NO・15
「・・・」
何もかも退屈だ。
もう我慢できない。
羽織は思ってきた。
都市の中心部でいつも生活している都市長の羽織は何もかもに退屈していた。
面白いものがない。
あいつがここを出て行ってから、面白いものが何もなくなってしまった。
「長!」
その時、秘書である座田があわてた様子で入ってくる。
「何だ座田」
「生贄が森から脱走した模様です!」
「ほう、生贄が?」
羽織は考えた。
あの少女がたとえ森から脱走したとしても、もう都市には戻れないだろう。
まあ、いいところ餓死だ。
だが・・・
「万が一ここに戻ってきていたらどうするか・・・」
羽織はぽつりと言った。
そしてにやりと笑う。
「面白い・・・」
久々に面白いものがみれそうだ。
「どういたしましょうか・・・」
座田は不安そうに羽織をみた。
「都市周辺の村を攻撃しろ」
「え?」
「そこにいる可能性が強い。攻撃をしながらも、目が赤で髪が青緑の少女を探せ。
両方が当てはまっている少女がいれば、都市につれて帰るのだ」
生贄が生きて都市にのこのこと現れては困る。
そんなことでは、今までの苦労が水の泡だ。
羽織はにやりと笑った口元をさらにゆがめながら考えた。
あいつがいるかもしれないしな・・・
「そうだな・・・3日後に実行しよう」
羽織はそういいながらイメージを膨らませた。
あいつと呼ばれる人の苦しむ姿を。