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得体の知れない

 「……と言う訳で気を失っているから、気が付いたら連絡してくれ」


 ベルナップは考える事があり過ぎて困惑顔だ。


 「待ってくれ、もし、また暴れたらどうしたらいいんだ?」


 『こいつも犬気質なのか?』


 すがるような目を向けられ、童顔だからなのか置いていかないでみたいな犬に見える。


 仕方なく折れて、事態が収拾するまでベルナップに付き従う事にした。


 ラキが心配するといけないので、宿にはキッチリ連絡を入れてもらったけどさ。





 *


 自称『メッセンジャー』の団体を放置する訳に行かないからと、ベルナップの家の所有地で空いてる場所に運び込んでいた。




 「ライルさん、ディミトリが目覚めましたよ」


 ベルナップの本物の従者に呼ばれた。




 ドアは開いていたが、ノックする。


 「気分はどうだ?」


  ディミトリは、ベッドの上に起き上がって、ボーッと外を見ていた。


 「……」


 「何だ、イカれちまったか?」


 すると、笑顔をむけた。


 『ありゃ、駄目だったのか?』


 「そなたのお陰で、こやつの(ぎょう)しきれないエネルギーが、小さくなった。礼を言おう」


 「いや、そもそも、あんた誰?」


 「そなたには、礼儀と言う物が備わっておらんようだな」


 「面倒だなあ、私はライルですよ」


 「フム、ワシは……」



 「ライル、聞いてくれ」


 パタパタと入って来たのは、ベルナップだった。


 「お前、貴族なんだろう? 落ち着きがなくていいのかよ」


 「ちっとも貴族だと思ってないくせに、ライルこそ少しは敬ってよ!」


 「フッ」


 急にディミトリ(?)が吹いた。


 「えっ? あ、もう大丈夫ですか?」


 「はい。大変お世話になりました。これはきっと、御神木様のお導きでございましょう。緑の遮光に安らぎを大樹の出で立ちに感謝を」


 『何やらおかしな祈りを唱えたぞ』


 それに、ベルナップは、苦笑いして誤魔化している。


 「で、どんなご用件でしょうか?」


 「違うんだ。昨夜お祖父様に報告申し上げたら、即日解決した上に子供の命を救い、施設を建てようなど立派な心掛けだって、べた褒めされたからライルに知らせに来たんだよ」


 『うーん、施設?』


 「ベルナップは後継者に成りたいのか?」


 「あ!」


 浮かれ気分が萎んでいく。


 本当、わかりやすいなあ。



 「失礼ですが、『メッセンジャー』の拠点を作って下さるのですか?」


 『拠点ってなんだ?』




 「はい。皆様が健康で過ごせるような施設を作るつもりですよ」


 『おいおい!』


 「あなた様にも、きっと大樹様のご加護がございますよ」


 「ちょっと待ったあ!」


 「「うん?」」


 さっきから、微妙にズレた会話を聞かされていたが、ここはハッキリさせておこう。


 「ディミトリ! お前は、私と村に帰るんだ」


 「村?」


 「えーっ、もう帰ってしまうのか?」


 得体の知れない奴と残念な貴族を相手にすると疲れるなあ。


 「その施設が出来上がるまで、子供達の面倒はみてくれるんだろう? それに、時間もかかるだろうから、ちょっとディミトリが居なくても大丈夫だよな?」


 「それはまあ……」


 「兎に角、一度帰郷する。これは決まりだ」




 そんなこんなで、ディミトリは二三日安静にするとの事だ。


 やっと、ラキのところに帰れるぞ。





 *


 宿に戻ると、ラキは寝ていた。


 トリシャの話しでは、私に捨てられたと思ったラキは、一晩中泣いていたそうだ。


 本当は、ラキがトリシャに懐いているなら、養子にしてくれないかと頼もうと思っていたんだが。


 ラキには、うんと可愛いがってくれる両親と、学校に行って勉強したり友達を作ったりしてもらいたかったのになあ。


 それに、私にはやり遂げなければならない事がある。


 ラキの為にも必ず食い止めなければ。


 泣き腫らした目に、水に濡らしたタオルを当ててやる。


 『ラキ……私の良心』




 「トリシャ、いつ出発出来る?」


 「明日、アーデンをもう一度医者にみせようと思っているの」


 「アーデン、足はどんな感じなのさ?」


 「ラキやマァルが看病してくれたんで、腫れも驚く程早く引いちまったな」


 「無理はしないでくれ、ラキが泣く」


 「いやね、昨日迄は、ラキちゃんを養子に貰えないかと思っていたんですよ」


 『同じ事考えていたのか』


 「でもねぇ、アーデン」


 「ああ、叔父さんと離れるのは無理そうだな、トリシャ」



 仲の良い夫婦だな。


 「多分、目的地の村まで送り届ける事になりますよ」


 「人探しはいいのかね?」


 「それが、偶然きのう発見したんですよ」


 「まあ、凄い」


 「そいつも連れて行く予定ですから」


 「本当にいいのか?」


 「そうしないと、ラキが納得しませんから。マァル、ちょっと肩を揉んでくれないか?」


 「ブミャア」


 『なんだコイツ、不機嫌な鳴き声して』


 おざなりにペッタペッタと肉球を押し付けてから、私の背中で寝ていたな。

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