クリスマスの前戯
十二月も半ばを過ぎた。
学校は、完全にクリスマスムードに包まれていた。教室の窓には雪の結晶の飾りが貼られ、廊下にはクリスマスソングが流れている。生徒たちの会話も、クリスマスの予定で持ちきりだ。街は色とりどりのイルミネーションで彩られ、夜になると幻想的な光景が広がる。
明日はクリスマスイブ。蓮との初めてのクリスマスデート。その日が、ついに明日に迫っていた。
俺の胸は、期待と緊張で高鳴っている。レストランの予約も済ませた。蓮へのプレゼントも用意した。ペアリング。シンプルだが、高級なもの。蓮が喜んでくれるといいが。
放課後、俺は蓮と一緒に生徒会室にいた。今日は、生徒会の仕事が早く終わった。部屋には、俺と蓮の二人だけが残っている。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「明日、楽しみだね」
蓮が、嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、輝いている。蓮も明日のデートを楽しみにしてくれている。その事実が嬉しい。
「ああ。俺も楽しみだ」
「何時に待ち合わせる?」
「十八時でいいか? イルミネーションは、暗くなってからの方が綺麗だし」
「うん。十八時ね」
蓮はスマホにメモをした。その仕草が、可愛らしい。
「ディナーは、二十時に予約してある」
「ありがとう、海斗」
蓮は俺の手を握った。その手が温かい。
「楽しみだな」
「うん。私も」
蓮の目が俺を見つめる。その瞳が潤んでいる。
「海斗と過ごす、初めてのクリスマス」
「ああ」
「ずっと、夢見てたの」
蓮の声が甘く響く。その声に、俺の胸が高鳴る。
「海斗と、クリスマスデートすること」
「……」
「イルミネーション見て、ディナーして……」
蓮の頬が少し赤く染まる。
「その後、二人きりで……」
蓮の言葉に俺の心臓が跳ねた。その後。蓮の部屋。二人きり。
「楽しみにしててくれ」
「うん」
蓮は俺の肩に頭を預けた。その重みが心地よい。蓮の髪から、甘い香りが漂ってくる。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「今日、私の部屋に来る?」
蓮の言葉に、俺は少し驚いた。今日?明日がクリスマスイブなのに。
「今日?」
「うん。明日の前に、ちょっと会っておきたいな」
蓮の声が甘える。その声が可愛らしい。
「分かった。行くよ」
「やった」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、美しい。
※ ※ ※
蓮のマンションに着いたのは、夕方六時を過ぎた頃だった。
エントランスで蓮と待ち合わせをして、一緒にエレベーターに乗る。エレベーターの中、二人きり。蓮が、俺の腕にしがみついてくる。その身体が、温かい。
「ドキドキする」
「え?」
「明日のこと考えると、ドキドキして」
蓮の頬が、赤く染まっている。その表情が初々しい。
「俺も」
俺は蓮の頭を撫でた。蓮が嬉しそうに目を細める。
エレベーターが止まり、蓮の部屋に向かう。蓮が、鍵を開ける。中に入ると、いつもの広いリビングが広がっていた。
「ただいま」
誰もいない部屋に蓮が呟く。その声が少し寂しそうだ。蓮は、いつも一人でここに帰ってくる。その寂しさを、俺は少しでも埋めてあげたい。
「お邪魔します」
「どうぞ」
蓮は、俺の手を引いて、リビングのソファに座らせた。その隣に蓮も座る。その距離が近い。蓮の体温が、俺に伝わってくる。
「飲み物、持ってくるね」
「ああ、ありがとう」
蓮がキッチンに向かう。その後ろ姿を見送りながら、俺は窓の外の景色を眺める。既に暗くなり始めていて、街の明かりが綺麗だ。
蓮が紅茶を持って戻ってきた。温かい紅茶の香りが、リビングに広がる。
「ありがとう」
「どういたしまして」
蓮は、俺の隣に座った。紅茶を飲みながら、二人で窓の外の景色を眺める。街の明かりが、どんどん増えていく。
「綺麗だね」
「うん。でも、明日のイルミネーションは、もっと綺麗だと思う」
蓮の声が期待に満ちている。その声を聞いて、俺も期待が高まる。
「楽しみだな」
「うん」
蓮は俺の肩に頭を預けた。その重みが、心地よい。しばらく、二人で黙っていた。静かなリビング。二人だけの空間。この時間が、何よりも大切だった。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「私の部屋、行こう」
蓮の言葉に、俺の心臓が跳ねた。蓮の部屋。二人きりの空間。
「ああ」
蓮は俺の手を引いて、廊下の奥に向かう。蓮の部屋のドアを開けると、蓮の甘い匂いが漂ってきた。その匂いが、俺を包み込む。
部屋の中は、いつものように綺麗に整理整頓されていた。ベッドには、可愛らしいクッションが並んでいる。机の上には、教科書と参考書が綺麗に積まれている。
「どうぞ」
蓮がベッドを指差した。俺は、ベッドの端に座る。蓮のベッド。その柔らかさが、心地よい。
蓮は俺の隣に座った。その距離が、すぐ近くだ。蓮の体温が、俺に伝わってくる。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「明日、プレゼント交換するよね」
「ああ、もちろん」
「私、海斗へのプレゼント、すごく悩んだんだ」
蓮の頬が、少し赤く染まる。
「何がいいかな、って。海斗が喜んでくれるもの」
「蓮がくれるものなら、何でも嬉しいよ」
「ありがとう。でも、ちゃんと選びたかったから」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。
「楽しみにしててね」
「ああ」
俺も蓮へのプレゼントを用意している。ペアリング。蓮が喜んでくれるといいが。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「今日は、明日の前の……リハーサル、みたいなものかな」
蓮の言葉に、俺は少し戸惑った。リハーサル?
「リハーサル?」
「うん。明日、海斗とどんな風に過ごすか……ちょっと、試してみたくて」
蓮の頬が、真っ赤に染まる。その表情がどこか艶やかだ。
「海斗……」
蓮の手が、俺の頬に触れた。その手のひらが、俺の頬を包み込む。蓮の顔が、近づいてくる。
「キスして……」
「ああ」
俺は蓮の唇に自分の唇を重ねた。今までとは違う。今日の蓮は、どこか切なそうだ。その唇が、俺の唇に吸い付くように密着してくる。
蓮が小さく息を吸った。その瞬間、蓮の唇が開く。俺もそれに応じて舌を滑り込ませた。蓮の舌が、躊躇いがちに俺の舌に触れてくる。その遠慮がちな動きが、愛おしい。
「ん……」
蓮の手が、俺の首筋に回された。その指が俺の髪に絡みつく。引き寄せられるように、蓮の身体が俺に密着してくる。制服越しに伝わる体温が、じわじわと熱を帯びていく。
俺は蓮の背中に手を這わせた。蓮の背骨のラインを、ゆっくりとなぞっていく。その度に蓮の身体が小さく震える。
「あ……海斗……」
蓮の声が、吐息混じりに漏れる。その声には甘さと共に、何か期待するような響きがあった。
舌を深く絡め合わせる。蓮の舌が、今度は積極的に動き始めた。俺の舌を追いかけるように、蓮の舌が絡みついてくる。唾液が混じり合い、二人の境界が曖昧になっていく。
蓮の手が俺のネクタイに触れた。器用に結び目を緩めていく。その動作が、焦れったいほどゆっくりだ。
「蓮……」
名前を呼ぶと、蓮は一瞬唇を離した。その目が、熱を帯びて俺を見つめている。頬は紅潮し、唇は濡れて光っている。
「海斗……明日、もっと……」
蓮の声が、掠れている。その声が、俺の理性を揺さぶる。
「もっと、海斗を感じたい……」
再び、唇が重なった。今度は、さっきよりも激しい。蓮の舌が、貪るように俺の口内を探る。その積極性に、俺の胸が高鳴る。
俺は蓮の腰を抱き寄せた。蓮の身体が、完全に俺の身体に密着する。その柔らかさ、その熱さ。全てが、俺を狂わせそうになる。
「んん……あ……」
蓮の吐息が、途切れ途切れになる。その吐息を感じながら、俺は蓮の唇を貪り続けた。
どれくらい、そうしていたか。
ようやく唇を離した時、二人とも呼吸が乱れていた。蓮の目は潤み、頬は真っ赤に染まっている。その表情が、妖艶だった。
「はぁ……はぁ……」
蓮は俺の胸に顔を埋めた。その身体が小さく震えている。俺の心臓の音が、蓮に伝わっているだろう。
「海斗……すごかった……」
蓮の声が、くぐもって聞こえる。
「明日が、楽しみ……」
「ああ。俺も」
蓮は俺を見上げた。その目には、期待と、少しの不安が混じっている。
「明日は、もっと……ね?」
蓮の言葉に、俺の胸が高鳴った。明日。クリスマスイブ。蓮と過ごす、特別な夜。
「ああ、約束する」
「やった」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、輝いている。
二人で、抱き合ったまま、時間が過ぎていく。蓮の部屋。二人だけの世界。この時間が、永遠に続けばいい。
明日。クリスマスイブ。蓮との初めてのクリスマスデート。その期待を胸に、俺は蓮を抱きしめ続けた。
※ ※ ※
蓮の部屋を出たのは、二十一時を過ぎた頃だった。
エントランスまで、蓮が見送ってくれる。冷たい風が吹く中、二人で並んで立つ。
「明日、楽しみにしてるね」
「ああ。俺も」
蓮は俺の手を握った。その手が温かい。
「六時に、駅で」
「ああ、約束だ」
俺は、蓮の額に軽く唇を押し当てた。蓮が、嬉しそうに目を閉じる。
「おやすみ、海斗」
「おやすみ、蓮」
蓮と別れて、俺は駅に向かった。冷たい風が吹く中、俺の心は温かかった。
明日。クリスマスイブ。蓮との初めてのクリスマスデート。その期待が胸を高鳴らせる。
家に帰り、ベッドに横になった。天井を見つめながら、明日のことを考える。イルミネーション。ディナー。そして、その後……。
スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。
『おやすみ、海斗。今日も、ありがとう。明日、すごく楽しみ。海斗と過ごすクリスマス。ずっと夢見てたの。大好き、海斗』
蓮からのメッセージ。愛の言葉。その言葉が、俺の心を温かくする。
俺は返信を打った。
『おやすみ、蓮。明日、最高のクリスマスにするから。楽しみにしててくれ。愛してる、蓮』
送信すると、すぐにハートマークのスタンプが返ってきた。
俺はスマホを置いた。胸の奥に幸せが満ちていく。
明日。クリスマスイブ。蓮との初めてのクリスマス。その期待を胸に、俺は深い眠りについた。
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