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影色  作者: 奏良
14/37

NO・13

それから日向は用事があるとか何とか言って、どこかに出かけてしまった。

私は日和について市場の中を歩いた。

気の優しそうなおばさんが店をしている小さな服屋の前で日和の足が止まる。

日和は動きやすそうなパーカーとジャージ系素材の黒いズボンを何枚か選ぶと、私に渡した。

「これでいい?」

「うん」

私は特に服装にはこだわらないので、すぐにうなずいた。

「何か全体に男っぽくなっちゃうけど・・・」

「別に気にしないよ?」

「そう」

何でだかわからないけど、男っぽい服装のほうがいいのではないかと思えた。

「お金は?」

「ある」

日和はそれだけ言うと店のおばさんに洋服を渡した。

「あら、(はるか)さん、今日は珍しいわね、店のほうに来るなんて」

「まぁね」

遥さん、とはきっと日和に言っているのであろう。

何故そんな名前を名乗っているのかは知らないが。

「銅貨二枚ね」

「はい」

日和はおばさんの手にきれいな銅貨を二枚渡した。

「仍、帰ろう」

「あ、うん」

私は日和についてもと来た道を歩いた。

「知り合いなの?」

「まぁ、仕事柄ね」

「仕事?」

私は首をかしげて日和を見た。

「あ、仍には言ってなかったっけ?僕は情報屋なんだよ。正確に言うと、僕らは、だけどね」

「僕らってことは、日向と?」

「そう、僕ら二人は小さい頃はこの村に住んでて、ちょっとした事情で、

11歳ぐらいにあの森に二人で引っ越したんだ。

でも、仕事なしじゃ食っていけないだろ?だから、二人で情報屋を始めたんだ

で、僕は遥、日向は(そう)って名乗ってるんだ」

情報屋か・・・

私はふと思って日和にたずねた。

「そういえば、斗鬼さんは?」

「あいつは・・・僕らもよくわからない。きっとどこかで働いてると思うんだけど・・・

月に1度か2度だけふらっとでかけて、3日後くらいに金貨や銀貨を袋いっぱいもらってくるんだよね」

「へぇ・・・」

私も働いたほうがいいのかな。

そう思ったとき、まるで私の心を読んだかのように日和が言った。

「あ、別に仍が働く必要はないからね?危ないし・・・」

「危ないの?」

「まぁ、ここら辺は都市と違って危ない連中もうろうろしてる。通り魔や引っ手繰りなんてよくあることなんだ」

「ぅ・・・ん」

「でも、あの森にずっといても暇だろうから、ここの生活に慣れてから僕らが仕事紹介してやるよ」

「わかった、ありがとう」

私はうなずいた。

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