罰と罪を愛するように、俺はクールな彼女と夏夜のキスをした
夏休み一週間目。
今日は、地元の夏祭りに蓮と一緒に行く約束をしていた。
「浴衣か……」
俺はクローゼットから浴衣を取り出した。去年の夏に買ったものだが、一度も着ていない。紺色の生地に、白い縞模様が入っている。
スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。
『今日は18時に神社の入口で待ち合わせね。浴衣、楽しみにしてる』
俺は返信を打った。
『分かった。蓮の浴衣も楽しみにしてる』
送信すると、すぐに既読がついた。そして、照れたスタンプが送られてきた。蓮の浴衣姿を想像するだけで、胸が高鳴る。
俺は準備を始めた。浴衣を着るのは久しぶりで、少し手間取る。
※ ※ ※
夕方、神社に向かった。
参道には既に多くの屋台が並び、浴衣を着た人たちで賑わっていた。焼きそばやたこ焼きの匂いが漂い、祭り囃子の音が響いている。夏祭りの雰囲気が、俺の心を高揚させる。
神社の入口で待っていると、蓮が現れた。
「お待たせ、海斗」
蓮は薄いピンク色の浴衣を着ていた。髪は普段と違って、アップにまとめている。浴衣の柄は、桜の花びらが舞うデザインで、とても上品だ。うなじが見えて、その白さが目に眩しい。
「蓮……」
俺は思わず、息を呑んだ。浴衣姿の蓮は、いつもと違う艶やかさがある。
「すごく……綺麗だ」
「……ありがとう」
蓮は顔を赤らめた。その頬が、夕日に照らされてより一層赤く見える。
「海斗も、浴衣似合ってる」
「そうか?」
「うん。かっこいい」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。その瞳が、俺を見つめている。
「じゃあ、行こうか」
「ああ」
二人で参道を歩き始めた。浴衣姿の蓮は、いつもと違った雰囲気で、思わず見とれてしまう。歩くたびに浴衣の裾が揺れて、その姿が何とも言えず美しい。浴衣の襟元から覗く白い首筋が、どうしようもなく色っぽい。
「ねえ、海斗。何見てるの?」
「蓮が綺麗だから」
「……もう」
蓮は照れた表情で、俺の腕を叩いた。その仕草が、どうしようもなく可愛い。
屋台が並ぶエリアに着くと、蓮が目を輝かせた。
「わあ、たくさん屋台がある!」
「何から見る?」
「うーん……」
蓮は屋台を見回した。
「まずは、たこ焼き食べたい!」
「いいな」
二人でたこ焼き屋に向かった。
「たこ焼き、二つください」
俺が注文すると、店主が手際よく作り始めた。鉄板の上で、たこ焼きがクルクルと回っている。
「はい、お待ち!」
熱々のたこ焼きを受け取り、二人でベンチに座った。
「熱そう……」
蓮は慎重にたこ焼きを口に運んだ。その唇が、たこ焼きに触れる。その仕草が、どうしようもなく色っぽい。
「美味しい!」
「本当だな」
俺もたこ焼きを食べた。外はカリッと、中はとろっとしていて美味しい。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「次は、りんご飴食べたい」
「いいぞ」
たこ焼きを食べ終え、りんご飴の屋台に向かった。
「どれにする?」
「普通の赤いのがいいな」
「じゃあ、俺も」
二人でりんご飴を買い、参道を歩きながら食べた。
「甘くて美味しい」
蓮は嬉しそうにりんご飴を舐めている。その舌が、飴を舐める。その姿を見て、俺の心臓が跳ね上がる。
「でも、浴衣でりんご飴食べるの、難しいね」
「そうだな」
蓮は少し苦戦しながらも、楽しそうにしている。その表情を見ていると、俺の胸が温かくなる。
その時、射的の屋台が目に入った。
「ねえ、海斗。射的やろうよ!」
「いいな」
二人で射的の屋台に向かった。
「いらっしゃい! お一人500円だよ!」
店主が声をかけてきた。
「じゃあ、二人分」
俺は1000円を払った。
「まずは、海斗からどうぞ」
「分かった」
俺は銃を構え、景品を狙った。一発目、外れた。二発目、かすった。三発目――
「当たった!」
小さなぬいぐるみが倒れた。
「すごい、海斗!」
蓮は拍手をした。その目が、キラキラと輝いている。
「じゃあ、次は私の番」
蓮は銃を構えたが、慣れない様子だった。
「蓮、こうやって構えるんだ」
俺は蓮の後ろに立ち、手を添えた。蓮の身体から、ほのかに良い香りが漂ってくる。甘くて、優しい香りだ。蓮の背中が、俺の胸に触れる。その感触に、俺の心臓が激しく鼓動する。
「こう?」
「ああ、そう」
蓮の髪が、俺の顎に触れる。その感触が、どうしようもなく愛おしい。
蓮が引き金を引くと――
「当たった!」
景品が倒れた。
「やった!」
蓮は嬉しそうに笑った。
「海斗のおかげだよ。ありがとう」
「いや、蓮の実力だよ」
二人で景品のぬいぐるみを受け取った。
「このぬいぐるみ、大切にするね」
「俺も」
参道を歩いていると、金魚すくいの屋台があった。
「ねえ、海斗。金魚すくいやろうよ!」
「いいな」
二人で金魚すくいを始めた。蓮は真剣な表情で、金魚を狙っている。その横顔が、とても真剣だ。
「そーっと……」
蓮がポイを水に入れると――
「あ、破れちゃった」
「難しいな」
俺も挑戦したが、なかなか掬えない。
「海斗、頑張って!」
蓮が応援してくれる。
三回目の挑戦で、ようやく一匹掬えた。
「やった!」
「すごい、海斗!」
蓮は嬉しそうに拍手をした。
「じゃあ、この金魚、蓮にあげる」
「え? いいの?」
「ああ。大切に育ててくれ」
「……ありがとう、海斗」
蓮は嬉しそうに金魚の袋を受け取った。
「大切に育てるね」
屋台を一通り楽しんだ後、二人で神社の境内に向かった。境内では、盆踊りが行われていた。太鼓の音が響き、人々が輪になって踊っている。
「わあ、盆踊りだ!」
蓮は目を輝かせた。
「踊ろうよ、海斗!」
「え? 俺、踊れないぞ」
「大丈夫、私も踊ったことない」
蓮は俺の手を引いた。その手は温かい。
「でも、楽しそうだから、やってみようよ」
「……分かった」
二人で盆踊りの輪に加わった。最初は動きがぎこちなかったが、周りの人たちの動きを真似しているうちに、少しずつ踊れるようになってきた。
「海斗、楽しいね!」
蓮は嬉しそうに笑っている。
「ああ」
蓮の笑顔を見ていると、自然と楽しくなってくる。
盆踊りを楽しんだ後、二人で境内の隅にあるベンチに座った。
「疲れたね」
「ああ」
蓮は俺の肩に頭を預けた。蓮の温もりが、俺に伝わってくる。蓮の髪の香りが、鼻をくすぐる。
「でも、すごく楽しかった」
「俺も」
境内からは、祭りの音楽と人々の笑い声が聞こえてくる。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「今日、最高に幸せ」
蓮は俺を見上げた。その瞳には、幸福の光が宿っている。
「海斗と一緒に夏祭りに来れて、本当に嬉しい」
「俺も」
俺は蓮の手を握った。
「蓮と一緒だから、楽しい」
「……ありがとう」
その時、遠くで花火の音が聞こえた。
「あ、花火!」
蓮が立ち上がった。
「見に行こうよ!」
「ああ」
二人で境内の高台に向かった。そこからは、遠くで打ち上げられる花火がよく見えた。人が少なく、二人きりの空間だった。
「綺麗……」
蓮は花火を見つめている。色とりどりの花火が、夜空を彩っている。赤、青、緑、金。様々な色の花火が、次々と打ち上げられる。その光が、蓮の横顔を照らしている。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「花火って、儚いね」
「そうだな」
「一瞬で消えちゃう」
蓮は少し寂しそうに呟いた。
「でも、だからこそ綺麗なのかもね」
「……蓮」
「海斗との時間も、いつか終わっちゃうのかな」
「そんなことない」
俺は蓮の肩を抱き寄せた。蓮の身体が、俺の腕の中に収まる。浴衣越しに感じる蓮の体温が、俺の全身に広がっていく。
「俺たちの時間は、終わらない」
「……本当?」
「ああ。俺は、ずっと蓮の隣にいる」
「海斗……」
蓮は俺の胸に顔を埋めた。その温もりが、俺の胸に伝わってくる。
「ありがとう」
花火は、次々と打ち上げられていく。俺と蓮は、花火を見ながら抱き合っていた。夜空に咲く花火が、二人を優しく照らしている。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「この夏、ずっと忘れない」
蓮は俺を見上げた。その瞳が、潤んでいる。
「海斗と過ごした、最高の夏」
「俺も」
俺は蓮の頬に手を添えた。蓮の肌は柔らかくて、温かい。
「蓮と過ごす時間が、一番幸せだ」
「……キスして」
蓮の声は、切なげだ。その瞳には、強い想いが宿っている。
「ん」
俺は蓮の顔を近づけ、唇を重ねた。柔らかくて、温かい。いつものキスよりも、深く。蓮の唇が、俺の唇に吸い付いてくる。
蓮が俺の首に腕を回した。その手が、俺の髪を撫でる。その感触に、俺の全身に電流が走る。
俺は蓮を抱き寄せた。蓮の身体が、俺にぴったりと寄り添ってくる。浴衣越しに感じる蓮の柔らかさに、俺の心臓が激しく鼓動する。
蓮の唇が、少し開いた。その隙間から、蓮の舌が覗く。俺は蓮の唇を深く味わった。甘くて、温かい。蓮の吐息が、俺の口の中に入ってくる。
「んっ……」
蓮が小さく声を漏らした。その声が、どうしようもなく色っぽい。俺の理性が、溶けていきそうだ。
蓮の舌が、俺の舌に絡みついてくる。ゆっくりと、丁寧に。お互いの舌を確かめ合うように、深く重ねていく。
花火の音が、二人を包み込む。花火の光が、二人を照らしている。その光の中で、俺たちは深く、深くキスを重ねていた。
時間が止まったような感覚。この瞬間が、永遠に続けばいい。
ゆっくりと離れると、蓮は恥ずかしそうに笑った。その頬が、真っ赤に染まっている。唇が、少し濡れて艶っぽい。
「花火の下でキス……ロマンチック」
蓮の声は、少し掠れている。
「そうだな」
「海斗、大好き」
「俺も」
俺は蓮を抱きしめた。蓮の身体が、俺の腕の中で震えている。
「海斗……」
「ん?」
「さっきのキス、すごかった」
蓮は恥ずかしそうに呟いた。
「ドキドキが、止まらない」
「俺も」
俺は蓮の頭を撫でた。蓮の髪が、指の間をすり抜けていく。
花火が終わり、祭りも終わりに近づいていた。
「そろそろ帰ろうか」
「うん」
二人で神社を後にした。参道を歩きながら、蓮が口を開いた。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「今日、本当に楽しかった」
「俺も」
「海斗と一緒に浴衣着て、お祭り行けて……夢みたい」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう」
「こっちこそ」
駅までの道を、手を繋いで歩く。浴衣姿の蓮は、街灯に照らされて、より一層綺麗に見えた。その姿が、俺の目に焼き付いていく。
「来週は、海に行こうね」
「ああ、楽しみだ」
「私も」
駅の改札前で、蓮が立ち止まった。
「じゃあ、また明日」
「ああ」
別れ際、蓮が俺の頬にキスをした。でも、今日はそれだけじゃなかった。蓮の唇が、俺の耳元に移動する。
「海斗……」
蓮が耳元で囁いた。その声は、甘く溶けるようだ。
「今日は、本当に最高だった。ありがとう、海斗」
蓮の吐息が、耳にかかる。その感覚に、俺の全身に電流が走る。
「さっきのキス……もっとしたかった」
蓮の声が、俺の耳を刺激する。
「こっちこそ」
「おやすみ」
蓮は少し恥ずかしそうに微笑んだ。その頬が、真っ赤に染まっている。
「おやすみ、蓮」
蓮が改札を通っていくのを見送りながら、俺は思った。今日の夏祭り、最高だった。浴衣姿の蓮は、いつもと違って新鮮だった。そして、花火の下でのディープキス。忘れられない思い出になった。
※ ※ ※
家に帰り、ベッドに横になる。スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。
『今日は本当に楽しかった。浴衣を着て、海斗と一緒にお祭りに行けて、夢みたいだった。花火の下でのキスも、忘れない。あんなに深くキスされて、ドキドキが止まらなかった。来週の海、楽しみにしてるね。おやすみ、海斗』
最後の一文に、俺の心臓が跳ね上がる。蓮も、俺と同じことを感じていたんだ。
添付されていた写真には、浴衣姿の蓮が笑顔で写っていた。その笑顔が、俺の心を温かくしてくれる。
俺は返信を打った。
『蓮の浴衣姿、すごく綺麗だった。今日の思い出、一生忘れない。俺も、もっとキスしたかった。来週の海、楽しみにしてる。おやすみ』
送信すると、すぐに既読がついた。そして、ハートマークのスタンプが送られてきた。
「蓮……」
俺は思わず、スマホを抱きしめた。
夏休みは、まだまだ続く。蓮と一緒に過ごす、幸せな日々が。
「明日も、蓮と一緒」
呟いて、俺は目を閉じた。窓の外から、蝉の声が聞こえてくる。夏が、どんどん深まっていく。蓮と一緒に過ごす、最高の夏が。浴衣姿の蓮の姿を思い浮かべながら、俺は深い眠りについた。蓮とのディープキスの感触が、まだ唇に残っている。その感覚を思い出しながら、俺は明日への思いを馳せた。
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