表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友に彼女をNTRられた俺は、俺にだけ優しいクール系ギャルヒロインとお試しで付き合うことになりました。  作者: 沢田美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/110

奪い返した愛、終わりゆく初恋 体育祭 閉会式

 体育祭の全ての競技が終わった。


 結果は、紅組の勝利。校庭に集まった生徒たちから、歓声が上がる。紅組の生徒たちが、喜びを爆発させている。跳び上がって抱き合う姿。涙を流して喜ぶ姿。


 白組の生徒たちも、拍手を送っている。悔しさはあるが、それでも紅組の健闘を称えている。


 でも、俺の心は、それ以上に満たされていた。


 蓮との関係が元に戻った。いや、元よりも強くなった。蓮が俺を選んでくれた。「大切な人」として、みんなの前で俺を選んでくれた。


 その事実が、俺を幸せにしている。


 校庭を見渡す。秋の夕日が、ゆっくりと傾き始めている。空が、オレンジ色に染まっていく。


 閉会式が始まった。


 壇上に生徒会のメンバーが並んでいる。桐谷会長、蓮、藤崎書記、野村会計。そして、俺とその他。


 俺も生徒会のメンバーとして、壇上に立っている。蓮の隣に。


 蓮が俺の方を見た。その瞳には、優しさが満ちている。蓮が小さく微笑む。


 その笑顔を見ただけで、俺の胸が温かくなった。


 桐谷会長が、マイクを持って挨拶を始めた。


「皆さん、お疲れ様でした。今日の体育祭、とても盛り上がりましたね」


 生徒たちから、拍手が起こる。パチパチという音が、校庭に響く。


「紅組の優勝、おめでとうございます。白組も、よく頑張りました」


 また、拍手。紅組の生徒たちが、歓声を上げる。


 桐谷会長の言葉が、校庭に響いていく。


「今日の体育祭が成功したのは、皆さんの協力のおかげです」


 桐谷会長の目が優しい。


「そして、準備を頑張ってくれた生徒会のメンバー、特に副会長の鈴波に、大きな拍手を」


 会長が蓮を見た。生徒たちから、大きな拍手が起こる。


 その拍手が、校庭全体を満たしていく。


 蓮は、少し照れた表情で頭を下げた。その姿が可愛らしい。頬が少し赤くなっている。


「鈴波副会長、一言どうぞ」


 桐谷会長が、マイクを蓮に渡した。蓮は、少し戸惑いながらもマイクを受け取る。


 蓮が、深呼吸をする。その胸が、上下する。


「えっと……」


 蓮の声が、校庭に響いた。いつもの淡々とした副会長の声ではない。少し緊張した、でも温かい声。


「今日の体育祭、皆さんのおかげで成功しました。本当にありがとうございました」


 生徒たちから、拍手が起こる。


「体育祭の準備期間中、皆さんには色々とご協力いただきました」


 蓮の目が、校庭の生徒たちを見渡す。


「生徒会としても、無事に終えることができて、とても嬉しく思っています」


 蓮の言葉は、副会長としての挨拶だった。でも、その声には、いつもとは違う温かさがある。


 蓮の目が少し潤んでいる。


「正直に言うと、準備期間中、私は一人で抱え込んでいました」


 蓮の声が、続く。生徒たちが、静かに聞いている。


「完璧にこなさなきゃって、思い込んでいました」


 蓮の声が震える。


「でも、それは間違いでした」


 蓮の目から、涙が一筋流れる。


「一人じゃ、何もできない。みんなの協力があって、初めて成功する」


 蓮の涙が、頬を伝って落ちていく。


「それを、今日教えてもらいました」


 蓮が俺の方を見た。その目が、優しい。


「大切な人に、支えてもらいました」


 蓮の言葉に、生徒たちがざわめく。


「これからも、生徒会は皆さんのために頑張ります。そして、私も、もっとみんなと協力していきたいと思います」


 蓮の声が、はっきりしている。


「どうぞ、よろしくお願いします」


 蓮が頭を下げると、生徒たちから大きな拍手が起こった。


 その拍手が温かい。祝福に満ちている。


 蓮がマイクを桐谷会長に返すと、会長は笑って頷いた。


「いい挨拶だった、鈴波」


 桐谷会長の声が優しい。


「ありがとうございます」


 蓮は微笑んだ。


 閉会式が終わり、生徒たちが帰り始めた。でも、俺と蓮は、まだ校庭に残っていた。


 生徒会の片付けを手伝う。テントを畳む。備品を片付ける。


 でも、その作業も、蓮と一緒だと楽しい。


 ※ ※ ※


 全ての片付けが終わった。


 夕日が傾き始め、校庭がオレンジ色に染まっていく。


 空の色が、オレンジから赤に変わっていく。その美しさに思わず見とれる。


 俺と蓮は、校庭の隅のベンチに座っていた。二人で並んで、夕日を見上げる。


 風が吹く。涼しい風。その風が、二人を撫でていく。


「綺麗だね」


 蓮が呟いた。その声は穏やかだ。


「ああ」


 俺も、頷く。


「海斗と一緒に見る夕日は、もっと綺麗」


 蓮は俺の肩に頭を預けた。その重みが、心地よい。


 蓮の髪から、甘い香りが漂ってくる。シャンプーの香りと、蓮独特の甘い匂い。


「蓮」


「ん?」


「今日、ありがとう」


 俺の声が小さい。


「何が?」


「俺を選んでくれて」


 俺の言葉に、蓮は顔を上げた。その瞳には愛情が満ちている。夕日が蓮の瞳に反射して、琥珀色に輝いている。


「当たり前でしょ。海斗が、私の大切な人だもん」


 蓮の声が、優しい。


「蓮……」


「これからは、もっとちゃんと海斗と向き合う」


 蓮ははっきりと言った。その声には、強い意志が込められている。


「生徒会の仕事も大事だけど、海斗はもっと大事」


 蓮の目が、真っ直ぐに俺を見つめる。


「無理しないでくれ」


 俺の声が、心配そうだ。


「無理じゃないよ」


 蓮は微笑んだ。その笑顔が輝いている。


「海斗と一緒にいることが、私の幸せだから」


 蓮の言葉に、俺の胸が熱くなる。


「……ありがとう」


 俺は蓮を抱きしめた。蓮の身体が、俺の腕の中に収まる。その柔らかさ。その温もり。全てが、どれだけ恋しかったか。


「俺も、蓮と一緒にいることが、一番幸せだ」


「海斗……」


 蓮の声が、嬉しそうだ。


「これからは、ちゃんと話そう。我慢しないで、ちゃんと伝え合おう」


「うん」


 蓮は俺の胸に顔を埋めた。その身体が、小さく震えている。


「ごめんね、海斗。最近、ずっと辛い思いさせちゃって」


 蓮の声が、申し訳なさそうだ。


「いや、いいんだ」


「よくない」


 蓮は顔を上げた。その目から、涙が溢れている。その涙が、夕日に照らされて、宝石のように輝いている。


「海斗が、どれだけ苦しんでたか。雪原さんから聞いたの」


「雪原……夢が?」


 俺は驚いた。


「うん。昨日、私のところに来て、教えてくれた」


 蓮の声が、震える。


「海斗が、どれだけ我慢してたか。どれだけ寂しかったか」


 蓮の涙が、止まらない。


「海斗が、一人で泣いてたこと」


 蓮の声が、切ない。


「……」


「それを聞いて、私、すごく反省した」


 蓮の涙が、頬を伝って落ちていく。


「海斗を、こんなに苦しませてたんだって」


 蓮の手が、俺のシャツを握りしめる。


「蓮、もういいんだ」


 俺は、蓮の涙を拭った。


「よくない」


 蓮ははっきりと言った。その声には、強い決意が込められている。


「だから、これからは変わる。もう、海斗を一人にしない」


 蓮の目が、真っ直ぐに俺を見つめる。


「蓮……」


「約束する」


 蓮は俺の手を握った。その手に、力が込められている。その手は、温かく、柔らかい。


「海斗を、絶対に一人にしない」


 蓮の声が、はっきりしている。


「ああ、信じてる」


 俺は蓮の涙を拭った。蓮の頬は柔らかく、温かい。その肌の感触が、愛おしい。


「俺も、約束する」


「何を?」


 蓮が、俺を見上げる。


「我慢しないで、ちゃんと伝える」


 俺ははっきりと言った。その言葉に、一切の迷いはない。


「寂しい時は、寂しいって言う。会いたい時は、会いたいって言う」


 俺の目が、蓮を見つめる。


「……うん」


「だから、蓮も我慢しないで」


「分かった」


 蓮は微笑んだ。その笑顔が、美しい。涙に濡れて、輝いている。


「二人で、支え合おうね」


「ああ」


 俺は蓮の顎に手を添えた。蓮の顔を、ゆっくりと俺に向ける。蓮の瞳が、俺を見つめる。その瞳が、潤んでいる。


「蓮……」


「海斗……」


 俺はゆっくりと顔を近づけた。蓮も、目を閉じる。その長い睫毛が、頬に影を落とす。


 唇が、触れ合った。


 柔らかい。温かい。甘い。


 蓮の唇の感触が、どれだけ恋しかったか。


 俺は、蓮の唇を優しく含んだ。蓮の身体が、ふわりと力を抜く。俺の腕の中で、蓮が溶けていく。


 キスを深めていく。蓮の唇を、何度も重ねる。その度に、蓮の身体が震える。


「ん……」


 蓮の小さな吐息が、俺の口に流れ込んでくる。その甘い吐息が、俺の理性を溶かしていく。


 俺は、蓮の唇をゆっくりと開かせた。蓮も素直に応じてくれる。


 舌が、触れ合った。


 蓮の舌が、柔らかい。温かい。甘い。


 俺の舌と、蓮の舌が絡み合う。ゆっくりと、丁寧に、愛おしむように。


「んん……海斗……」


 蓮の声が、キスの合間から漏れる。その声が、甘く、艶やかだ。


 俺は、蓮をもっと強く抱きしめた。蓮の身体が、俺の身体に密着する。その柔らかさ。その温もり。全てが、俺を満たしていく。


 蓮の手が、俺の背中に回される。その手が、俺の制服を掴む。力が込められている。蓮も、俺を求めている。


 舌を絡め合わせながら、俺は蓮の唇を貪った。甘い。どこまでも甘い。蓮の味が、俺の口の中に広がっていく。


「ん……んん……」


 蓮の吐息が、どんどん荒くなっていく。その吐息が、俺の口に流れ込んでくる。


 俺は、蓮の下唇を軽く噛んだ。蓮の身体が、びくりと震える。


「あ……」


 蓮の小さな声が、可愛らしい。


 キスを続けながら、俺の手が蓮の頬を撫でる。蓮の肌は、柔らかく、温かい。その感触が、たまらない。


 蓮の手が、俺の髪に絡まった。その指が俺の髪を掴む。蓮も、俺を求めている。その事実が、嬉しい。


 舌を深く絡め合わせる。蓮の舌が、俺の舌に絡みついてくる。ゆっくりと、丁寧に。


「んん……海斗……」


 蓮の声が、甘く響く。その声が、俺の理性を溶かしていく。


 キスが、どんどん深くなっていく。もう、止まらない。蓮の全てが、欲しい。


 蓮の身体が、俺の身体にもっと密着してくる。その柔らかさが、俺の身体に伝わってくる。


「蓮……」


「海斗……」


 キスの合間に、お互いの名前を呼び合う。その声が、甘く、切ない。今まで会えなかった期間を埋めるようにキスを続けた。


 どれくらい、キスをしていたか。


 ようやく、唇を離した。


 二人とも、息が荒い。蓮の頬が、赤く染まっている。その唇が、濡れて艶やかに光っている。


「海斗……」


 蓮は、恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋めた。その身体が、小さく震えている。


「すごい、キス……」


 蓮の声が、小さい。


「ごめん、我慢できなくて」


「ううん……」


 蓮は顔を上げた。その目が、潤んでいる。その頬が、赤く染まっている。


「嬉しかった」


 蓮の声が、甘い。


「蓮……」


「海斗の、全部感じられた」


 蓮の声が、甘く響く。その目が、俺を見つめる。


「私、海斗にもっと触れたい……」


 蓮の言葉に、俺の胸が高鳴る。蓮も俺を求めてくれている。


「でも、ここじゃダメだよね……」


 蓮は周りを見た。もう、生徒はほとんどいない。でも、まだ何人か残っている。校舎の窓から、誰かが見ているかもしれない。


「ああ……」


 俺も頷く。


「じゃあ、今度……」


 蓮は恥ずかしそうに俺の耳元に顔を寄せた。その吐息が俺の耳を撫でる。


「二人きりの時に、もっと……ね?」


 蓮の囁きが、俺の耳を撫でる。その声が、甘く、艶やかだ。


「ああ……」


 俺は頷いた。胸が激しく鼓動している。


 蓮はまた俺の胸に顔を埋めた。


「海斗、大好き」


「俺も、蓮のこと大好きだ」


 二人で抱き合ったまま、時間が過ぎていく。夕日が、ゆっくりと沈んでいく。


 空の色が、赤から紫に変わっていく。


 ※ ※ ※


 しばらく時間が経ち。


 その時、誰かが俺たちに近づいてきた。振り返ると、傑と夢が立っていた。


「海斗」


 傑が声をかけてきた。その表情には、安堵が滲んでいる。


「傑……夢……」


 俺と蓮は、慌てて離れた。蓮の頬がまだ赤い。


「お疲れ様。今日の体育祭、すごかったな」


 傑は笑った。その笑顔は、温かい。でも、どこか寂しそうだ。


「鈴波副会長も、お疲れ様です」


 夢が蓮に声をかけた。その表情には、安心したような色が滲んでいる。


「ありがとうございます、雪原さん」


 蓮は微笑んだ。


「昨日は、ありがとうございました」


 蓮の声が、感謝に満ちている。


「いえ、私こそ」


 夢は少し照れた表情を浮かべた。


「春川くんが、幸せそうで」


 夢の目が、優しい。


「……ああ」


 俺は頷いた。幸せだ。今、俺は本当に幸せだ。


「よかった」


 傑は安心したような表情を浮かべた。


「お前が、また笑えるようになって」


 傑の声が嬉しそうだ。


「傑……」


「俺たちが、お前を傷つけた」


 傑の声が震える。その目から、涙が浮かんでくる。


「それは、一生償えない」


 傑の声が、切ない。


「……」


「でも、お前が幸せになってくれたら、少しは償えるかなって思ってた」


 傑の涙が、頬を伝って落ちていく。


「だから、よかった」


 傑の声が震える。


「傑……」


 俺の胸が熱くなる。傑はまだ俺のことを心配してくれている。


「ありがとう、傑」


「え?」


 傑が、驚いた表情を浮かべる。


「俺のこと、心配してくれて」


 俺の言葉に、傑は驚いた表情を浮かべた。その目が見開かれる。


「でも、俺を裏切ったことは、まだ許せない」


 俺ははっきりと言った。


「……ああ」


 傑が頷く。その表情が、悲しそうだ。


「でも、いつか許せる日が来るかもしれない」


 俺ははっきりと言った。その言葉に、嘘はない。


「だから、それまで待っててくれ」


 俺の言葉に、傑の表情が変わった。


「……ああ」


 傑は頷いた。その表情には、希望が滲んでいる。


「待ってる」


 傑の声が、嬉しそうだ。


「夢も、ありがとう」


 俺は夢を見た。夢は少し驚いた表情を浮かべる。


「蓮に、俺のこと話してくれて」


 俺の言葉に、夢の目が見開かれる。


「いえ……」


 夢は首を振った。その目から、涙が溢れてくる。


「私が、春川くんを傷つけたのに」


「それでも、ありがとう」


 俺の言葉に、夢の目から涙が溢れた。


「春川くん……」


 夢の声が、震える。


「でも、お前を許すのも、もう少し時間がかかる」


「……はい」


 夢が、頷く。


「だから、待っててくれ」


「はい。待ってます」


 夢は微笑んだ。その笑顔は、どこか安心したようだ。涙に濡れて、輝いている。


「じゃあ、俺たちはこれで」


 傑は夢の手を取った。二人で、去っていく。


 その背中を見送りながら、俺は複雑な気持ちになった。傑と夢。二人を、まだ完全には許せない。


 でも、いつか許せる日が来るかもしれない。その可能性を、俺は信じることにした。


「海斗、優しいね」


 蓮が呟いた。


「え?」


「傑くんと夢さんに、いつか許せるかもって言ってあげて」


「……まあ」


 俺は、曖昧に答える。


「海斗らしいよ」


 蓮は微笑んだ。その笑顔が、温かい。


「そんな海斗が、好き」


「蓮……」


 俺は蓮を抱きしめた。蓮の温もり。蓮の匂い。全てが俺を幸せにしてくれる。


「帰ろうか」


「うん」


 二人で立ち上がり、手を繋いで校門に向かった。夕日が、二人を照らしている。


 ※ ※ ※


 夕日の下を歩いていく二人を、遠くから誰かが見ていた。


 凛音。


 凛音は、木の影から、二人の後ろ姿を見つめていた。その目から、涙が流れている。


「幸せになってね、春川くん」


 凛音は小さく呟いた。その声は誰にも届かない。風に消えていく。


「私の初恋、ありがとう」


 凛音の涙が、頬を伝って落ちていく。


 そう言って、凛音は去っていった。その背中が、小さく震えている。


 でも、凛音の心には、新しい希望が芽生えていた。春川海斗という人を好きになれて、よかった。そう思えるようになっていた。


 失恋は痛い。でも、その痛みも、いつか思い出になる。


 ※ ※ ※


 俺と蓮は、駅まで手を繋いで歩いた。


 夕暮れの街。人通りが少ない。静かだ。


 二人の手が、繋がれている。その温もりが、心地よい。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「明日から、学校でも一緒にいようね」


 蓮の声が、嬉しそうだ。


「ああ」


 俺も頷く。


「昼休みも、屋上で一緒にお弁当食べよう」


 蓮の声が、弾んでいる。


「楽しみだな」


「うん」


 蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、輝いている。


「明日から、また新しいスタートだね」


「ああ」


 俺も微笑む。


 駅の改札前で、蓮が立ち止まった。いつもの別れの場所。


 でも、今日は違う。蓮が俺を見上げている。その目が、潤んでいる。


「じゃあ、また明日」


「ああ」


 別れ際、蓮が俺の首に手を回した。そして、爪先立ちになって、俺の唇に自分の唇を重ねる。


 柔らかい感触。甘い味。


 蓮の舌が、俺の唇をなぞる。俺も唇を開いて応じる。


 短いが、濃厚なキス。蓮の舌が俺の舌に絡みついてくる。


「んん……」


 蓮の小さな吐息が、俺の口に流れ込んでくる。


 キスが終わると、蓮は恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋めた。


「今日は、本当にありがとう。海斗」


「こっちこそ」


 俺は、蓮の頭を撫でた。


「大好き」


「俺も」


 蓮が改札を通っていく。その前に蓮が振り返った。その唇が、濡れて艶やかに光っている。


「また明日ね。海斗」


 そう言って、蓮は手を振った。


 蓮の姿が見えなくなるまで、俺は見送った。


 長かった。この二週間、本当に辛かった。でも、全て終わった。


 蓮との関係は、元に戻った。いや、元よりも強くなった。


 明日から、また新しい日々が始まる。蓮と一緒に。


 その期待を胸に、俺は家路についた。


 空を見上げる。もう、星が見え始めている。


 その星が、綺麗だ。


 今日は、きっと忘れられない一日になる。


 蓮と、新しいスタートを切った日。


 そう思いながら、俺は歩き続けた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

このお話が少しでも面白いと感じていただけたら、ぜひ「♡いいね」や「ブックマーク」をしていただけると嬉しいです。

応援が次回更新の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ