表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/88

ラキの看病

 ラキは、二人の診察が終わるまで付き添っていて、医者からは、診察代が足りないと何故か、私が支払わされたんだ。


 その後もマァルまで、奥さんから離れようとしないから、もう、私も諦めたさ。


 マァルは、奥さんの肩に引っ付いて、きっと何かしているんだろう。診断は、肩が外れていたのと打撲だそうだ。




 旦那の方は、骨が粉々になってしまい、正常には戻らないと言われていたな。


 ラキが、自分の万能スーツを脱いで、宿で寝かせている旦那の足を包んでいる。


 『ラキに余計な事を教えちゃったよなあ』


 後悔してももう遅いか。


 大部屋を借りて、落ち着いた奥さんがお礼を言ってきた。


 「ご迷惑ばかりかけてしまったのに、こんなにお世話になってしまい、主人と二人、何てお礼を申し上げたらいいんでしょう」


 「それは、ラキに言ってやって下さい。ラキが頼まなかったら、私は、見ないフリしてましたよ


 「ラキちゃん、どうもありがとう」


 「ん、ラキ、んー?」


 心配そうに見詰めながら、指差しで名前を訊いている。


 「ごめんなさい、名のるのが遅れて。おばさんは、トリシャ。旦那は、アーデンよ」


 「トリー、アーテ」


 「私は、ライル。甥のラキは、色々あって言葉が少し足りないんです。すみません」


 「いいえ、謝ることなんて何にもないですよ。ラキちゃんが素直で心優しい事は、身に染みて知っていますからね」


 奥さんが少し微笑むと、ラキは嬉しそうに笑った。


 「それから、トリシャの肩にいる、肩揉怪獣(モミミン)はマァルと言いますから」


 「真っ白くて綺麗な肩揉怪獣(モミミン)ね。初めて見たわ」


 トリシャに優しく撫でられて、気持ちがいいのか「ニーニー」鳴いている。


 ラキと一緒で、アイツも人タラシなのか?


 「それで、これからどうします?」


 「私達は、息子夫婦が住んでいるクーナの村に向かうところだったんです。でも、少ない旅の資金も使ってしまって、夫も……」


 再び顔を曇らせてしまったぞ。


 『重い、暗い』


 「私達が一緒ですから。そんな事考えずに体の治療と旦那の看病をして下さいよ」

 

 「そんな……いいんでしょうか?」


 「いいも何も、コイツ等があなた方から離れませんから、仕方ないんですよ。フゥ」


 「ライゥ……」


 私が怒ったと思ったのか、ラキは、また心配そうに眉を寄せて見上げてくる。


 頭をポンポンとしてやり、「大丈夫だ。ラキ、しっかり面倒みてやりなよ。私は、仕事に行ってくるからな」と言ってやった。


 「ぅん、ラキみう!」


 『うーん、るがなあ……中々ハッキリと言えないなあ』


 「宿の主人には伝えておきますから、ちゃんと食事して薬を飲んで下さいよ」


 「本当に、色々ありがとうございます」


 「ラキもちゃんと食べるんだぞ」


 「あい」


 『はもかよ。ヤレヤレ』




 今度の宿の主人は、やたらと注文の多い大部屋客に、ムッとしながらも対応してくれそうないい人だった。





 先ずは、ディミトリを探しながら金を稼ぐか。


 ギルドに顔を出したところで、あの、馬を預けた男に会った。


 「「アーーッ!」」


 「知り合いがここに馬を売ってくれてな、金を受け取ったら、あんた等の宿に行こうと思ってたよ」


 「ライルだ。お互い面倒事に巻き込まれましたね」


 「俺は、スダンだ。この街で染め物をやってる」


 「怪我した二人なら、今、甥が面倒を見ていて、稲穂の風亭に一緒に泊まってるよ」


 「若いのに、驚くほど力があって親切なんだな」


 「あんたが手伝えって言ったんでしょうが!」


 「そうだったかな? アハッハッハ」


 どうにも気持ちのいいオヤジだ。


 「じゃ、稲穂の風亭に届けて来るよ」


 「私は、人探ししてから帰りますから、遅くなるって伝えてくれません?」


 「いいともさ」


 掲示板とやらに何か情報がないか足を踏み出した時。


 「あ、ライル。お前噂になってんぞ」


 と、すっとぼけた事を言ったオヤジ。


 『噂ってなんだ?』


 と考えながら、端から依頼や伝言なんかを、万能スーツのOCR機能で翻訳してもらっていた。


 『黄色く光り浮遊する羊とか、夕日時に出る浮き雲とか、ふわふわ漂う物が目撃されているのか。これを捕らえたら、大金が稼げそうだな』


 「鮭好魔熊(シャケナクマ)が喋った。熊に助けられた。鮭好魔熊(シャケナクマ)が陽気に踊っていた。って、あれ? 何か既視感がするなあ。忘れよう」


 『空から降った石で穴が空いた場所に、時給自足する人びとが集まっているか……。水でも涌いたのか?』


 『後は、薬草採取、魔物を狩る依頼と護衛か』


 『街の荷運びなんかもあるなあ』


 『手っ取り早く稼げるのってなんだ?』


 「もしかして、今朝、大きな荷車引いてた男か?」


 「ああ、怪我人がいて急いでいたんだ」


 「全然疲れた感じがしていないが、荷車って重くはないのか?」


 「軽い鞄を持ったのと同じくらいの感覚だったな」


 考え事をしている時だったんで、余り良く考えずに返事をしてしまった。


 「そうなのか。ならば、少し頼みたい事があるんだが? 勿論、お金はちゃんと払う」


 「いいけど、手短かにしてくれよ。養わなきゃならない奴が増えちまったから、手っ取り早く稼ぎたいんだ」


 「いいとも」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ