学校4
改めて周りに目を向けると他の生徒も気になっていたんだろう、さっき鳴ったらしい警報の話が飛び交っていた。
「アレって火災のヤツだよね、結構遠くから聞こえるけどさぁ?」
「半年くらい前だったっけ?一回誰かがイタズラして押しちゃったからまたそうだよ」
「そうだよなあ、ほんとの火災ならすぐに校内放送も鳴るし先生もすぐに帰ってくるぜ」
「なーんだ。んじゃ今頃先生のヤツ、犯人探して走り回ってんのかなー」
「前に見つけられなかったからって、ヤケになりすぎなきゃいいけど」
クラスメイト達の意見は大体一致して先生が犯人を見つけて捕まえるか、はたまた逃げられるかなんて賭けまで始めていた。
視線を戻すと茅乃が顔に手を当てて何か考えていた。
「・・・そうだな、おいリヒ聞いてくれ良いことを考えたぞ」
皆の盛り上がりに触発されたのか、茅乃はいつものように悪い微笑みを浮かべていた。
「なんだよ良いことって?」
茅乃はいつもとんでもないことばかり考えては提案する。
今回もどうせ例に習って無茶な事を言い出すんだろうと俺は覚悟を決めていた。
「『警報を鳴らした犯人』ソイツを私たちで捕まえよう」
こいつ案の定、予想通りの事を言い出した。
「捕まえてどーするんだよ。ヘタしたら俺等もおこられるぞ?」
「あぁそうかもな。でもきっと楽しいだろうよ」
まただ。またいつものとおりに話が進んでく。
茅乃が『楽しい』なんて言ったら楽しくない訳が無い。
「確かにコレはリスクが高い。でもやらなきゃ楽しめない、きっと後悔することになるぞ?」
それでもいいのかと俺たちに語り掛ける声。
先に心動かされたのは凪沙だった。
「わたしやりたい!わたしも入って良いのならだけど?」
「もちろん良い、そうでなくちゃ私が困る。・・・でリヒは参加するのか?」
「ふん、なめんなよ。犯人なんて余裕で捕まえてやろうじゃねーか」