づくのはまだまだ先の事である。




