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2014年/短編まとめ

シロイカラス

作者: 文崎 美生

昔のカラスは白かったんだよ。


じゃあ、なんで今は黒いの?


それはカラスがウソをついたからだよ。


ウソって?




昔々、カラスは白かった。


そして人の言葉を話せた。


美しく光をまとう白い羽。


カラスは神様の使いだった。


だがカラスはあろう事か人間の娘に恋をした。


その娘も哀れなことに生まれながらにして、難病を背負っていた。


カラスは娘を心から愛していた。


種族が違えど愛は同じ。


カラスは神様の元から小さな赤い果実を持ち去った。


それは神様の実。


人が触れてはいけない聖域。


だがしかし、それを口にすれば娘の難病は消え去るだろう。


シロイカラスが犯したのは禁忌。


娘の元に果実を届けたカラス。


その実を一口齧れば難病は消えてなくなる。


だが、それと引き換えにカラスは人の言葉が話せなくなった。


それは神様の実を人に与えてしまったがため。


唯一の想いを伝えていた術がなくなった。


娘は悲しそうな顔をするがどうする事もできない。


そこへ神様が現れ娘とカラスにこう言った。


犯してはならない禁忌を犯したのだ。


甘んじてその罪を背負い生きなさい。


そしてカラスは神様の元からさるように言われた。


カラスの美しかった羽は黒くなってゆく。


娘は自分がいけないのだと泣いて許しをこう。


老い先短かった命。


このまま息絶えてもいいからカラスを戻してやってくれと。


そんな娘に神様はさらに告げる。


罪を背負い、罰を受けなさいと。


カラスは喋ることが出来なくなり、白い羽は光を通さない黒い羽になった。


そして娘はそんなカラスに添い遂げなさいと。


永遠の愛を誓うのです、と。


そうすればいつか、罪の鎖は解けるだろう。


カラスはまた話すことができ、白くなるだろうとも告げた。


そして神様は天界へと帰って行った。


残されたカラスと娘がどうなったのかは誰も知らない。




じゃあ、白いカラスはいるの?


それはどうだろうね。


えー。


探してみるといいよ。


でも、戻ってないかもしれないんでしょ?


戻っているかもしれない。


どっちー?


さぁね?でも、もしかしたら飛んでいるかもしれないよ。

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