竜宮の使いと神秘の世界に飲まれた少女
美しさの再確認
アンコウさんと別れてなんにち経ったのでしょうか。げんじつではていきてきな朝の目覚めでにど目覚めましたが、深海のせかいとげんじつでは時間の流れがちがうという事は今までのけいけんで、分かっています。だからこそ、ここすうじつ深海でまったく他のせいぶつを見ないげんじょうに、ふあんを感じはじめました。
「流石にこんなに他の奴らがいないと、何か怖いな」
「えぇ、そうですね」
どうやらイオちゃんもわたしと同じようで、心細いらしいです。ふつうに深海で生活をしていたら、みっか一匹はだれかと会えるのですが、このかいいきはどうやらそうはいかないようです。
ふと上にしかいをやると、遠くにほそながくて銀色にかがやく何かがいました。
「ん?なんだありゃ」
「あれは・・・リュウグウノツカイですね」
「りゅーぐーのつかい?お使いにでも行ってるのか?」
「いえ、人間のせかいにある『うらしまたろう』という昔話に出てくる御殿、竜宮城の使いのようなきれいなみためから、その名がつけられたらしいです」
「ふーん、そんな綺麗なのか・・・近ければ見たかったな」
わたしたちが再びのんびりと海底をあるきはじめると、わたしたちの進むほうこうにリュウグウノツカイはすばやく泳いでいきました。
「どうやらわたしたちのの進む方向といっしょらしいですね」
「あっちになんかあんのかな」
「あるんじゃないですか?」
深海をずんずんすすんで行くと、とおくにおおきながけがあることに気づきました。
「うーん、迂回は面倒臭そうですし、そのまま進んでしましょうか・・・」
「ずんずん行こう」
がけに近づいていくと、そこに何かがいることにきがつきました。
「ん、あれさっきのリュウグウノツカイじゃねーか?」
「どうやらそのようですね、ここに来たかったのでしょうか?」
次のしゅんかん、わたしは驚愕しました。なぜなら目の前にありえないこうけいが広がっていました。
「お、おい!リュウグウノツカイがあんなに!」
「なんで・・・?リュウグウノツカイは群れを作らないのに・・・・」
「そうなのか?」
「はい、こんなこと珍しいを超えてありえません!」
めのまえで優雅におよぐリュウグウノツカイの大群に、わたしたちはあっけに取られました。
「なんだろう・・・すげェ綺麗だな」
「はい・・・・とっても綺麗です・・・・」
白金のようにかがやくリュウグウノツカイの体が、少なくさしこむひのひかりを照り返してくらい海底をチカチカと光らせます。地上では嫌というほどみることのできる光が、ここではこんなに感動することができるなんて思ってもみませんでした。
「なあ、マコ」
「なんですか?」
「地上は、今みたいに綺麗な光景はあるのか?」
「ありますよ、でも、もうわたしは・・・・」
わたしが言いかけると、なんとリュウグウノツカイの群れは、わたしたちを飲み込むように接近してきました。
「うわっ!マコ!気をつけろ!」
「はい!」
わたしたちはその場にしがみつきますが、イオちゃんにくらべて軽いわたしはすぐに巻き上げられ、そのまま崖の底へと沈んでいきました。その瞬間は、めまぐるしくも美しく、今まででもっともげんそうてきな光景で・・・・。
「はっ!」
わたしは現実のせかいで目を覚ましました。まだ太陽は登りきっていないそうちょうに目を覚ましたのは冒険をはじめたとき以来です。
「ん?あれ・・・・」
わたしは窓の外をみました。そこには、太陽の光をはんしゃしてキラキラと、夢のなかのリュウグウノツカイのようにかがやく海が目の前にただただひろがっていました。
「イオちゃん、地上には綺麗なものがいっぱいあるよ」
わたしは独り言をつぶやいて、早めの朝食をとることにしました。
マコちゃんは、これからもひとりぼっちなのだろうか。