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親友に彼女をNTRられた俺は、俺にだけ優しいクール系ギャルヒロインとお試しで付き合うことになりました。  作者: 沢田美


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本物の愛

体育祭から一ヶ月が経った。


 季節は、すっかり秋も深まり、冬の気配を感じさせるようになっていた。木々の葉は、ほとんど落ちてしまい、校庭には落ち葉が積もっている。


 朝晩は冷え込むようになり、生徒たちも制服の上にカーディガンやセーターを着るようになった。


 でも、俺の心は、温かかった。


 蓮との関係は、体育祭の後、さらに深まっていた。毎日、昼休みは一緒に屋上で弁当を食べる。時々、凛音も一緒に。放課後は、一緒に帰る。生徒会の仕事があっても、蓮は必ず俺との時間を作ってくれる。


 学校でも、堂々と手を繋いで歩く。周囲の視線はもう気にならない。みんなが、二人の関係を受け入れてくれている。


 生徒会副会長としてのクールな蓮と、俺の恋人としての素直な蓮。その両方を、俺は愛していた。


 ※ ※ ※


 ある日の放課後、俺と蓮は生徒会室にいた。


 生徒会の会議が終わり、他のメンバーは帰っていった。部屋には、俺と蓮の二人だけが残っている。


 蓮は机の上の資料を整理している。その姿は、いつもの副会長の蓮だ。真剣で、完璧で、美しい。


「海斗」


 蓮が俺を呼んだ。


「ん?」


「今日、一緒に帰れる?」


「もちろん」


 俺は即座に答えた。蓮が笑う。その笑顔が眩しい。


「ありがとう」


 蓮は資料を片付け終えると、俺の隣に座った。その距離が近い。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「あの時のこと、覚えてる?」


「あの時?」


「体育祭の借り物競走」


 蓮の言葉に、俺は頷いた。もちろん、覚えている。あの日、蓮は「大切な人」を引いて、俺のところに来た。


「覚えてるよ」


「私ね、あの時本当に嬉しかった」


 蓮は微笑んだ。その笑顔が温かい。


「『大切な人』を引いた時、迷わず海斗のところに行けた」


「……」


「海斗が、私の一番大切な人だって、みんなの前で言えた」


 蓮の目から、涙が浮かんでくる。でも、その涙は幸せの涙だ。


「あの時から、私、変われたと思う」


「蓮……」


「生徒会副会長として、完璧でクールでいなきゃいけないって、ずっと思ってた」


 蓮の声が、少し震える。


「でも、それで海斗を傷つけてた」


「もう、いいんだ」


「ううん、最後まで聞いて」


 蓮ははっきりと言った。その目には、強い意志が宿っている。


「あの時、私は決めたの。もう、海斗を一人にしないって」


「……ああ」


「生徒会の仕事も大事だけど、海斗はもっと大事だって」


 蓮は俺の手を握った。その手は温かく、その温もりが俺の心を満たしていく。


「だから、これからもずっと、海斗と一緒にいたい」


「俺も、蓮と一緒にいたい」


 俺は蓮を抱きしめた。蓮の身体が、俺の腕の中に収まる。


「愛してる、蓮」


「私も、愛してる。海斗」


 蓮は俺の胸に顔を埋めた。その身体が温かい。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「これから、もっと色々なことがあると思う」


「……ああ」


「また、すれ違うこともあるかもしれない」


 蓮の声が、少し不安そうだ。


「でも、その時はちゃんと話そうね」


「ああ、約束する」


 俺は蓮の頭を撫でた。蓮の髪が、指の間をすり抜けていく。


「我慢しないで、ちゃんと伝え合おう」


「うん」


 蓮は顔を上げた。その目には、愛情が満ちている。


「二人で、一緒に乗り越えていこうね」


「ああ」


 俺は蓮の唇に、そっとキスをした。柔らかく、温かい感触。蓮の身体が、ふわりと力を抜く。


 キスが終わると、蓮は恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋めた。


「海斗、生徒会室でキスなんて……」


「誰もいないから、大丈夫だろ」


「もう……」


 蓮は俺の胸を軽く叩いた。その仕草が、可愛らしい。


「でも、嬉しかった」


「え?」


「海斗のキス、いつでも嬉しい」


 蓮は微笑んだ。その笑顔が、輝いている。


「じゃあ、帰ろうか」


「うん」


 二人で、生徒会室を出た。廊下を並んで歩く。手を繋いで。


 ※ ※ ※


 校門を出ると、誰かが俺たちを待っていた。


 凛音だ。


「やっほー、二人とも!」


 凛音は明るく手を振った。その表情は、体育祭の後よりずっと明るい。


「凛音ちゃん」


 蓮が嬉しそうに声をかけた。この一ヶ月で、蓮と凛音は仲良くなっていた。


「今日、一緒に帰らない? 三人で」


「いいよ!」


 蓮が即座に答えた。


「ああ、俺もいいよ」


 三人で、駅に向かって歩き出した。凛音が、二人の間を歩く。


「ねえねえ、聞いて! 今日ね、数学のテストで90点取れたの!」


 凛音が嬉しそうに報告する。


「すごい! おめでとう、凛音ちゃん!」


 蓮が拍手した。


「ああ、よく頑張ったな」


 俺も凛音を褒めた。凛音は照れくさそうに笑う。


「えへへ、ありがとう」


 凛音は、もう俺のことを恋愛対象としては見ていない。友達として、自然に接してくれている。


 この一ヶ月で、凛音は前を向いて歩き始めた。まだ、時々寂しそうな表情を見せることはある。でも、確実に前に進んでいる。



 ※ ※ ※


 駅の改札前で、凛音と別れた。


「じゃあ、また明日ね!」


 凛音は手を振って、改札を通っていった。その後ろ姿が、軽やかだ。


「凛音ちゃん、最近元気になったよね」


 蓮が嬉しそうに言った。


「ああ」


「よかった。あの時、海斗が凛音ちゃんと話してくれて」


 蓮は俺を見た。その瞳には、感謝の色が滲んでいる。


「海斗が、凛音ちゃんの友達になってくれて、本当によかった」


「……まあ」


「海斗って、やっぱり優しいね」


 蓮は俺の腕に、自分の腕を絡めた。その温もりが、心地よい。


「そんな海斗が、好き」


「蓮……」


 俺は蓮の頭を撫でた。蓮が嬉しそうに微笑む。


「じゃあ、私も帰るね」


「ああ」


 別れ際、蓮が俺の頬にキスをした。その柔らかい感触が、頬に残る。


「また明日ね、海斗」


「ああ」


「大好き」


「俺も」


 蓮が改札を通っていくのを見送りながら、俺は幸せを噛み締めた。


 全てが、うまくいっている。蓮との関係。凛音との友情。全てが。


 ※ ※ ※


 家に帰り、ベッドに横になった。天井を見つめながら、今日のことを思い返す。


 蓮の言葉。凛音の笑顔。全てが俺を幸せにしてくれる。


 スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。


『おやすみ、海斗。今日も、楽しかった。明日も、一緒にいようね。大好き』


 蓮からのメッセージ。愛の言葉。その言葉が、俺の心を温かくする。


 俺は返信を打った。


『おやすみ、蓮。明日も楽しみにしてる。愛してる』


 送信すると、すぐにハートマークのスタンプが返ってきた。


 俺はスマホを置いた。胸の奥に、幸せが満ちていく。


 夏休みの終わりから始まった、あのすれ違い。あの辛い日々。全てが、終わった。


 体育祭で、蓮が俺を選んでくれた。「大切な人」として、俺を選んでくれた。


 それから一ヶ月。二人の関係は、さらに深まった。


 これから、まだ色々なことがあるだろう。すれ違うこともあるかもしれない。でも、大丈夫だ。


 二人で話し合えば、乗り越えられる。そう信じている。


 窓の外を見ると、星が輝いていた。冬の星空。冷たいが、美しい。


 季節は、確実に進んでいる。夏から秋へ。そして、冬へ。


 俺たちも、一緒に進んでいく。新しい季節へ。新しい未来へ。


 その期待を胸に、俺は目を閉じた。


 幸せな眠りが、俺を包み込んでいく。蓮との日々が、これからも続いていく。


 その確信を胸に、俺は深い眠りについた。


                      


あとがき


 春川海斗と鈴波蓮の体育祭編、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


 文化祭での関係から始まり、甘い夏休みを経て、そして新学期のすれ違いと再会。二人の関係は、様々な試練を乗り越えて、より強いものになっていきました。


 橘凛音と蓮の母親という存在が、二人の関係を試しました。でも、その試練があったからこそ、海斗と蓮は、お互いの大切さを再確認できたのだと思います。


 そして、凛音自身も、この経験を通して成長し、新しい未来へと歩き始めました。


 岡波傑と雪原夢という、海斗を裏切った二人も、海斗の幸せを願っています。まだ完全には許されていませんが、いつか許される日が来るかもしれません。


 これからも、海斗と蓮の物語は続いていきます。高校生活の中で、二人はさらに多くの経験をし、成長していくでしょう。ですが、蓮は自身の母親についてだけは海斗に、ほぼ話していません。それがこの先どう影響していくか、楽しみにしていてください。


 この物語が、皆さんの心に少しでも響いたなら、これほど嬉しいことはありません。


 それでは、また第三章で。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

このお話が少しでも面白いと感じていただけたら、ぜひ「♡いいね」や「ブックマーク」をしていただけると嬉しいです。

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