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資金稼ぎ

 ってな訳で連れて来られた場所は……。


 「荒れ地?」


 「違う」


 「んじゃ何ですか?」


 人に目隠しをして連れて来ておいてさあ。


 「訓練で使った土嚢や木材なんだけど、頼んだ奴等が逃げちゃってさあ」


 『ん?』


 「そいつ等って、二頭立ての馬車で、今朝、門を破って走って行った!」


 「ああ、やっぱりそうか」


 「どう言う意味?」


 「兄さんに声を掛けたのも、一つは、怪我したのはそのせいなのかと思ってね」


 「この先の息子夫婦と住む為に旅をしていた、善良なご夫婦が宿で絶望していますよ」


 「そう、責めないでくれよ」


 「旦那さんの足はもう治らないそうだ!」


 「我々も今、全力で追っているところだから、まあ、少しの間待ってくれ」


 まだ少年かと思っていたが、随分偉そうに話す。


 私の視線に気付いたのか、自己紹介してきたぞ。


 「こう見えて、第二工兵隊で隊長をしているベルナップだ」


 「親の七光りだろう?」


 「随分失礼な奴だな」


 「で、隊長さんがあのご夫婦を救ってくれんのか?」


 「こちらとしても、逃がしてしまった責任がある。勿論、ご夫婦には、出来るだけの援助は検討するさ」


 「検討ね……。で、私はこのまま帰ってもいいですかね?」


 「待ってくれ! これを全部この荷車で城まで運んでくれないか?」


 「私一人で?」


 「……私も手伝う」


 『声が小さいな』


 近くにあった荷車は、頑丈ではあるが、土嚢やレンガみたいな重いものまで運ばなければならないようだ。


 あちこちに散らばっていて、沢山積んで三往復ぐらいだろうか?


 『馬じゃ、潰れてしまいそうだな』


 「皆、馬で追って行ってしまって、今日中に返さないと、騎士団に何を言われるか……」


 「押し付けられたのか」



 下を向いて震えているベルナップ。


 「わかった。早く取り掛かるぞ」


 『ラキのお陰で、放っておけなくなっちまったな』


 荷車を引きながら、ヒョイヒョイと詰め込めば、随分簡単だった。


 しかし、頑丈だと思っていた荷車が、二往復目で車輪の軸が折れてしまって、使い物にならなくなった。


 その時のベルナップときたら、顔面蒼白になっていたな。


 サッサとチタンの棒を組み立てて、残りは背負って運んだよ。


 終わった頃には、もう日が暮れていた。


 「本当に助かったよ」


 「これで、捕まえて来なかったら部下の鼻をあかしてやれるな」


 「ああ、これで奴等も少しは……」


 私がニヤニヤしていたから、途中で言わなくなったが、相当苦労しているんだな。


 「で、報酬は?」


 「これを」


 金貨を数枚出されたが、いや、それよりも必要な物があるな。


 「金貨より、馬かロバを譲ってもらえないか?」


 「今すぐは無理だな……とりあえずこれは、もらっておいてくれよ。馬の方は探してみるから、少しかかると思う」


 「悪いな」


 「いや、本当に助かった。あ、名前は?」


 「今、怪我をしたご夫婦と一緒の稲穂の風亭に泊まっている、私はライルだ」


 「まだここには居るのか?」


 「人探しをしているんだ。そうだ! デミトリィって、乱暴者が捕まってないか?」


 「うーん、それは、所属が違うから同期に訊いてはみるよ」


 「ベルナップはいい奴だな」


 「お互い様だろう?」


 目立ったお陰で、資金も稼げて人脈も出来たぞ。


 さあ、早く宿に帰ろう。

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