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序章
この國には
人が居て、獣が居て、鳥が居て、アヤカシが居る
この國には
山があり、海があり、町があり、結界がある
この國には
木があり、花があり、虫が居て、妖力がある
――人々は化け物に恐れていた。
それはまるで心を持たなかった。
赤い目を光らせ、血肉に飢え彷徨う存在。
『犬神』……そう呼ばれた存在。
犬神の周りには強い妖力が渦巻き、
沢山の種類のアヤカシが生まれた。
アヤカシは人を襲い喰らって力を付けた。
人々もそれに対抗するべく、力を付けた。
やがて現れたのが『陰陽師』と呼ばれる者だった。
陰陽師によって、恐ろしい犬神は無事退治された。
やがてアヤカシは数を減らし、大人しくなった。
これにより、陰陽師は英雄となったのだ――。
……アヤカシは減った。
なのに争いは生まれ続けた。
人は人を殺し、
人を人ならざる者として扱いだした。
やがて増えたもの……
それは『呪い』であった――。