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親友に彼女をNTRられた俺は、俺にだけ優しいクール系ギャルヒロインとお試しで付き合うことになりました。  作者: 沢田美


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罰とざまぁの果てで出会った、本物の優しさ

 テストから一週間が経った。

 今日は、テストの結果が返却される日だった。朝から、俺の心臓はいつもより早く鼓動している。結果が怖い。でも、蓮と一緒に頑張ったあの時間を思い出すと、少しだけ自信が湧いてくる。

 

「緊張するな……」

 

 俺は朝から落ち着かなかった。昇降口に向かう足取りも、どこか重い。

 昇降口で蓮を待っていると、彼女が笑顔で現れた。その笑顔を見ただけで、俺の緊張が少し和らぐ。

 

「おはよう、海斗」

 

「おはよう」

 

「今日、結果発表だね」

 

「ああ……緊張する」

 

「大丈夫だよ。海斗、あんなに頑張ってたもん」

 

 蓮は俺の手を握った。蓮の手は温かい。その温もりが、俺の緊張を少しだけ和らげてくれる。手のひらから伝わる温かさが、俺の心を落ち着かせていく。

 

「絶対、いい結果が出てる」

 

「……そうだといいんだけど」

 

「信じて」

 

 蓮は微笑んだ。その笑顔には、俺への信頼が満ちている。

 教室に入ると、クラスメイトたちが緊張した表情で座っていた。教室の空気が、いつもと違う。重苦しい緊張感が、教室を包んでいる。みんな、同じように不安なのだろう。

 

「やばい、どうしよう」

 

「俺、絶対赤点取ってる……」

 

 ざわめきが教室を包んでいる。不安な声が、あちこちから聞こえてくる。

 俺も席に着くと、隣の男子が話しかけてきた。その表情は、明らかに不安そうだ。

 

「春川、自信ある?」

 

「分からない……でも、精一杯やった」

 

「そっか。俺も頑張ったけど、不安だわ」

 

 その時、担任の先生が教室に入ってきた。手には、採点済みの答案用紙の束が握られている。あの中に、俺の運命が詰まっている。

 

「おはよう。今日はテストの結果を返却します」

 

 教室が一気に静まり返った。みんな、固唾を呑んで先生を見つめている。教室の空気が、一層重くなる。

 

「まず、全体的な講評ですが――」

 

 先生は資料を見ながら続けた。その声は、いつもより少し厳格に聞こえる。

 

「今回のテストは、全体的に難易度が高かったです。ですが、皆さんよく頑張っていました」

 

 先生は一人一人に答案を配り始めた。名前を呼ばれるたびに、教室に緊張が走る。

 

「春川」

 

「はい」

 

 先生が俺の答案を渡してきた。その瞬間、心臓が跳ね上がる。

 俺は恐る恐る、点数を見た。手が、わずかに震えている。

 数学……82点。

 英語……78点。

 国語……75点。

 理科……80点。

 社会……73点。

 

「……マジか」

 

 信じられなかった。目を疑った。前回のテストは、ほとんどが60点前後だった。それが今回、全ての教科で70点以上取れている。蓮と一緒に勉強した成果が、こんなにはっきりと出ている。答案を見つめながら、あの三日間のことが蘇ってくる。蓮の優しい教え方。一緒に問題を解いた時間。全てが、この結果に繋がっている。

 

「春川、すごいじゃないか!」

 

 隣の男子が驚いた表情で言った。その声には、純粋な驚きが込められている。

 

「めちゃくちゃ点数上がってるぞ!」

 

「ああ……」

 

 俺は答案を見つめた。蓮と一緒に勉強した成果が、ちゃんと出ている。あの時間が、無駄じゃなかった。むしろ、俺の人生で一番価値のある時間だったのかもしれない。

 

「春川くん」

 

 先生が声をかけてきた。その表情は、明らかに喜んでいる。

 

「今回、よく頑張りましたね。前回から大幅に点数が上がっています」

 

「ありがとうございます」

 

「この調子で、次も頑張ってください」

 

「はい」


 ※ ※ ※

 

 昼休み、俺は急いで屋上に向かった。階段を駆け上がる。蓮が待っている。早く、この結果を見せたい。蓮の喜ぶ顔が見たい。

 

「海斗!」

 

 蓮が駆け寄ってきた。その表情には、期待と不安が混じっている。

 

「どうだった!?」

 

「見てくれ」

 

 俺は答案を蓮に見せた。手が、少し震えている。

 蓮は一枚一枚、丁寧に確認していく。その表情が、どんどん明るくなっていく。蓮の瞳が、どんどん輝きを増していく。

 

「すごい……! 海斗、全部70点以上じゃん!」

 

 蓮は目を輝かせた。その喜びようが、どうしようもなく嬉しい。

 

「数学なんて82点! すごいよ!」

 

「蓮のおかげだ」

 

「違うよ。海斗が頑張ったからだよ」

 

 蓮は嬉しそうに笑った。その笑顔が、太陽よりも眩しい。

 

「私、すごく嬉しい」

 

「蓮……」

 

「海斗が頑張ってくれて、結果が出て……本当に嬉しい」

 

 蓮の目に、涙が浮かんでいた。その涙は、喜びの涙だ。蓮が、俺のことをこんなにも想ってくれている。その事実が、俺の胸を熱くする。

 

「泣くなよ」

 

「だって……嬉しくて……」

 

 蓮は俺の胸に顔を埋めた。蓮の温もりが、俺の胸に伝わってくる。蓮の髪から、優しい香りが漂ってくる。

 

「海斗、本当によく頑張ったね」

 

「蓮が教えてくれたから」

 

 俺は蓮を抱きしめた。蓮の温もりが、俺の胸に伝わってくる。この温もりを、ずっと感じていたい。

 

「蓮がいなかったら、こんな点数取れなかった」

 

「……ありがとう」

 

 蓮は顔を上げて、俺を見つめた。その瞳には、愛情が満ちている。

 

「海斗と一緒に勉強できて、本当によかった」

 

「俺も」

 

「じゃあ、お祝いしようよ」

 

「お祝い?」

 

「うん。今日の放課後、一緒にケーキ食べに行こう」

 

 蓮は嬉しそうに提案した。その声は、喜びで弾んでいる。

 

「海斗の頑張りを、お祝いしたい」

 

「いいな」

 

「じゃあ、決まり!」


 蓮は幸せそうに微笑んだ。その笑顔を見て、俺の胸が満たされていく。

 

「ねえ、蓮は?」

 

「私?」

 

「蓮の結果」

 

「あ……見る?」

 

 蓮は少し照れながら、答案を取り出した。その仕草が可愛い。

 数学……98点。

 英語……95点。

 国語……97点。

 理科……96点。

 社会……94点。

 

「……化け物か」

 

「ひどい!」

 

 蓮は頬を膨らませた。その表情が、どうしようもなく可愛い。むくれた蓮の顔を見ていると、思わず笑顔になる。

 

「でも、すごいな」

 

「まあ、生徒会副会長だから」

 

 蓮は得意げに胸を張った。その自信に満ちた表情が、蓮らしい。

 

「でも、今回は海斗と一緒に勉強できて楽しかったから、いつもより集中できたかも」

 

「そうなのか?」

 

「うん。海斗と一緒だと、何でも頑張れる」

 

 蓮は俺の手を握った。その手は温かく、俺に力を与えてくれる。

 

「だから、これからも一緒に頑張ろうね」

 

「ああ」


 ※ ※ ※

 

 放課後、俺と蓮は駅前のケーキ屋に向かった。店の前には、美味しそうなケーキのディスプレイが並んでいる。その時だった。

 

「……春川」

 

 聞き覚えのある声が、俺を呼び止めた。振り返ると、傑が立っていた。その隣には、夢もいる。二人とも、申し訳なさそうな表情を浮かべている。


「傑……夢……」

 

 俺の声が、少し震える。蓮が、俺の腕を握る手に力を込めた。

 

「ちょっと、話せるか?」

 

 傑の声は、いつもの明るさを失っていた。その表情には、後悔が滲んでいる。

 

「蓮、少しだけ待っててくれるか」

 

「……分かった。でも、何かあったらすぐ呼んでね」

 

 蓮は心配そうに俺を見つめた。その瞳には、俺への想いが満ちている。

 

「ああ」

 

 俺は傑と夢から少し離れた場所に移動した。二人は、俺の前で立ち止まる。

 

「……春川、本当にごめん」

 

 傑が頭を下げた。その姿勢には、心からの謝罪が込められている。

 

「俺、最低なことをした。お前を裏切って、親友を裏切って……」

 

「傑……」

 

「言い訳はしない。ただ、謝りたかった」

 

 傑の声は、震えていた。その声には、後悔と自責の念が込められている。

 

「春川くん……」

 

 夢も俯いたまま、小さな声で呟いた。その声は、かつての清楚な雰囲気とは違う。

 

「私も……本当にごめんなさい。春川くんを、ずっと利用してた」

 

「夢……」

 

「言い訳なんてできない。ただ、謝らせて」

 

 夢の目には、涙が浮かんでいた。その涙は、本物のように見える。

 

「俺たち、最低だった」

 

 傑が続けた。その表情には、深い後悔が刻まれている。

 

「お前が一番辛い時に、お前を傷つけた。親友として、人間として、最低だった」

 

「……」

 

 俺は二人を見つめた。かつて、大切だった二人。でも、今は何も感じない。怒りも、悲しみも、もうない。

 

「俺は……もう、何も言うことはない」

 

 俺は静かに答えた。その声は、穏やかだ。

 

「お前たちが謝りたいなら、受け取る。でも、俺たちはもう、元には戻れない」

 

「……分かってる」

 

 傑は頷いた。その表情には、諦めが滲んでいる。

 

「ただ、お前が幸せそうで……俺、少しだけ救われた」

 

「幸せ?」

 

「ああ。鈴波副会長と一緒にいる時のお前、すごく幸せそうだから」

 

 傑は小さく笑った。その笑顔には、複雑な感情が混じっている。

 

「俺が壊したものを、鈴波副会長が取り戻してくれたんだな」

 

「……そうだな」

 

 俺は頷いた。蓮のことを思うと、胸が温かくなる。

 

「蓮は、俺を救ってくれた」

 

「よかった……」

 

 夢も小さく呟いた。その声には、安堵が混じっている。

 

「春川くんが幸せなら……それだけで、少しは罪が軽くなる気がする」

 

「夢……」

 

「もう二度と、春川くんの前には現れない。だから……幸せになって」

 

 夢はそう言って、深く頭を下げた。その姿には、心からの謝罪が込められている。

 

「……分かった」

 

 俺は二人に背を向けた。もう、振り返らない。

 

「じゃあな」

 

「……春川」

 

 傑が俺を呼び止めた。その声は、震えている。

 

「本当に……ごめん」

 

「ああ」

 

 俺はそれだけ答えて、蓮の元に戻った。二人との過去は、これで終わりだ。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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