NO・10
「水・・・」
私が話し終えると、斗鬼さんがボソリとつぶやいた。
日向さんと日和さんが顔を見合わせている。
「目・・・水も・・・全部・・・」
日向さんがそうつぶやいて私を見た。
日和さんは斗鬼さんを見ている。
「・・・俺と同じだ」
斗鬼さんはそうつぶやいてこっちを見た。
「え?」
私は思わず聞き返した。
「目の色、斗鬼赤だろ?」
日和さんがそう聞いてきた。
確かに、斗鬼さんの目は髪の毛と同じような真っ赤な色だ。
「でも、もともとは青かったんだよ。そうだな・・・調度、仍みたいな感じの」
「・・・」
「だけど、あのことがあってから、急に赤くなって・・・」
日和さんがそういってもう一度斗鬼さんを見る。
斗鬼さんは手を横に振った。
そう・・・私が水を使ったときみたいに。
とたんに、目の前を火が横切る。
そして、斗鬼さんの手の中に納まり、消えた。
「・・・火が使えるようになった」
「・・・」
私は何もいえなかった。
全く同じ事がおきている人間がいた。
そのことにただ驚くばかりだった。
私は考えていた。
あの後、自分の部屋に帰ってシャワーを浴びている。
水のでは悪いし、時々すごく冷たくなったり熱くなったりする。
「水」を使えば多少なりとも調節できたと思うが、今は使いたくなかった。
何故自分にこんなことがおきたのだろうか?
今までこんなことなかった。
水だって、普通に水道を流れてくる純水しか使っていなかった。
なのに・・・ここにきて何故?