クリスマスイブ 実った愛の先で
十二月二十四日。クリスマスイブ。
朝、目が覚めると窓の外は快晴だった。冬の澄んだ青空が、広がっている。今日は、蓮との初めてのクリスマスデート。その期待が胸を高鳴らせる。
俺はベッドから起き上がった。時計を見ると、まだ朝の八時だ。待ち合わせは夕方の六時。まだ、時間がある。でも落ち着かない。
朝食を食べ、シャワーを浴びる。鏡の前で髪型を整える。いつもより、念入りに。服装も何度も着替えた。蓮が喜んでくれる服装。カジュアルすぎず、でもフォーマルすぎない。黒のタートルネックに、グレーのコート。シンプルだが、大人っぽい。
準備を終えてリビングに戻る。テーブルの上には、蓮へのプレゼントが置いてあった。ペアリング。シンプルなデザインだが、高級なもの。蓮が喜んでくれるといいが。
時計を見ると、まだ昼の十二時。まだ、六時間もある。この待ち時間がたまらなく長い。
スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。
『おはよう、海斗。今日、楽しみだね。六時に、駅で会おうね。大好き』
蓮からのメッセージ。愛の言葉。その言葉が俺の心を温かくする。
俺は返信を打った。
『おはよう、蓮。俺も楽しみだ。六時に駅で。愛してる』
送信すると、すぐにハートマークのスタンプが返ってきた。
時間がゆっくりと過ぎていく。落ち着かない。何度も時計を見る。
午後三時。まだ、三時間ある。
午後四時。まだ、二時間ある。
午後五時。あと、一時間。
もう、待ちきれない。俺は家を出た。
※ ※ ※
駅に着いたのは五時半だった。まだ、待ち合わせの時間まで三十分ある。でも、もう待てなかった。
改札の前で蓮を待つ。周りには、クリスマスデートに向かうカップルたちが溢れている。みんな、幸せそうだ。でも、俺も負けていない。今日、蓮と過ごせる。その事実が何よりも幸せだ。
五時四十五分。まだ、蓮は来ない。まだ、待ち合わせの時間より十五分早い。焦る必要はない。
五時五十分。そろそろだ。
五時五十五分。心臓が、激しく鼓動している。
そして、六時。
改札から、蓮が現れた。
その瞬間、俺の息が止まった。
蓮が綺麗だった。いつもの制服ではない。私服の蓮。白いニットに、黒いロングスカート。髪は、いつもより少し巻いている。薄く化粧をしていて、その顔がいつもより大人っぽい。
「海斗」
蓮が俺を見つけて駆け寄ってきた。その笑顔が輝いている。
「待った?」
「いや、俺も今来たところだ」
嘘だ。三十分も前から待っていた。でも、それは言わない。
「海斗、かっこいい」
蓮が俺を見上げた。その目が嬉しそうだ。
「蓮も、綺麗だ」
俺の言葉に、蓮の頬が赤く染まる。
「ありがとう」
蓮は俺の腕に自分の腕を絡めた。その温もりが、心地よい。
「じゃあ、行こうか」
「ああ」
二人でイルミネーションスポットに向かった。電車に乗り、都心へ。車内は、クリスマスデートに向かうカップルたちで賑わっている。
蓮が俺の肩に頭を預けてくる。その重みが、嬉しい。
「楽しみだね」
「ああ」
「海斗と一緒のクリスマス」
蓮の声が、幸せそうだ。その声を聞いて、俺の胸が温かくなる。
※ ※ ※
イルミネーションスポットに着いたのは、夜の七時前だった。
既に辺りは暗くなっていて、無数の光が、夜を彩っている。青、白、金、赤。様々な色の光が、木々を、建物を、道を照らしている。その光景が、幻想的だった。
「わあ……」
蓮が感嘆の声を上げた。その目が輝いている。
「綺麗……」
「ああ」
二人でイルミネーションの中を歩く。手を繋いで、ゆっくりと。周りには、多くのカップルたちがいる。みんな、幸せそうだ。
光のトンネルをくぐる。無数のLEDライトが、頭上を覆っている。その光が蓮の顔を照らす。その表情が、美しい。
「海斗、見て」
蓮が光の木を指差した。大きな木が無数の光で飾られている。その光が風に揺れている。
「綺麗だな」
「うん」
蓮は俺の腕にしがみついた。その身体が、温かい。
「写真、撮ろうか」
「ああ」
蓮がスマホを取り出した。二人で自撮りをする。蓮の笑顔。俺の笑顔。二人の幸せが、写真に残る。
「いい写真だね」
「ああ」
イルミネーションを見ながら、ゆっくりと歩く。その時間が幸せだった。蓮との時間。この瞬間が、永遠に続けばいい。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「ありがとう」
蓮が俺を見上げた。その目が潤んでいる。
「こんな素敵なクリスマス、初めて」
「俺も」
俺は蓮の手を握った。その手が温かい。
「蓮と一緒のクリスマス。最高だ」
「海斗……」
蓮の目から、涙が溢れた。でも、その涙は幸せの涙だ。
「大好き」
「俺も、愛してる」
周りの視線を気にせず、俺は蓮を抱きしめた。蓮の身体が、俺の腕の中に収まる。その温もりが愛おしい。
※ ※ ※
ディナーの時間が近づいてきた。
イルミネーションスポットを後にして、レストランに向かう。予約していたのは、都内の高級レストラン。窓から夜景が見える、特別な席。
レストランに着くと、ウェイターが俺たちを席まで案内してくれた。窓際の席。そこからは、東京の夜景が一望できる。無数の光が、夜空を照らしている。
「わあ……すごい……」
蓮が感動の声を上げた。その目が、輝いている。
「綺麗だね」
「ああ」
二人で席に座る。メニューを見ながら、料理を選ぶ。どれも美味しそうだ。
料理が運ばれてくる。フレンチのコース料理。前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザート。どれも、美しく盛り付けられている。
「美味しい」
蓮が幸せそうに料理を食べる。その表情を見ているだけで、俺も幸せになる。
食事をしながら、二人で会話をする。学校のこと。将来のこと。他愛もない話。でも、その会話が、何よりも楽しい。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「プレゼント、交換しようか」
蓮の言葉に、俺は頷いた。
「ああ」
俺はポケットから小さな箱を取り出した。その中には、ペアリングが入っている。
「蓮、これ」
蓮は箱を受け取った。そっと開けると、その中のリングを見て、目を見開く。
「わあ……綺麗……」
蓮の声が、震えている。その目から、涙が溢れてくる。
「海斗……ありがとう……」
「気に入ってくれた?」
「うん。すごく」
蓮はリングを指にはめた。その指が、美しい。
「私からも」
蓮は小さな箱を俺に差し出した。俺はそれを受け取って開ける。中には、ペアリングが入っていた。蓮が選んでくれたリング。シンプルだが、洗練されたデザイン。
「ありがとう、蓮」
俺もリングを指にはめた。二人の指に、同じリングが輝いている。
「お揃いだね」
「ああ」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が輝いている。
「これからも、ずっと一緒だよ」
「ああ、約束する」
二人で手を重ねる。リングが、光を反射して輝く。その輝きが、二人の未来を照らしているようだった。
※ ※ ※
ディナーを終えて、レストランを出たのは、夜の十時を過ぎた頃だった。
外は、冷たい風が吹いている。でも、俺の心は温かかった。蓮との時間。この幸せな時間。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「私の部屋、来る?」
蓮の言葉に、俺の心臓が跳ねた。蓮の部屋。二人きりの時間。
「ああ」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、どこか色っぽい。
「じゃあ、行こっか」
二人で駅に向かった。電車に乗り、蓮のマンションへ。車内は、まだクリスマスデートを楽しむカップルたちで賑わっている。
蓮が俺の腕にしがみついてくる。その身体が、温かい。
「楽しかったね」
「ああ」
「でも、まだ終わりじゃないよ」
蓮が俺を見上げた。その目が熱を帯びている。
「これから、もっと……ね?」
蓮の言葉に、俺の胸が高鳴った。これから。蓮の部屋。二人きり。
その期待を胸に、俺たちは蓮のマンションに向かった。
※ ※ ※
蓮のマンションに着いたのは、十一時前だった。
エレベーターで最上階近くまで上がり、蓮の部屋に入る。リビングには、小さなクリスマスツリーが飾られていた。その光が部屋を淡く照らしている。
「綺麗」
「えへへ、昨日飾ったの。海斗が来るから」
蓮は少し照れくさそうに微笑んだ。その笑顔が、可愛らしい。
「ありがとう」
「どういたしまして」
蓮は俺の手を引いて、ソファに座らせた。その隣に蓮も座る。その距離が近い。
「今日、すごく楽しかった」
「俺も」
「イルミネーション、綺麗だったね」
「ああ」
「ディナーも、美味しかった」
「蓮が喜んでくれて、嬉しい」
俺の言葉に蓮は微笑んだ。その笑顔が美しい。
「でもね、海斗」
「ん?」
「一番嬉しかったのは、海斗と一緒にいられたこと」
蓮の声が甘く響く。その声に、俺の胸が高鳴る。
「俺も。蓮と一緒にいられて、幸せだった」
「海斗……」
蓮の顔が、近づいてくる。その唇が俺の唇に触れようとする。
唇が重なった。
今までとは違う。今日のキスは特別だ。クリスマスイブ。二人で過ごした、特別な日。その想いが、キスに込められている。
蓮の唇が、俺の唇を求めてくる。その動きが激しい。蓮の手が俺の首に回される。その身体が俺の身体に密着してくる。
俺は蓮の腰を抱いた。蓮の身体を引き寄せる。制服ではない。私服の蓮。そのニットの感触が、柔らかい。
舌を絡め合わせる。蓮の舌が貪るように俺の口内を探る。その積極性に、俺の理性が揺らぐ。
「んん……海斗……」
蓮の吐息が荒い。その吐息を感じながら、俺は蓮を愛おしむ。
キスが終わると、蓮は俺を見つめた。その目が、潤んでいる。その頬が、赤く染まっている。
「海斗……私の部屋、行こう……」
蓮の言葉に、俺は頷いた。
「ああ」
蓮は俺の手を引いて、自分の部屋に向かった。ドアを開けると、蓮の甘い匂いが漂ってくる。
部屋の中は薄暗い。間接照明だけが、部屋を淡く照らしている。その明かりが、蓮の顔を照らす。その表情が艶やかだ。
「海斗……」
蓮が俺を抱きしめた。その身体が、熱い。
「もっと、触れたい……」
蓮の声が、甘く響く。その声が俺の理性を溶かしていく。
「ああ」
俺も蓮を抱きしめた。蓮の身体。その温もり。その柔らかさ。全てが、愛おしい。
クリスマスイブの夜。二人だけの時間。この時間が永遠に続けばいい。
その想いを胸に、俺は蓮を愛し続けた。




