ダンジョンの改築と開拓の結果
数値は結構適当なので変える可能性あり。そのうち直しますので、厳密に見ないでくれるとありがたいです……
現在のDPは16512。
1000DPは残しておくとして、これを使いきるつもりでダンジョンを改築し、本格的な図書館にしようと思う。
「とりあえず部屋を広げようかな……それとも増やす?」
メニューを眺めながら考える。
部屋(小)が100DP。部屋(中)は200DP。部屋(大)は400DPである。拡張する場合、かかるのは半分のDP。部屋(小)を部屋(中)に拡張するなら100DPが必要ということだ。
「これなら部屋(小)を作ってから部屋(大)に拡張するべきよね。300DPで出来るもの」
ひとまず、400DPを使って今ある二つの部屋を拡張しよう。
「うお、でっけーな」
クー君が思わず声をあげるぐらい大きな部屋になった。大きな図書館の一階ぐらいはあるんじゃない? 物がないから、ただ広い空間になってるけど。これなら一階に一部屋で十分かな。
次は必要なアイテムを用意しよう。
本と本棚はもちろん、机と椅子、ソファーに筆記用具と元々あった物を増やさなきゃね。
あと、入り口に面した部屋にはカウンターが必要だよね。カウンターは机と同じ30DPか。
「まぁ、交換しちゃおう」
と、設置する備品として、合計で1110DP分を交換。内訳はこんな感じだ。
机:30DP×5
椅子:10DP×25
ソファー:20DP×6
カウンター:30DP×3
紙:10DP×5
ペン:10DP×5
インク:10DP×5
木箱:20DP×5
本棚:50DP×5
ペンは五本セットだったり、紙は本一冊作れそうな紙束だったりしたので若干持て余しているが、まぁいつか使うだろうしそれは良いとして。
残高は15002DP。これで本と本棚を交換する。
えっと、本棚一つで四十冊収納出来るとしたら、450DPでワンセットだよね。じゃあ、9000DPで20の本入り棚を設置しよう。これで残りは6002DP。
本は……わぁ、二百冊か!
交換した途端、床が本で埋まった。
「うおっ!? ちょ、ミラン! 考えて交換しろよ! 何冊あるんだ!?」
「たぶん二百冊♪」
「おい! 纏めて交換するのは十冊ぐらいにしろって言ったよな!? これ全部内容確認するんだろ!? 二百冊同時に!」
クー君は怒っているというより、呆れているようだった。
「しかも大量の本棚、机と椅子! ぐっちゃぐちゃじゃねぇか! 適当に置いたな!?」
「だってさ……後で移動させようと思って」
「先にやれ! もう、勝手に動かすぞ?」
クー君によって本は十冊ごとに纏めて積まれ、家具類は端に寄せて並べられた。筆記用具はちゃんと机の上に置かれている。
「じゃあ、クー君も手伝ってね。とりあえず魔道書、ヤバそうな本、それ以外に分けて」
「わかったよ……」
◆◇◆◇◆
「ミランちゃん、今大丈夫……うお」
「ん? ロートックさん? シルロさんも」
「おう、今更だがロックでいいぜ。にしても、スゲーな」
「図書館になってる」
そう、規模は小さくて図書館というより図書コーナーっぽいとはいえ、何とか形になったのだ。
入り口の近くにはカウンターが置いてあり、その奥には本棚が並ぶ。机や椅子、ソファーといった本を読む環境も整えてある。
本は棚によってある程度分類され、ジャンルごとに纏められている。尚、読んだらヤバそうな本は別室の本棚に分けてある。
「凄いでしょ! 私とクー君でやったのよ」
「………クー、果ててる」
まぁ、シルロさんの言うとおりクー君はソファーで脱力している。疲れたみたいだ。手伝ってくれたし、ゆっくり休んでもらおう。
「で、何か用?」
「ああ、そうだ。一応開拓が一段落したから、手が空いたら見に来てくれって言いに来たんだ」
おお、そっちも終わったんだ。
「今大丈夫だから行くよ。あ、クー君は……」
クー君を見ると、ゆっくり立ち上がっていた。
「俺も行く」
「チチュチュっ!」
ラビも行くらしい。
「そうか。コアとかマスターって出入り出来ないとかは、ないんだな。」
「コアは領域なら移動できる。領域の収入からみて、かなり広い範囲で動けるな。マスターは領域の外にも行ける」
どっちにしろ今回は問題ないので、私とクー君、あとラビは、初めてダンジョンの外に出た。
「わぁ! 立派な建物ね!」
「おお!」
「チーっ!」
初めに見えたのは、二つの立派な建物。
ダンジョンを挟んで、エリさんの家と冒険者ギルドの出張所があるのだ。まぁ、外観ならダンジョンの方が立派だったが。
「あっ、ミラン! こっちよ!」
なんか、ダンジョンの前の広く空いたスペースに人が集まっており、そこからエリさんが手を振っていた。
「ほら、紹介するわ」
と、そこにいた初対面の人から挨拶を受けた。
「僕はファラン。エリさんの研究仲間だ。よろしく」
「あたしはミナよ! ま、ファランと同じ感じよ」
「俺はジャラッカ。こっちがウィアムとレーラ」
「ウィアムだ!」
「私達は鍛冶師です。よろしくお願いします」
「俺はアジン。錬金術師だが、まぁ、主に金属系の小さな物を作るのが仕事だな。薬とかもやってるが」
随分人数が増えたね……
「俺はクーだ。こっちはラビ」
「私はミラン。よろしくね。ところで、そっちの人達は?」
さっきのクー君みたいになってる人が二人いるんだけど。
「おう、ミラン。こっちはギルド職員だ。男の方がウォルテン。こっちはチェーナ。くそ忙しかったんで、休憩中なんだよ」
「あ、よろっす」
「よろしくですぅ……」
ああ、エリさんの無茶振りに一番振り回された人達ってことか。
「………お疲れ様です」
「さ、自己紹介終わったわね。こっちの新人達は知り合いだからいいでしょ? じゃあ、一通りこの……町を見て回りましょ。私とカリで案内するから、他はこの辺で適当に待ってなさい」
流石はエリさん。他人の扱いが雑だ。
まぁ、それでもAランク冒険者には逆らえない。私とクー君とラビは、エリさんとカリさんから町(?)の案内を受けた。
?が付いているのは、その微妙な規模のせいだ。村と呼ぶには、豪華な建物がそぐわない。町と呼ぶには規模が小さい……
まぁ、町でいいや。
「この私の家は、研究所も兼ねてるのよ。ファランとミナ、あとヒューズの部屋もあるわ。私の助手として泊まり込みで研究出来るようにね。まぁ、一応カリの部屋もあるけど」
「まず使わないな。俺はこっちのギルドの方に寝泊まりだろ。俺、所長にされちまったからな……」
カリさんは、出張所を建てる許可を近くの街の支部に貰いに行った。そしたら、所長に任命されたのだとか。
この所長は、出張所ではギルドマスター扱いを受ける、つまりは責任者である。ギルドマスター、通称ギルマスとしてギルドの運営に加えて支部、本部と連携し、手足となって働くことが求められる。
要するに、滅茶苦茶忙しい役職なのだ。仕事量が多い上に、そこそこ責任が重い。ギルド職員からは嫌われている役職だ。支部のギルマスは憧れの役職、出張所の所長は敬遠される中間管理職といった感じ。
「その上、姉貴のお守りだ。俺にしか出来ない重要な仕事だと……なら、所長なんかやらせんなよ。今だって仕事溜まってるし、出張所って左遷みたいなもんだから職員も集まらねぇし、忙しいし」
「ほら、愚痴は止めなさい。案内よ、案内」
カリさんの愚痴になってきたところで、エリさんが突っ込んだ。そもそもエリさんのせいじゃない? とかは考えないようにしよう。
………カリさん、頑張れ。
「お、ここからは普通の家か?」
クー君が指差したエリさんの研究所の隣には、確かに普通の一軒家のような建物が並んでいる。
「お店と家ね。正面はこのまま広場にする予定だけど、この周囲は店を集めることになってるわ」
「居住スペースが付いてるし、店の方だって家とも言えるな」
さっき紹介された鍛冶師のジャラッカさんと錬金術師のアジンさんは、店の二階に住むそうだ。
「新人ちゃん達の家もあるわ。四人で一軒だけどね」
ただし、ヒューズさんはエリさんの助手として研究所に泊まる可能性もあるとか。
「いい感じね。ちゃんと、小さいけど町になってる」
「でしょ! 私が手を貸したんだから当然だけどね」
「ああ、姉貴の魔法はやっぱ便利だよ。たぶんこれ一回限りなのが残念だがな」
カリさんのため息はスルーされた。
「私としては大満足よ。図書館の隣っていう、一番いい場所に研究所を持てたもの」
私にとっても、たくさん利用してくれそうなエリさんが隣に住んでくれるのは嬉しい。
「ダンジョン的には、冒険者ギルドが隣って方に価値を見いだしてほしいんだけど……」
「………普通のダンジョンじゃねぇからな。普通の、素材集めやアイテム収集なんかの依頼は無いだろうな」
まぁ、そうだろうね。
「カリ、心配しなくても私が出してあげるわ。本探しの依頼とかなら」
というか、図書館だとそれしかないよね。頼むことなんて。
将来的には、入った人を惑わすようなトラップを仕掛けたいし、そういうエリアは冒険者じゃなきゃ本を探せなくなるかもしれないけど。
「………もう、町はこんなところでいいでしょ。次は図書館の見学会よ! 住民全員でね」
………エリさん、早く図書館を見学したいだけじゃない?