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約束させられる

 夕方にはラキが目覚めて、それからくっついて離れなくなった。


 「ぷっ」


 「クスクス」


 「ちょっと、笑ってないでなんとかして下さいよ」


 「あら、雛鳥みたいで可愛いわよ」


 「それは、ラキがでしょう」


 「ハッハッ、君の事が本当に好きなんだな、オレにはそんな事してくれないもんなあ…」


 「まあ、アーデンたら。でも、私もちょっと羨ましいわ」



 夫婦に笑われているのは、ラキが……。


 「ラキ、もう許してくれないか? 絶対置いていったりしないからさあ」


 「ぅう、らめっ!」


 さっきから、ラキは私の膝にのり上げて、あの純真な瞳でジッ見上げているんだよ。


 逸らそうとすると、スベスベになった小さな手で、顔を押さえられていてさあ。


 マァルの奴も、ラキの肩に張り付いて一緒にこっちを見上げているしで、こんな責めってあるかよ?


 この、透明な瞳で睨まれると、子供の頃の悪事が胸を過って苦しくなる。


 あの、怪しい教団よりも格段に効果があるに違いない。


 「フゥ」


 コツンと額をつけて「約束するよラキ」と見詰め返した。


 「あら、まあ、やだ」


 何故かトリシャが大興奮だ。


 「いいなあ」


 アーデンまで何がいいんだよ!


 「ライルゥ、ラキ、いしょ、ね、ね」


 「ああ、わかった。絶対だ」


 「ライルゥ」


 ラキにガバッと抱きつかれたぞ。




 やれやれ、やっと許してもらえて、何だかドッと疲れたぜ。





 翌日、医者に診察を頼む為に、ラキとマァルを連れて出た。


 ラキは、一度しか行った事がないのに良く覚えていて、私の手を引いてタタッと小走りしてたな。


 「急がなくても大丈夫だから」


 そうなのか? と周囲を見てから歩き出した。


 「ラキ、これから困難な事が待ち構えているけど、本当に一緒でいいのか?」


 ラキは振り返らずに、ギュウっと手を握って返事した。


 『危ない目になんて、合わせたくないのになあ』



 三段ほどの階段を昇って、診療所に入り受け付けの女性に訪問診察をお願いして帰った。


 途中、大道芸を披露しながら、宣伝している行列がいて、ラキは自分達も仲間だから行くと言って着いて行ってしまったから、もう大変だ。


 着いた先は街の広場で、そこでサーカスのようなショーを今夜から開催するんだそう。



 「ラキ、これは、みんなに教えただけなんだ。本番は今夜開催するって言うから、どうする後で来てみるか?」


 「ぅん、ライルゥ、ラキ、マァルくるぅ」


 玉を投げたり輪を廻したりのパフォーマンスだけで、ラキははしゃいでいる。


 「じゃあ、後で来ような」


 「ラキ、うれし」


 「嬉しいだろうけど、この場合は『楽しみ』だよ」


 「たのし……ぅん、たのしみぃ」


 ラキはすっかりご機嫌で、こりゃ、夜が来る前にお昼寝させた方がいいな。



 宿に戻って、医者の手配の事と夜のショーの話をした。


 「まあ、良かったわね、ラキちゃん。うんと楽しんでいらっしゃい」


 「ぅん、たのしみぃ」


 さっき教えた言葉をトリシャに喋っているな。


 「さて、やるか」


 ラキが納得しないが、サッサとアーデンの足から万能スーツを剥がしてラキに着せた。


 これから、診察する医者はアーデンの回復が早くて驚くだろうから、疑われそうな物は撤収しておかなきゃな。


 それに、ショーを見る前に服をチェンジしなきゃならない。


 「あぁーぅ、ライルゥ」


 「これを着ないなら、夜のショーには連れて行けないぞ。それに、これはラキの物なんだからな」


 眉を寄せて悩んでいるみたいだが、所詮子供だ。ショーには行きたいだろう。


 黙ってベッドで横になったようだ。





 「こんな馬鹿なことが……奥さん、ご主人の足に何か秘薬でもお使いになったかね?」


 医者の診察が終わったところだ。


 「いいえ、特には。でも、部屋には可愛い看護人がいたからかしら?」


 「可愛い看護人とは何です?」


 「あそこで眠っているラキちゃんと肩揉怪獣(モミミン)のマァルが、一生懸命主人の足を擦ってくれたんですよ」


 「そうですか、では、精神的な作用があって回復が早まったんですかな」


 「はい、きっとそうですよ。ねぇ、アーデン」


 「ああそうだ。ラキもマァルも天からの贈り物に違いない」


 変に思われないかと聞き耳を立てていたが、杞憂に終わったな。


 足を地に着ける事はまだ無理だが、馬車に乗っての移動には許可が出た。


 但し、足は吊るすように言われていたけどな。

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