表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友に彼女をNTRられた俺は、俺にだけ優しいクール系ギャルヒロインとお試しで付き合うことになりました。  作者: 沢田美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/113

ざまぁの果てに、純愛を

 翌朝、目が覚めると、スマホに蓮からのメッセージが届いていた。


『おはよう、海斗。昨日は、色々あったけど……海斗がいてくれて、本当に嬉しかった』


 俺は微笑んで、返信を打った。


『おはよう。俺も、蓮がいてくれて幸せだ』


 送信すると、すぐに既読がついた。蓮も、朝からスマホを見ていたのだろう。その想像が、俺の心を温かくする。


『今日、また会える?』


『ああ、もちろん』


『じゃあ、公園で待ち合わせしよう。10時に』


『分かった』


 メッセージを送り終えると、俺はベッドから起き上がった。窓の外を見ると、雲一つない青空が広がっている。今日も、暑くなりそうだ。カーテンから差し込む朝日が、部屋の中を明るく照らしている。


 シャワーを浴びて、着替えを済ませた。リビングに行くと、母親が朝食の準備をしていた。


「おはよう、海斗」


「おはよう」


「今日も蓮ちゃんと会うの?」


「ああ」


「そう。楽しんできなさい」


 母親は優しく微笑んだ。その笑顔には、息子の恋を応援する温かさが滲んでいる。


 朝食を済ませ、家を出た。外の空気は、すでに熱を帯びている。蝉の声が、耳に響く。夏の朝の音だ。歩きながら、昨日のことを思い返す。凛音の言葉。蓮の宣言。全てが、まだ心に引っかかっている。でも、俺の気持ちは揺るがない。蓮を愛している。その事実だけが、確かなものとして胸の中にある。


 ※ ※ ※


 公園に着くと、蓮がベンチに座って待っていた。白いワンピースを着た蓮の姿が、朝の光に映えている。その姿を見るだけで、俺の心が明るくなる。


「海斗!」


 蓮は立ち上がって、手を振った。その笑顔が、眩しい。学校では生徒会副会長として淡々とした態度を取っている蓮が、俺の前では子供のように笑う。その姿が、どうしようもなく愛おしい。


「おはよう」


「おはよう」


 俺が近づくと、蓮は嬉しそうに微笑んだ。その表情には、昨日の緊張が消えている。


「今日は、どこ行く?」


「んー……どこか涼しいところがいいな」


「じゃあ、映画館は?」


「いいな」


 二人で映画館に向かった。手を繋いで歩く。蓮の手は柔らかく、その温もりが俺の心を満たしていく。商店街を抜け、大通りに出る。人通りが多く、家族連れやカップルが行き交っている。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「昨日のこと、気にしてる?」


 蓮が不安そうに俺を見上げた。その瞳には、心配の色が滲んでいる。


「いや」


 俺は首を振った。


「気にしてない。俺の気持ちは、蓮にしかないから」


「……本当?」


「本当だ」


 俺は蓮の手を握り直した。その手に、力を込める。


「蓮のことが、一番大切だ」


「……海斗」


 蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、俺の心を温かくする。


「私も、海斗が一番大切」


「ありがとう」


 映画館に着くと、二人でチケットを買った。上映時間まで、まだ少し時間がある。ロビーのソファに座り、蓮と並んだ。


「何の映画にする?」


「海斗に任せる」


「じゃあ、これは?」


 俺はパンフレットを指差した。恋愛映画だ。


「いいね。それにしよう」


 チケットを購入し、上映時間まで待った。蓮は俺の肩に頭を預けている。その重みが、心地よい。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「橘さんのこと、どう思ってる?」


 蓮が小さな声で尋ねた。その声には、不安が混じっている。


「正直に言うと……よく分からない」


 俺は正直に答えた。


「橘のことは、嫌いじゃない。でも、恋愛感情はない」


「……そっか」


「蓮以外のこと、考えられない」


「私も」


 蓮は俺の腕に抱きついた。その身体の温もりが、俺の腕に伝わってくる。


「海斗以外、考えられない」


「蓮……」


「だから、安心して」


 蓮は顔を上げて、俺を見つめた。その瞳には、真っ直ぐな愛情が宿っている。


「私、海斗を絶対に離さないから」


「ああ」


 俺は蓮の頭を撫でた。蓮の髪が、指の間をすり抜けていく。柔らかく、心地よい感触だ。


 上映時間になり、二人でシアターに入った。暗い中、蓮と隣同士で座る。映画が始まると、蓮が俺の手を握った。その手の温もりが、俺の心を安心させる。


 映画は、二人の高校生が恋に落ちる物語だった。すれ違いや誤解を経て、最後には結ばれる――そんなストーリー。蓮は、時折俺の手を握る力を強めた。感動しているのだろう。その感情が、手の温もりを通じて伝わってくる。


 映画が終わり、二人でシアターを出た。蓮の目が、少し潤んでいる。


「感動した?」


「うん……」


 蓮は目元を拭った。その仕草が、愛らしい。


「最後のシーン、泣いちゃった」


「そっか」


 俺は蓮の頭を撫でた。蓮は嬉しそうに微笑む。


「でもね、海斗」


「ん?」


「私たちは、あんな風にすれ違わないよね?」


「ああ、絶対に」


 俺ははっきりと答えた。その言葉に、迷いはない。


「俺たちは、ちゃんと話し合えるから」


「……うん」


 蓮は安心したように微笑んだ。その笑顔が、俺の心を満たしていく。


 ※ ※ ※


 映画館を出ると、もう昼過ぎだった。陽射しが強く、アスファルトから熱が立ち上っている。


「お腹空いたね」


「ああ」


「どこか、食べに行こう」


 二人でファミレスに入った。窓際の席に座り、メニューを開く。冷房の効いた店内が、心地よい。


「私、パスタにする」


「俺はハンバーグ」


 注文を済ませると、蓮が俺を見つめた。その瞳には、優しさが満ちている。


「海斗、今日も楽しいね」


「ああ」


「こうやって、二人で過ごす時間が、本当に幸せ」


「俺も」


 料理が運ばれてきた。二人で食べながら、他愛もない話をする。学校のこと。夏休みの予定。二人の将来のこと。何でもない会話が、俺たちの時間を特別なものにしていく。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「学校が始まったら、また生徒会の仕事、忙しくなるんだろうな」


 蓮は少し寂しそうに呟いた。その表情には、憂いが滲んでいる。


「副会長として、色々やることがあるから」


「大変だな」


「うん。でもね」


 蓮は俺を見つめた。その瞳には、決意が宿っている。


「海斗と過ごす時間は、絶対に作る」


「蓮……」


「生徒会の仕事も大事だけど、海斗はもっと大事だから」


 蓮の言葉に、俺の胸が熱くなる。学校では男子たちから近寄りがたいと思われている生徒会副会長が、俺の前ではこんなにも素直に想いを伝えてくれる。その事実が、俺を幸せにする。


「ありがとう」


「海斗こそ、ありがとう」


 蓮は微笑んだ。その笑顔が、美しい。


「私のこと、受け入れてくれて」


「受け入れる?」


「だって、学校では私、クールで近寄りがたいって言われてるでしょ」


 蓮は少し自嘲的に笑った。その笑顔の奥に、寂しさが見え隠れする。


「男子たちは、みんな私を避けるし」


「それは……」


 俺は言葉を選んだ。確かに、学校での蓮は違う。生徒会副会長として、淡々と仕事をこなし、誰に対しても公平だが距離を置く。その姿は、確かに近寄りがたい。


「でも、海斗は違った」


 蓮は俺を見つめた。その瞳には、感謝の色が満ちている。


「私の本当の姿を、見てくれた」


「蓮……」


「だから、海斗のことが好きなの」


 蓮ははっきりと言った。その声には、真っ直ぐな想いが込められている。


「海斗と一緒にいるときだけ、素の自分でいられる」


「俺も」


 俺は蓮の手を握った。蓮の手は温かく、その温もりが俺の心を満たしていく。


「蓮と一緒にいるとき、一番幸せだ」


「……ありがとう」


 食事を終え、二人で店を出た。外の暑さが、また身体を包む。でも、蓮と一緒なら、この暑さも心地よく感じられる。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「今日、私の家に来る?」


 蓮が恥ずかしそうに尋ねた。その頬が、ほんのり赤く染まっている。


「いいのか?」


「うん。私、一人暮らしだから」


「……そうだったな」


 俺は頷いた。蓮が一人暮らしをしていることは知っている。お金持ちの家の娘だが、何らかの理由で両親とは別居している。その理由を、蓮は詳しく話したことがない。俺も、無理に聞こうとは思わない。蓮が話したいと思ったときに、話してくれればいい。


「じゃあ、行こう」


「うん」


 ※ ※ ※


 蓮の家は、駅から少し離れた高級マンションの一室だった。オートロックを抜け、エレベーターで上階に上がる。蓮が鍵を開けると、整然とした部屋が広がっていた。


「どうぞ」


「お邪魔します」


 リビングは広く、落ち着いた雰囲気だ。でも、どこか寂しさを感じさせる空間でもある。一人暮らしの蓮が、この広い部屋でいつも一人で過ごしている。その事実が、俺の胸を締め付ける。


「麦茶、持ってくるね」


「ありがとう」


 蓮がキッチンに向かう間、俺はリビングを見回した。綺麗に片付いているが、生活感が薄い。写真立ても、置物も、ほとんどない。まるで、ここが仮住まいのような印象を受ける。


「はい、どうぞ」


 蓮が麦茶を持ってきた。二人でソファに座る。


「久しぶりだね、海斗が家に来るの」


「ああ」


「嬉しい」


 蓮は俺の隣に座った。その距離が近く、蓮の体温が伝わってくる。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「いつも、一人でこの部屋にいると、寂しくなるの」


 蓮が小さく呟いた。その声には、孤独が滲んでいる。


「でも、海斗が来てくれると、この部屋も温かく感じる」


「蓮……」


「海斗がいてくれるだけで、幸せなんだ」


 蓮は俺の肩に頭を預けた。その重みが、愛おしい。


「ありがとう、海斗」


「俺こそ」


 俺は蓮を抱き寄せた。蓮の身体が、俺の胸に収まる。その温もりが、俺の心を満たしていく。


「蓮が一人で寂しいときは、いつでも呼んでくれ」


「……本当?」


「本当だ」


 俺ははっきりと答えた。その言葉に、迷いはない。


「俺は、いつでも蓮のそばにいる」


「……海斗」


 蓮は俺の胸に顔を埋めた。その身体が、小さく震えている。


「ありがとう。そう言ってもらえるだけで、心が軽くなる」


「蓮……」


 しばらく、そうしていた。蓮の温もり。蓮の匂い。全てが、俺を幸せにしてくれる。時間が、ゆっくりと流れていく。この静かな時間が、どれだけ貴重か。俺は、それを噛み締めていた。


 蓮が顔を上げた。その瞳には、涙が浮かんでいる。


「海斗……」


「どうした?」


「嬉しくて……」


 蓮は微笑んだ。その笑顔が、美しい。


「海斗がいてくれて、本当に幸せ」


「俺も」


 俺は蓮の頬に手を添えた。蓮の肌は柔らかく、温かい。


「蓮がいてくれて、幸せだ」


「……キスして」


 蓮が小さな声で言った。その頬が、真っ赤に染まっている。


「ああ」


 俺は蓮の唇に、そっとキスをした。柔らかく、温かい感触。蓮の身体が、ふわりと力を抜く。キスが終わると、蓮は恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋めた。


「……海斗、大好き」


「俺も、蓮のこと大好きだ」


 二人で抱き合ったまま、時間が過ぎていく。窓の外から、蝉の声が聞こえてくる。夏の午後の音だ。この時間が、ずっと続けばいいのに。そう思いながら、俺は蓮を抱きしめ続けた。


 しばらくして、蓮が小さく呟いた。


「ねえ、海斗」


「ん?」


「学校が始まったら、私、また生徒会副会長に戻らなきゃいけない」


 蓮の声には、寂しさが混じっている。


「クールで近寄りがたい、あの鈴波蓮に」


「それが蓮の仕事だからな」


「うん……でもね」


 蓮は俺を見上げた。その瞳には、不安が滲んでいる。


「海斗は、そんな私のことも好き?」


「当たり前だろ」


 俺ははっきりと答えた。その言葉に、一切の迷いはない。


「学校での蓮も、今の蓮も、全部好きだ」


「……本当?」


「本当だ」


 俺は蓮の頭を撫でた。蓮の髪が、指の間をすり抜けていく。


「蓮が生徒会副会長として頑張ってる姿も、かっこいいと思ってる」


「海斗……」


「でも、俺の前では素の蓮でいてくれ」


「……うん」


 蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、俺の心を温かくする。


「海斗の前では、いつでも素の私でいる」


「ありがとう」


 ※ ※ ※


 夕方になり、俺は蓮の家を後にした。玄関で、蓮が名残惜しそうに俺を見つめている。


「また明日、会える?」


「ああ、もちろん」


「よかった」


 蓮は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が、俺の心を温かくする。


「じゃあ、気をつけてね」


「ああ。蓮も、一人で寂しくなったら連絡してくれ」


「……うん」


 蓮は少し寂しそうに微笑んだ。その表情を見て、俺の胸が締め付けられる。この広いマンションに、蓮は一人で暮らしている。その事実が、俺を切なくさせる。


「おやすみ、海斗」


「おやすみ、蓮」


 エレベーターに乗り、一階に降りた。マンションを出て、駅に向かう。歩きながら、蓮のことを考える。一人暮らしの蓮。生徒会副会長として、誰にも本当の自分を見せない蓮。でも、俺の前では素直に笑う蓮。その全てが、愛おしい。


 家に帰る途中、スマホが鳴った。見ると、凛音からのメッセージだった。


『春川くん、元気?』


 俺は少し考えた後、返信を打った。


『ああ、元気だ』


『そっか。良かった』


『今日も、鈴波副会長と一緒だった?』


『ああ』


『そっか……』


 その後、凛音からの返信はなかった。俺はスマホをポケットにしまい、歩き続けた。凛音の想い。それは、俺にはどうすることもできない。俺の気持ちは、蓮にしかない。その事実は、変わらない。


 でも、心のどこかで思う。凛音は、本当に俺のことが好きなのだろうか。それとも、単に手に入らないものが欲しいだけなのか。俺には、分からない。ただ一つだけ確かなのは、俺が選ぶのは蓮だけだということだ。


 ※ ※ ※


 家に着き、ベッドに横になった。天井を見つめながら、今日のことを思い返す。蓮との映画。ファミレス。蓮の家での時間。全てが、幸せな思い出だ。スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。


『今日も、本当に楽しかった。海斗と一緒だと、毎日が特別になる。一人でいると寂しくなるけど、海斗のことを思うと頑張れる。学校が始まっても、海斗との時間は絶対に作るね。明日も、楽しみにしてるね。おやすみ、海斗。大好き』


 俺は微笑んで、返信を打った。


『俺も楽しかった。蓮と過ごす時間が、一番幸せだ。一人で寂しいときは、いつでも連絡してくれ。学校が始まっても、変わらず一緒にいよう。おやすみ、蓮。俺も大好きだ』


 送信すると、すぐにハートマークのスタンプが返ってきた。俺はスマホを置いて、目を閉じた。


 夏休みは、まだ続いている。蓮と一緒に過ごす、幸せな日々が。凛音の想いは、まだ消えていない。でも、俺の気持ちは揺るがない。蓮を愛している。その確信を胸に、俺は深い眠りについた。窓の外から、虫の声が聞こえてくる。夏の夜が、静かに更けていく。


 不純な恋。そんな言葉が、頭をよぎる。凛音の想い。それは純粋なのか、不純なのか。俺には分からない。でも、俺と蓮の関係は、純粋だ。お互いを想い合い、支え合っている。一人暮らしで寂しい思いをしている蓮を、俺は守りたい。その想いを胸に、俺は深い眠りについた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

このお話が少しでも面白いと感じていただけたら、ぜひ「♡いいね」や「ブックマーク」をしていただけると嬉しいです。

応援が次回更新の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ