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朝だ夜明けだ。朝から機嫌が悪い。

初投稿なので、不具合等あるかもしれませんが、ご容赦お願いいたします。

 私は今、世間で云う高校2年生、まぁ青春真っただ中といったところだ。でも私には浮いた話は全くない。そんなもんはどうでもいいので、とっとと布団をはねあげ、起きると、まず顔を洗う。鏡に映ってる私は、相変わらず不機嫌そうな顔をしている。不機嫌ではないのだが。そして着替える。


 


 私はよく不良と定義されるが、身だしなみは多分一級の優等生にも負けないという自負がある。ネクタイを締めるならワイシャツの第一ボタンは確実に()じて、その襟もとに結び目が来るようにする。袖口に緋色の線が2本縫いつけられた紺のダブルブレストブレザーを着る。この袖章はクラス色であり、本数で学年を示す。A組なら黄色、B組なら紫、C組なら緋色だ。1年生から一本づつ増えていく。




 朝飯は昨日の残り物の味噌汁と同じく玄米飯。これらをとっとと食い、歯を磨く。そして髪をとかす。一人暮らしといえど、これらは欠かせない。朝早く起きないと体調崩すし、なら早めに学校に居った方がましというもの。周りはどう思っとるか知らないがな。私がやんちゃやらかしてたのは中学に居ったときだけなのだがどうしてここまで恐れられんといかんのか。気に食わん糞野郎の敗北主義者共と殴り合った挙句、川に放り込んだのが悪いのか。とにかく、東京のはずれの進学校に通ってる。戦前からの名門、清船高校と言う男子校だ。隣の鋼洗女子高校とは運営母体が同じで、石城いわき学園と言う。敷地はベルリンの壁もかくやと言わんばかりの壁で区切られているし、そもそも興味もないのだが。私はこの学校に行くのは厭であったが、学園理事長である祖母の曰く、授業料免除するからと言われ、親が有無を言わせず突っ込んだのである。


 おや、自己紹介を忘れていた。私は石城茂だ。顔悪いし言動もよろしくないので、戦友も居なけりゃ、彼女等生まれてこの方居った覚えもない。成績は良くない。中学ん時でも赤点とらんだけまし、と言われた男である。後悔はしておらん。


 時代遅れで、校則上も着用は義務ではない事になっている校帽を目深にかぶり、家を出る。今は一人暮らしであるので、鍵を掛ける。そして学校まで20分の道を歩いてゆく。春の風は温かく、心地よい。そのうちに前方に、生徒の一団がある。真中に居るのは清船高校一の秀才にして生徒会長の碓氷うすいとうげと、鋼洗女子高校一の美少女にしてこれまた生徒会長の御殿場ごてんばしずくである。二人は付き合っていると云う噂があるほどお似合いな美男美女である。私は陰で『鉄道の難所カップル』とよんでいる。そうこうしているうちに距離が詰まってしまった。今や校帽をかぶってる生徒は私一人であるのでみんながさっと避ける。何でここまで嫌われて居るんだ、私。どうでもいいや。歩調を一切変えずにそのまま歩いてゆくととうとう真中の二人に迫る形になった。碓氷がさっと御殿場をカバーする位置に回る。私はそれに言う。

「なんもせんよ、なんも。朝は機嫌わりぃいんだ。二人とも、退かんか。」

碓氷はそれに反論するが、多分それはあまりいい答えではないだろう。

「それが信じられるか。この不良が。どうせ成績もひいきじゃないのか?」

と。多分こいつは勉強以外は出来ないタイプの馬鹿だ。少し〆るか。と言ってもいきなり殴ったりはしない。言葉を用いて〆るのがこの頃の基本だ。語調を強めて言う。

「貴様、ネクタイが歪んでおる。何だこの曲がった糞みたいな締め方は。そして何だ、ワイシャツの襟が上衣のえりからそとにでているぢゃないか。」

少し噛んだが気にしない。向こうは顔を青ざめているが、そんなに怖いか?頬に切り傷の跡があるだけだぞ、変な特徴は。それもこけてガラスで切ったやつだし。


 そんな二人は無視して学校へ向かう。周りからの怨嗟の目線が痛いが、私は何もしておらん。違うかね?私はもうどうでもいいとばかりに歩きだす。

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