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予想外な彼女

予想外な彼女Ⅲ

作者: いとみ

短編『予想外な彼女Ⅰ・Ⅱ』の続きです。

そちらを読んでからでないと、話が続かない恐れがあります。

 火曜日の午後四時四十五分。

 待ち遠しくて、ウズウズする心を必死に抑えていた。

 誰が知っているのか謎な、古びた小さな門。その周囲に人はいない。

 電柱の陰に隠れてその門を窺う。しばらく待つとキィーっと甲高い音を立てて、門が開いた。

 姿を見せた人影は、用心深くあたりを見回している。誰もいないことに安心したのか、ホッとした表情を見せて門をくぐり、それを閉めた。


 ……今だっ!!


「な~っちゃん、おかえり~!」

「……ゲッ」


 会いたくて仕方がなかった愛しの彼女、東野なつみの姿に、俺、但馬丈太郎の顔はだらしないほどデレデレしていることだろう。

 対する彼女は俺の姿を見つけた途端、忌々しいと言わんばかりにそのかわいい顔を歪めた。もー、そんな顔もかわいいんだからっ。


「何でここに……」

「俺を撒こうなんて甘いよ、なっちゃん」





 姑息な手を使って彼女を手に入れようとしてから、早三ヶ月が経ちました。

 二か月前には無事俺の両親にも紹介を終え(偶然の産物)、もはや俺と彼女の間に障害はない……と言いたいところだけど、一番肝心な彼女はまだ俺になびいてくれません。

 でも俺は、今日も愛に生きています。


 もうバイト先が一緒なだけじゃ彼女が足りないと、彼女の大学前で待ち伏せするようになった今日この頃。

 だってあのなっちゃんだよ!? もし大学からバイト先のケーキ屋までの徒歩五分の間に、害虫みたいな野郎どもに声掛けられたら……。そう思うと心配で、心労で倒れそう。


 俺となっちゃんのバイトは火・金・土・日。金曜はどうしても抜けられない授業があるから、なっちゃんのお迎えは行けない。土日は家まで迎えに行くけど、俺が来る前に彼女は先に行ってしまう。だから一緒にバイトへ行けるのは火曜だけ。

 それ以外の日は「バイトのない日まで、あんたの顔を見たくない」って、一刀両断されてしまった。だから会えない時間が愛を育てると思い込んで、何とかしのいでいる(心の支えは彼女の盗撮写真)。


 彼女の授業の時間割は把握済み。だから俺はなっちゃんが授業を終えて出てくるまで、ずーっと待っているのが習慣になった。

 ちなみに今日は二時から待っていたりする。逸る気持ちを抑えきれなかったのさ。当然、自分の授業はサボった。


 だけどはじめの頃、正門で待ち伏せしていた俺に捕まった彼女は、次の週は別の門から出て一人でバイト先に行ってしまったのだ。

 待ちぼうけを食らった俺はすぐに彼女の通う大学の図面を取り寄せ、すべての門の位置を頭に叩き込んだ。これでも一応実家は表向き建設会社を経営しているので、図面を手に入れるのは簡単。このときほど実家が建設関係でよかったと思ったことはない。

 複数の門があるが、最近では俺は彼女が出てくる門を当てられるのだ。これも愛の力でなせる業だ。


 本来なら彼女が大学にいるときも監視の目を緩めたくないのだが、幸か不幸か彼女は女子大に通っている。それも家族以外男子禁制の。一度、女装して潜り込めないかと試行錯誤したが、やはり無理だった。

 女子大のため、同年代の害虫が彼女に群がることがないから安心だ。ただ教員は男がいるからな。そこだけが心配。教え子に手を出す輩がいないことを祈る。もちろんそんな輩がいたら、生まれてきたことを後悔させるつもりだ。

 



 無事なっちゃんを捕獲した俺は、不機嫌な彼女と共にバイト先に出勤。


「おはようございま~す」

「おはようございます……」


 上機嫌で店に入って挨拶する。すると店長がホッとした顔をして、こちらにやってきた。


「但馬君、東野さん。悪いんだけど、しばらく二人でホールをまわしてくれないかな? 僕、すこしだけ抜けるよ」

「わかりました」

「すまないね。すぐ戻るよ」


 グッジョブ、店長。なんなら戻って来なくていいよ。

 なっちゃんと二人だけの世界……。くぅ~、たまらん。キッチンには他に誰かいるが、そんなもんは無視。これで客が来なければ完璧。

 そう思っていたのに……。


「大変申し訳ございません。そちらで一列にお並びください」

「お待たせいたしました。ご注文をお伺いいたします」


 な・ん・で、こんなに混雑しているんだよ。

 店長が抜けた途端、なぜか客がどんどん押し寄せる。なっちゃんとの世界に浸る暇がない。二人で対応しきれず、キッチンスタッフも総動員。

 結局俺と彼女がラストまで、仕事以外で言葉を交わすことはなかった。


「いやぁ~、すごいね、テレビの影響は。こんなにお客様が増えるとは思わなかった」


 戻ってきて、大盛況の店内にホクホク顔の店長。知らなかったのだが、テレビの取材を受けていたらしく、その放送が今日の昼の情報番組。その影響で、夕方から急に混みだしたらしい。


 俺は恨めしい顔で店長を睨み付けた。どうして俺が客にエンジェルスマイルで対応するなっちゃんを横目で見て、羨まなければいけないんだ。そんなことをするために、ここで働きだしたわけじゃない。わざわざ忙しくしやがって。

 俺の睨みに、店長が微かに怯えた。だけど閉店後に余ったケーキを貰って嬉しそうななっちゃんが見れたから、今日のところは許してやるよ。命拾いしたな、店長。


 午後九時。閉店作業を終えて、店を出る。俺はいつものように、歩いて彼女を家まで送る。送らなくていいと毎度ごねる彼女だが、変質者が多いので危ないからと口酸っぱく言い聞かせれば、渋々了承してくれた。最近バイトの行き帰りしか彼女を独占できなくて、なっちゃん不足が否めない。

 ちなみに歩く俺たちの数メートル後ろには、俺の送迎用の車が控えていたりする。わざわざ歩いて帰らず車に乗れば済む話だが、歩けば時間がかかる。それだけ彼女といられる時間が増える。俺の至福の時間。


「今日は忙しかったわね」

「そうだね。テレビってすごいね」


 帰り道での彼女は、行きよりも俺に少しだけ優しい。不本意ながらも、送ってくれる俺にちょっとだけ感謝してくれているようだ。「遠回りなのに……」と眉を下げる彼女の姿を見て、ドキドキが止まらなくて、ギュウギュウに抱きしめたくなったのは言うまでもない。

 そうこうしているうちに、あっという間に彼女の住むアパートに到着した。

 振り返り、俺を見上げるなっちゃん。上目づかいが猛烈にかわいい。


「ありがとう。気を付けて帰って」


 さすがに「お茶でもどう?」とは言ってくれないな。まぁ言ったが最後、俺は野獣になっちゃうけどね。


「なっちゃん、戸締りと火の元には気を付けて」

「ええ」

「おやすみ」

「おやすみなさい」


 部屋に入っていく彼女を見送ると、俺の横に車が止まる。無言で後部座席に乗り込んだ。


「お疲れっす、ぼっちゃん」

「ああ」


 俺は彼女の部屋を眺めながら、運転手のテルにうわの空で返事をする。


 電気が付いた部屋。中はどんなふうになっているんだろう……。

 なっちゃん、どんなパジャマで寝ているんだろう。

 今日もケーキをおいしそうに食べるんだろうなぁ。

 今のなっちゃんもいいけど、肉付きのいいなっちゃんも最高だろうな。あれ以上抱き心地がよくなったら……。ハッ、いかん。鼻血が出そう……。


 悶々と妄想を膨らませていると、おずおずと声をかけられた。


「ぼっちゃん、そろそろ帰りませんか?」


 時計を見ると、午後十時。彼女を見送ってから、もう三十分以上も経っていた。


「わかった。出してくれ」


 彼女のことを考えると、時間の経過が早い。

 罪作りななっちゃん。俺をこんなに虜にして、どうするつもり? もう離してあげられないよ。





 次の週の火曜日。またいつものようになっちゃんのお迎え。今日は堂々と正門に鎮座する。

 すると俺を避けるのに疲れたのか、はたまた行先が一緒だからどうでもよくなったのか、彼女は逃げることなくこちらにやって来た。


「なっちゃん、お疲れ様」

「……どうも」


 そっけないが、そんなところがまたイイ。どんな彼女も、俺の心を捕えて離さない。

 歩き出し、珍しく彼女から俺に話しかけてきた。


「ねぇ」

「何、なっちゃん」

「あんた、明日暇?」

「え?」


 空耳だろうか。なっちゃんが俺に予定を訊いてきた。


「暇かって訊いているんだけど」

「あっ、暇です。超暇過ぎて死にそうなぐらい、暇です!」

「そっ。よかった」


 これは夢? 幻? 俺、今日死んじゃうかもしれない……。 


「ど、どうして俺の予定を訊くの?」


 戸惑いながら尋ねるが、彼女は明言を避けた。ただ一言。


「とにかく明日、五時に正門に来て」


 こ、これは……まさか、まさかの……。

 まさかのデートのお誘い!!!

 嘘、本当に!? これ、俺の勝手な脳内妄想じゃないよね?

 試しに自分のほっぺを、これでもかってぐらい力を込めてつねってみた。……地味に痛い。


 うわ、夢じゃない。どうしよう。とうとうなっちゃんが俺の天よりも高く地より深い、世界規模のデカさの愛を受け入れてくれる日がやって来た!

 俺、多分一生分の運を使い切ってしまった。これからは不幸のどん底……。いや、なっちゃんが俺と共にいてくれる限り、一生ハッピーなのだ。そうだ、そうだとも。


 ヤバイ。顔のニヤケが止まらない。今きっと、とてつもなくだらけきった顔をしていることだろう。隣で彼女が「気持ち悪い顔」って冷たく吐き捨てたけど、それすら快感。

 もっと罵って! 俺、なっちゃん限定ならドMになってもいい。なっちゃんの靴なら唾液まみれになるほど舐めてもいい。ピンヒールで踏みつけられてもいい。鞭で打たれても興奮できると思う。


 幸せいっぱいでバイト先に現れた俺を見て、心なしか店長が怯えている。

 失礼な。この上機嫌の俺に恐れをなすとは。今の俺、大抵のことは水に流すことできるよ? ……なっちゃん関係以外ならね。


 その幸せいっぱいの中での接客は、非常に好調だった。頬を赤く染めて俺に見惚れる女性客。男でも何人かは虜にできたかもしれない。

 先週ほどではないけど、今日も客が多い。また仕事関連でしか彼女と話せなかったけど、今日の俺は懐が大きいぜ。拗ねたりしないのさ。

 俺のイケてる顔といつものなっちゃんのエンジェルスマイルで、今日の売り上げは先週並みの高さ。なにより今日は客単価が高い。これだけ貢献しているんだから、もっとなっちゃんとしゃべらせろ。もしくは時給上げろ、店長。


 閉店作業を終え、なっちゃんを家まで送る。アパートに着き、彼女は言った。


「送ってくれてありがとう。明日、絶対に来てよ」

「もちろん。絶対に行く」


 断言すると、ホッとしたように表情を緩める。

 あ……ヤバい。そんな顔されたら、明日まで我慢できなくなる。


「じゃあ、おやすみなさい」

「お、おやすみ……」


 彼女が家に入るのを見送り、俺はその場にしゃがみ込んだ。

 くぅ~。なっちゃん小悪魔! どれだけ俺を煽れば気が済むの!? あの場で押し倒さなかった自分を褒めてやりたいよ。


 明日……どうなるんだろう。どこへ買い物に行こうか。俺、なっちゃんの欲しいもの、全部買い占めそうだ。

 海の見えるレストランで食事の後、高級ホテルのバーで……あ、駄目だ。なっちゃん、未成年だった。別にいいかなって思うけど、真面目な彼女はそこのところは絶対譲らないだろうし。

 その後、夜景の綺麗なホテルのスイートルームで、なっちゃんの初めてを貰い……。


 うわぁあああ! 駄目だぁ~。想像だけですごく興奮する。こんなところでハァハァしていたら警察に通報されて、留置所入れられて、明日のデート行けなくなるっ。

 帰ろう。帰って、明日着る服を選んで、顔パックして、筋トレして、ぐっすり眠ろう。夜更かしは美肌の大敵。それに明日は夜通しなっちゃんを愛さなきゃいけないから、睡眠はきっちり取らねば。


「あの~、ぼっちゃん?」


 いつの間にか横付けされていた車の中からテルに声をかけられる。俺は急いで乗り込んだ。


「早く行ってくれ」

「え? 今日はもういいんすか?」


 いつも三十分以上は彼女の部屋を眺めているのに、今日はすぐに帰ると言い出した俺に戸惑っているのか。不思議そうに尋ねられた。


「いいんだ」

「わかったっす」


 車が動き出した。

 早く家に帰らねば。身体のメンテナンスをして、明日の記念すべき日に備えなければ。


 浮かれていた俺は次の日地獄に突き落とされることになるのを、このときはまだ知らない。





「……え? どういうこと?」


 俺は真顔で彼女に尋ねた。彼女は面倒そうに言い放った。


「だから彼女、同級生の上川さん」

「初めまして。上川和音でぇす」


 彼女の隣では、上目づかいで媚を売るように俺を見る女がいた。

 どういうことだ。今日はなっちゃんとデートではなかったのか。そう思って張り切っておしゃれして、いろいろイメトレして、ピロートークまで考えたというのに……。


「わぁ~、すごくかっこいい! 東野さん、紹介してくれてありがとう」


 ぶりっ子女が彼女に満面の笑みでお礼を言っている。それに引きつった笑顔を返すなっちゃん。

 ……酷いよ、なっちゃん! 小悪魔じゃなくて、悪魔だったんだね。でも……そんな悪魔ななっちゃんでも、嫌いになれないよぉ……。


「じゃあ、わたしはこれで」


 用は済んだとばかりに、その場から立ち去ろうとする彼女。俺は慌てて引き留め、ぶりっ子女から少し距離を置く。


「なっちゃん、どういうこと?」


 頑張って冷静に尋ねる。本当なら、もっと怒って詰め寄りたいぐらいだ。


「あんたが毎週迎えに来るから、それで目を付けたんでしょうね。紹介しろってうるさいから」


 酷いよ。俺がなっちゃんのこと好きだって知ってるくせに、他の女を紹介するなんて。


「はっきり伝えなくて悪かったわ。でも死にそうなぐらい暇なんだから、ちょっとだけ付き合ってやって。その後はあんたの好きにすればいいから」


 スーッと、頭が冷えていく。俺は無表情で彼女を見下ろした。


「……それって俺があの子とどうなってもいい、と?」

「……そうね」


 彼女は目を伏せたまま、そう言った。

 グサッと胸を鋭く抉る、彼女の一言。俺は力なく呟いた。


「それがなっちゃんの願いなら……」


 踵を返し、ぶりっ子女のところへ向かった。

 なっちゃんの馬鹿。後悔したって、もう知らないからね!!






 結論から言おう。

 俺はぶりっ子女には、指一本触れていない。

 なっちゃんへの当てつけで、この女と浮気してやろうと何度頭をよぎったことか。

 でも……できなかった。


 食指が動かない。むしろ嫌悪感しか抱けない。どうしたらこんな嫌悪の塊な女が出来上がるのだろうと言いたいほど酷かった。

 計算された上目づかいや舌足らずな話し方。男を誑し込む気満々のボディタッチやしぐさ。全部に反吐が出る。どの角度で、どうしたら自分の魅力が最大限に活かせるかを知っている、典型的な計算ぶりっ子女だった。

 正直、こういう女は慣れている。これまでどれだけ同じような女が俺に擦り寄ってきたことか。そんなものに騙されるほど間抜けな男ではない。


 一応食事だけして、さっさとタクシーに放り込んだ。これ以上は付き合いきれないし、付き合う義理もない。

 時間の無駄遣いだったけど、これが彼女の願いだから……。





 金曜日。なっちゃんはバイトに来なかった。

 代わりにやって来た、底抜けに人のいいバイトの鈴木君によると、彼女の友人が急病なので一緒に病院まで付き添い、看病するとのことだ。


 本当だろうか。もしかして俺、避けられてる? 

 そう思ったけど、確認する術はない。何より彼女が俺を避ける理由がないではないか。俺が怒っているから気まずいとしても、真面目な彼女はそんなことでズル休みをするはずがない。


 彼女のいないバイト先は、まるで通夜のようにしんみりしていた。





 土曜日。彼女はちゃんとバイトにやって来た。ただ、休日なので目が回るほど忙しく、呑気に私語などする余裕はなかった。

 こっそり彼女を観察しても、特に変わった様子はない。落ち込んだり悲しそうにしていたりするかも……なんて想像した自分は、どれだけうぬぼれていたのだろう。思わず自嘲の笑みが漏れる。


 閉店作業後、いつものように彼女を家まで送ろうとした。が、店を出たところで断られる。


「どうして? 一人で帰るなんて物騒だって、前にも言ったよね?」


 聞き分けのない彼女に若干苛立っていると、彼女の口からとんでもない言葉が出てきた。


「平気よ。それに送ってもらったら、彼女に悪いじゃない」

「……か、のじょ?」


 ……誰のことを言っているんだ?

 思いもよらぬことで、俺は戸惑った。その間に彼女は淡々と話を続けた。


「水曜、上手くいったそうね。彼女にお礼を言われたわ。『あんな素敵な人を紹介してくれてありがとう』って。何でも朝まで一緒にいたとか。彼女、相当惚気ていたわよ」


 頭が真っ白になった。彼女の言う言葉が理解できない。

 朝まで一緒? 何だ、それ。

 言いようもない怒りが沸々と湧いてきた。彼女に嘘を吹き込んだあの女も、その嘘を信じ込んだ彼女にも。


「彼女持ちの人にそこまでしてもらえないわ。だから気にしないでください、但馬さん」


 彼女はふわりと、天使のように微笑んだ。

 それを目にした途端、絶望の淵に立たされた気がした。


 彼女に初めて名前を呼ばれた。バイト中に名前を呼びかけられた人がどれだけ羨ましかったことか。念願だったことが叶ったのに、全然嬉しくない。

 初めて敬語を使われた。節度を持った丁寧な態度なのに、悲しみしか感じない。

 そしてあの笑顔。彼女を脅迫したときから、俺へは向けてくれなかった天使の微笑み……。

 その真意にたった今、気がついた。


 これは彼女の武装。人当たりのいい対応をするために張り付けた武器。あれは決して心から笑っているものじゃない。彼女の、本当の笑顔じゃない……。

 今は俺に対して、上辺だけの笑みでやり過ごそうとしているだけ。その他大勢として、当たり障りのない対応をしているだけ。

 完全に線を引かれた。これまでの俺に対する辛辣な態度、棘のある物言い……。それがある意味彼女の特別だったのだ。


 何も反応を返さない俺を不審に思ったのか、彼女は窺うように俺を覗き込む。


「……但馬さん?」


 呼ばれた途端、俺の中の何かがキレた。

 彼女の腕を掴み、逃げられないように手に力を込める。痛みのせいか、彼女の顔が微かに歪む。


「あの……」

「どうして……」

「え?」

「どうしてそんな顔をするんだ……」


 彼女を見下ろす俺は今、きっと驚くほど冷たい目をしていることだろう。彼女がビクッと身を竦ませる。

 俺の目に彼女の細い首が飛び込んできた。ゆっくりとそれに手を近づける。


「ちょっと……」


 怪訝そうな彼女の声も、耳に入ってこない。

 この華奢な首に手をかければ、力を籠めれば――――きっと簡単に骨が砕けるだろう。

 そうすれば――――彼女は永遠に俺のモノ……。


 彼女の首に手をかけようとして、寸でのところで止まった。

 俺は一体何を……。この手で、彼女を……。


 反芻し、ゾッとした。彼女を手にかけようとしたことに、今さら恐怖が襲い掛かる。

 両手から力を抜き、彼女を解放した。彼女は困惑の表情で俺を見る。

 俺は手で合図をし、後ろに控えていた車を呼んだ。


「車で送るから。……お願いだから、送らせて」


 真摯に懇願すると、彼女は素直に車に乗ってくれた。彼女のアパートに着くまで、沈黙を貫いた。


「あの……着きましたけど」


 気まずそうに知らせてきたテル。ハッとした彼女が、慌ててドアに手をかけた。


「あ、ありがとうございました。おやすみなさい」

「なっちゃん!」


 俺の呼びかけに、彼女の動作が止まった。


「……ごめん。なっちゃん、ごめんね……」


 俺はとにかく謝った。俺に背を向ける、彼女からの返答はない。

 頑なに俺を拒絶する彼女の態度に、言いようもない悲しさが込み上げる。


「……おやすみ、なっちゃん」

「……おやすみなさい」


 今度こそ彼女は車から降りて、小走りで自分の部屋に駆け込んでいった。

 俺と彼女のただならぬ様子に、テルが恐る恐る訊いてきた。


「ぼっちゃん……何かあったんすか?」


 俺は返事をしなかった。

 沸々と腹の中に湧き上がるものを感じ、思わず笑ってしまった。


「くっ……」

「ぼっちゃん……?」


 突然笑い出した俺に、戸惑うテル。

 俺は久々の感覚に、笑いを止めることができなかった。


「あー……、完全に思い出した……」


 呟き、冷たい笑みが浮かぶ。

 なっちゃんに出会って忘れていた、閉じ込めていた、本来の俺を……。


「きっちりお礼しなきゃなァ……」


 さぞかし冷酷な表情をしていたのだろう。俺の顔を見た途端、テルが「ひぃっ!」と悲鳴を上げた。





 日曜日。俺は代わりの者をバイトに行かせ、ぶりっ子女を呼び出した。

 無理矢理握らされた連絡先、捨てなくてよかった。これがなければ、お礼できないからな。


「お待たせしてごめんなさぁい、但馬さん」

「いいや。そんなに待っていないよ。じゃあ行こうか」


 これからどんな目に遭うかも知らず、俺に誘われて上機嫌な馬鹿女。そのうち笑えなくなるから、今だけ叶わぬ夢でも見ているがいい。

 辺りがすっかり暗闇に覆われた頃、俺は女をとある雑居ビルの屋上に連れてきた。


「但馬さぁん。ここで何するんですかぁ~?」

「……すぐにわかるよ」


 俺は女の腕を掴み、柵まで引っ張っていく。鍵を開け、柵の向こうに出た。


「危なくないですかぁ」

「大丈夫だよ」


 甘えたような声で俺に縋る女。鳥肌が立つほど不快だが、今は仕方がない。我慢して縁まで進む。


「こんなところで何をするんですかぁ?」

「スリルがあると思わない? こういうところでスるの」


 耳に顔を近づけて囁くと、女は期待に満ちた目で俺を見つめる。ニッコリ笑みを返すと俺に抱きつき、胸を押し付けてくる。

 嫌悪感を必死に隠し、俺は女を抱き上げた。そしてそのまま押し倒す。


「キャッ!」


 さっきまで欲に浮かされていた瞳が、一瞬で恐怖へと変わる。

 女は縁から仰向けで身を乗り出した状態だ。胸から頭まで空中でグラグラと揺れている。


「た、たじまさ……」

「スリル、あるだろ?」


 俺が少し押せば、女は人生の最期へ繋がる深い暗闇へ真っ逆さま。

 この女の命は俺の手中にある。


「じ、冗談はやめ……」

「冗談? そう見える?」


 女は俺に対する恐怖に囚われた。首に手をかけ、グイッと女の身体を下へ押し、より恐怖感を煽る。

 耳障りな女の悲鳴が周囲に木霊する。


「やめてェ!!」

「これは罰だ。俺の女を騙った……ね」


 彼女と出会う前の俺は、適当に後腐れのない女と関係していた。そういう女を選んではいたが、欲が出る奴は必ずいる。周囲に“俺の女”と吹聴した奴は、きっちり落とし前をつけてきた。例外は、ない。


「聞かせてくれる? どうして東野なつみに嘘を吹き込んだ」


 涙を浮かべて恐怖に震える女。ああ、顔面を見るも無残なほど切り刻んでやりたい。


「あ……あ、」

「……早く言えよ」


 低い声を出して凄めば、小さく悲鳴を上げた女は必死で捲し立て始めた。


「あ、あの子が悪いのよ! 澄ました顔して、周囲にいい顔して……。羨望を受けるべきはわたしのはずなのに!!」


 逆恨みかよ。忌々しい女だ。思わず舌打ちする。


「そ、その上、わたしの取り巻きよりも美形の男を連れてるから、ムカついたのよ! その男を奪ってやったら、悔しがる顔を見たら、清々すると思って……」

「性根が腐ってんな、お前」


 この女のついた嘘のせいで、俺は彼女から一線を引かれた。

 この女は償わなければいけない。俺から彼女を奪った罪だ。


 恐怖による涙で顔をぐちゃぐちゃにしている女を無表情で見つめていたが、フッと口角が上がる。


「償い方を選ばせてやるよ。一、このままここからダイブ。二、俺に対する精神的苦痛の慰謝料を支払う。三、二度と見られないように顔面崩壊。さぁ……選びなよ」


 選択肢を提示すれば、恐怖に震えながら食い下がる馬鹿女。


「こんなことをして、ただで済むと思ってるの!? わ、わたしを誰だと思って? 上川建設の社長令嬢よ!」

「ふーん……なら、好都合だ」

「え……?」


 ニィと笑みを浮かべると、困惑する顔にぶつかる。


「上川建設……うちの会社の下請けだな。取引停止、なんて選択肢も悪くない」


 一族を路頭に迷わせるのもいい。家の権力しか見栄を張るところがないのなら、それすら奪い取って完膚なきまでに叩き潰すのも楽しそうだ。こんな女に育てた、親にも責任を取ってもらわなきゃ。


「お勧めの選択肢は“一”なんだけどなぁ。血痕一つ残さずに、跡形もなく処理してあげる。一番苦痛が少ないからね。多少の痛みであの世へ行けるよ」


 そう勧めると、半狂乱になった女が暴れながら叫んだ。


「何よぉ! 全部あの女が悪いのよ! あの女さえいなければ、わたしの人生バラ色だったのに!! 絶対許さないんだからぁ!!」


 すーっと、頭が冷えた。首にかけていた手を離し、女の胸ぐらを掴んで柵の内側へ引きずる。それから乱暴に投げ捨てた。

 女は助かったと思い、荒い息をしながら俺を睨み付けている。

 いい度胸だ。……だが、いつまでそんな顔をしていられるかな。


「……気が変わった。お前、終わったな」


 携帯を取り出し、あるところへ電話をした。会話の内容を聞いていた女の表情が、再び恐怖へと変化していく。よろよろと俺に近づいてきた。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。許してください。何でもするから、それだけは……」


 足に縋りついてくる女を足蹴にして踏みつける。咳き込みながら涙や鼻水で無残な顔を晒した。それを冷ややかに見下ろす。


「助かりたいか?」


 そう訊けば、首がもげるんじゃないかと思うほど女は激しく頷いた。


「なら今後、俺と東野なつみに近づくな、見るな、しゃべるな、触るな。とにかく二度と姿を現すな。もし破ったら、さっきの……」

「や、約束します! だから許して……」

「でもその前に彼女に嘘をついたことを弁明しろ。それからここで遭ったことは他言無用だ。わかるな?」


 頷いたのを確認し、俺は一万円札を数枚、女の目の前に落とした。


「本当ならこっちが慰謝料を受け取るべきなんだが……まぁいい。一応、俺の女らしいからな。手切れ金だ。これで全部忘れろ」


 返事がないことに苛ついて、女の髪を鷲掴み、視線を合わせる。


「……忘れろ。いいな?」


 ドスの効いた声で再度確認すれば、「はい」と弱々しい返事をした女。乱暴に手を離して、下へ降りて行った。

 外で待っていた組の連中にしばし女の監視を命令し、俺は車に乗り込んだ。


「ぼっちゃん、今日のなつみさんはいつもと変わらないそうです」

「そうか」


 テルから報告を聞き、俺は座席にもたれて目を閉じた。


 ねぇ、なっちゃん。

 俺がこんな男だって知ったら、なっちゃんはどう思うかな。

 怖い? 最低? 人でなし? 罵詈雑言が降ってきそうだ。

 でもね、俺はきっと、なっちゃんにはそんな俺を見せることはないって信じているんだ。

 だってなっちゃんの前での俺は、情けなくて、馬鹿で、へこたれない、なっちゃんのことで頭がいっぱいの恋に溺れた駄目男だから。

 だから、こんな俺をその他大勢と一緒にしないで。

 睨まれてもいい。ウザがられてもいい。冷たい言葉しかかけられなくてもいい。好きになってほしいとは言わない。……本当は嫌だけど。

 なっちゃんがどんなに俺を拒絶しても、もう絶対逃がしてあげられない。

 ごめんね、なっちゃん。

 俺、ようやく覚悟決めたから……。





 火曜日。俺は大学の正門で、彼女が現れるのを待っていた。いつもより早い時間。彼女の最後の授業は休講らしいから。

 彼女は友人らしき女の子と一緒に歩いてこちらへやって来た。俺を一瞥し、眉間に皺を寄せた。


「お疲れ様、なっちゃん」


 努めて冷静に声をかければ、彼女は怪訝な表情になる。


「……あんた、あの子に何したの?」

「何って?」

「わたしを見た瞬間に怯えだして、“この前言ったことは全部嘘だった。付き合ってないし、朝まで一緒に過ごしてない。嘘をついてごめんなさい”って号泣しながら謝られたわ」


 ふーん……。ちゃんと約束守ったんだ、あの馬鹿女。まぁ、当然か。


「別に何もしていないよ? ただ迷惑だからやめてほしい、って言っただけ」


 納得できないようだったが、これ以上あの女のことを話すつもりはない。それを感じ取ったのか、それ以上は何も聞かれなかった。

 俺は携帯を取り出して、電話をかけた。


「あ、俺。ちょっと出てきて」


 すぐにいつも送迎してくれるテルが姿を見せた。


「ぼっちゃん、お呼びっすか?」

「ああ。証人として立ち会ってくれ」


 不思議そうに俺を見る男を無視し、俺は彼女に向き直る。


「なっちゃん」

「何よ」

「俺と結婚してください」

「…………ハァ?」


 彼女だけでなく、彼女の友人やテルも口をポカンと開けて硬直した。


 俺はもう、あんな風に彼女からその他大勢として扱われたくない。

 彼女の全部を縛りたい。身も心も戸籍も全部俺の物にしたい。

 本当なら甘酸っぱい青春みたいな恋愛をしてから結婚したいけど、全部すっ飛ばしてでもなっちゃんが欲しい。

 彼女の隣にいる理由が欲しい、心配する理由が欲しい。

 “彼氏”という肩書だけじゃ弱い。戸籍上の“夫”として、世間的にも法的にも彼女を守る立場が欲しいんだ。


「なっちゃん、俺と結婚して。全身全霊をかけてどんな脅威からも守るし、一生なっちゃんだけを愛するから、守るから……お願い」


 どれだけ沈黙が続いただろう。じっと見つめていると、彼女の口が動いた。


「……いいわよ」

「ふぇ?」


 俺、耳がおかしくなったかも。幻聴が聞こえる……。


「……なっちゃん、俺と結婚……」

「だから、いいわよって言ってるの」


 嘘……。マジでぇええええ!? これって夢? 幻? 

 またほっぺをつねる……いててててっ! 夢……じゃない!


 うわぁあああ!! 俺、逆転ホームラ――――ン!!

 なってこった! 俺、本当に一生分の運を使い切ったかもしれない。明日、死んじゃうかもしれない。この先ずっと、不幸のどん底……。

 ブルブルブル(首振り)。いや、違う。なっちゃんがいる限り、俺は世界一の幸せ者なんだ。そうだ、そうに決まっている。

 これまでの苦労やら何やらが全部走馬灯のように蘇ってきて、思わず目頭がじわっと熱くなる。


「なっちゃん、ありがとう。絶対幸せにするからね……」


 両手を大きく広げ、彼女に抱きつこうと一歩踏み出したそのとき――――


「ただし!」

「ほぇ?」


 また変な声が出た。ピタッと動作を止める。


「条件がある」

「条件?」

「……呑んでくれる?」


 彼女は俺を見上げて、小首をかしげる。

 くぅ~、クるわ、この上目づかいに小首かしげ。なっちゃん、小悪魔!!


「呑む! 呑みます! 男に二言はありません!!」


 彼女が少し俯き、微かに口元を上げた。「…………ったわよ」と何やら呟いていたが、小さすぎて聞こえなかった。

 彼女は顔を上げ、口を開いた。


「条件一、結婚は大学卒業まで待って。学生のうちはちゃんと勉強したいの」

「それは俺の大学卒業?」

「わたしの卒業よ。決まっているでしょう」


 まぁ、それもそうか。俺も今の状態じゃ、なっちゃんを養えないからな。金、稼がなきゃ。


「条件二、絶対に浮気するな。わたし、“浮気は男の甲斐性”っていう言葉、大っ嫌いなの。そういう男、ぶちのめしたくなる」

「もちろん! なっちゃんがいるのに他の女とか、ありえないよ」


 なっちゃんになら、ぶちのめされてもいいけど……嫌われるのは嫌だ。そんなんじゃ、生きていけない。


「条件三、……これが一番大事。結婚するまで、わたしに指一本触れるな」

「……え?」


 指一本、触れるな??


「ちょっと語弊があるけど……つまり、結婚するまで貞操は守って」

「そんな! 俺に我慢しろって言うの!?」

「男に二言はないんでしょう?」

「ぐっ……」


 ひ、酷い。なっちゃんの悪魔! 


「もちろん同じ条件をわたしも守る。お相子でしょう?」

「でも……」


 いやだぁ! なっちゃんとエッチ出来ないなんて! まだ二年半もあるのにぃいい!!

 納得できないでいると、なっちゃんが自嘲の笑みを浮かべた。


「……浮気するなって言っておきながら指一本触れるなって、酷いことを言う女でしょう? だからこんな女に構うのはやめて、他にいい人見つけなさいよ……」


 ……はっ。こ、これは愛の試練なのか。なっちゃん、俺を試しているんだな。

 俺がどれだけなっちゃんに本気で、なっちゃん限定で一途なのか、ちゃんと示さなきゃ。


「わかった。俺、全部の条件呑むよ」

「えっ……」

「浮気しないし、なっちゃんのバージンも守る。だから卒業したら、結婚しようね」

「……本気?」

「男に二言はないって言ったでしょう?」


 心なしか、彼女の顔が引きつっている。大方、俺が根を上げて離れていくとでも思ったのかな。甘いよ。絶対に離さないんだから。


「……まぁ、それでいいならいいわ」

「ということで、これからもよろしくね。俺のかわいい婚約者さん!」


 ふと横を見ると、いまだに彼女の友人とテルが呆気にとられている。どうでもいいや。


 こうして俺たち、結婚を前提としたお付き合いを始めることになりましたぁ~!

 もう幸せすぎて、反動が来そう……。でも、今の俺に向かうところ敵なしなのさ!


「……あ、そうそう。言うの忘れていたけど」


 思い出したかのように声を上げる彼女。そのかわいい顔を覗き込む。


「なーに? なっちゃん」

「わたし、来月から半年、イギリスに行くから」

「……え??」


 目が点になる。


 イギリス?

 えぇええええ!! 嘘でしょう!?


「嘘!? 何で!? どうして!?」

「大学のカリキュラムで海外研修があるの」

「ヤダヤダヤダ! 行かないで!」

「行かなきゃ、単位もらえないわよ」


 パッと彼女の友人に視線を移せば、大きく頷いている。


「全員必修なので、行かなければ卒業できません」

「そういうこと。行かなきゃ、中退。結婚の条件は“卒業”だったわよね?」

「くっ……」


 なっちゃん、絶対わかって言っていたよね? 酷い! 悪魔どころか魔王じゃないか!!

 ……でも、そんな取りつく島がないなっちゃんも、大大大好きだぁあああ!!


「半年いないけど、浮気したらその瞬間に終わりだからね」

「……うん」


 せっかくこれから甘い婚約期間の始まりだったのに、すぐに遠距離恋愛ってないよぉおおおお!

 神様の、いじわるぅううう!!


 ガックリ落ち込む俺を見て、ニヤリと笑う愛しい彼女。


「無理なら、我慢せず他の女のところへ行ってね」

「嫌だ」


 もう、どこまで行っても予想外な彼女に振り回されっぱなし。

 でも……そんな毎日も悪くない。

 だって退屈を感じる間もないほど、彼女といると満たされるから。


 なっちゃん、俺を甘く見ないでよ。

 俺、絶対になっちゃんをお嫁さんにするんだからね。




次こそ彼女視点です。

またしばしお待たせします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続き、いつか書かれるのなら!楽しみです!!
[一言] 一途な男性っていいですね。 なかなか靡かない女性との攻防戦も大好きなんですが、一連の作品の登場人物はそれがド極端で面白く、飽きがこないです。 続きが読めるのは早くて半年後かと思っていますが、…
[一言] いつ読んでも健気で笑っちゃいます。 一応、1歩前進ということで、頑張れ丈太郎っ! 次回も期待しています。
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