ざまぁの先にあった、優しすぎる愛
日曜日も、俺は蓮と一緒に勉強することになった。三日連続の勉強だが、全く苦にならない。蓮と一緒なら、何をしても楽しい。むしろ、蓮と過ごせる時間が増えることが嬉しい。
今日は学校の図書館で待ち合わせだった。休日の学校は、平日とは違う静けさがある。生徒の姿はまばらで、夏の日差しだけが校舎を照らしている。
「おはよう、海斗」
図書館の前で、蓮が待っていた。休日なのに、蓮はいつもと変わらず時間通りに来ている。その几帳面さが、蓮らしい。
「おはよう」
「今日で三日目だね」
「ああ。あっという間だった」
本当に、あっという間だった。蓮と過ごす時間は、いつも早く過ぎていく。
「でしょ?」
蓮は嬉しそうに笑った。その笑顔が、朝日に照らされて輝いている。
「今日は、総復習をしよう」
「総復習?」
「うん。これまで勉強したことを、もう一度確認する」
蓮は図書館の扉を開けた。休日の図書館は、平日よりも空いている。静けさが、より一層深い。
「そうすれば、知識が定着するから」
「なるほど」
二人で図書館に入り、奥の席に座った。いつもの席。この場所が、俺たちの特等席になっている。
「じゃあ、まず数学から」
蓮は問題集を開いた。
「この問題、解ける?」
俺は問題を見て、解き始めた。蓮に教わったことを思い出しながら、一つ一つ丁寧に計算していく。
「……できた」
「見せて」
蓮は俺のノートを確認した。その目は真剣で、俺の答えを丁寧にチェックしている。
「完璧! ちゃんと理解できてる!」
蓮の声が、嬉しそうに響く。
「蓮のおかげだ」
「海斗が頑張ったからだよ」
蓮は微笑んだ。その笑顔には、誇らしさが滲んでいる。
数学、英語、国語、理科。全ての教科を復習していく。蓮の教え方は丁寧で、分かりやすい。気づけば、昼を過ぎていた。
「お昼、どうする?」
蓮が尋ねた。
「近くのファミレスでもいいけど……」
「けど?」
「実は、お弁当作ってきたの」
蓮は少し照れた表情を浮かべた。
「二人分」
「マジか?」
「うん。せっかくの日曜日だし、一緒に食べたいなって」
蓮の頬が、ほんのり赤く染まっている。
「じゃあ、どこかで食べよう」
「屋上、行こうか」
二人で屋上に向かった。日曜日の屋上には、誰もいない。俺たちだけの空間だ。
「ここなら、誰にも邪魔されない」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。その言葉には、昨日の凛音のことが暗に込められている。
蓮が持ってきたお弁当を開けると、色とりどりのおかずが並んでいた。
「すごい……」
「頑張って作ったの」
蓮は照れた表情を浮かべた。
「いただきます」
二人で食事を始める。蓮の作った料理は、どれも美味しかった。
「美味い」
「よかった」
蓮は嬉しそうに笑った。
食事を終えると、蓮が俺の肩に寄りかかってきた。
「海斗」
「ん?」
「ちょっと疲れちゃった」
蓮の声は、少し甘えたような響きだ。
「少しだけ、このままでいい?」
「ああ」
俺は蓮の肩を抱き寄せた。蓮の温もりが、すぐ近くにある。
「海斗……」
蓮が顔を上げた。その瞳が、俺を見つめている。蓮の顔が、近い。
「ねえ、キスして」
蓮の声は、少し震えている。
「……ん」
俺は蓮の頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づけた。
唇が触れ合う。柔らかくて、温かい。いつものキスより、少し長い。蓮の唇の感触が、俺の全てを満たしていく。
離れようとした時、蓮が俺の首に腕を回した。
「海斗……もっと」
蓮の声は、切なげだ。その瞳には、何か強い感情が宿っている。
「蓮……」
俺はもう一度、蓮とキスをした。今度は、さっきよりも深く。蓮の身体が、俺にぴったりと寄り添ってくる。
蓮の吐息が、俺の首筋にかかる。その感覚に、俺の心臓が激しく鼓動する。
「海斗……好き」
蓮が小さく呟いた。その声は、切なげで、甘い。
「俺も」
俺は蓮を抱きしめた。蓮の身体が、俺の腕の中で震えている。
蓮の手が、俺のシャツの裾に触れた。その手が、少しずつ上に這い上がってくる。
「蓮……」
俺は蓮の手を握った。これ以上は、危ない。俺の理性が、警告を発している。
「ダメだ」
「……どうして?」
蓮は少し不満そうに俺を見つめた。その瞳には、切なさが滲んでいる。
「まだ、早い」
俺ははっきりと言った。
「蓮のことが好きだからこそ、ちゃんとした時にしたい」
「海斗……」
蓮の瞳に、涙が浮かんでいる。でも、それは悲しみの涙ではなく、嬉しさの涙だ。
「ありがとう」
蓮は俺の胸に顔を埋めた。
「海斗は、ちゃんと私のこと考えてくれてる」
「当たり前だろ」
俺は蓮の頭を撫でた。
「蓮は、俺にとって大切な人だから」
「……うん」
蓮は幸せそうに微笑んだ。
「でも、いつか……」
蓮は少し恥ずかしそうに続けた。
「いつか、海斗と……」
「ああ」
俺は頷いた。
「その時が来たら」
「……約束だよ」
蓮は俺の小指に、自分の小指を絡めた。
「約束」
しばらくそうしていると、蓮が立ち上がった。
「じゃあ、午後も頑張ろうか」
「ああ」
二人で図書館に戻り、勉強を再開した。でも、さっきまでとは少し違う。蓮との距離が、心なしか近くなった気がする。蓮は時々、俺の手に自分の手を重ねてくる。その度に、俺の心臓が高鳴る。
夕方になり、図書館を出た。三日間の勉強が終わった。
「三日間、お疲れ様」
「蓮も」
駅までの道を、手を繋いで歩く。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「テスト、頑張ろうね」
「ああ」
「そして、夏休みを一緒に楽しもう」
「絶対に」
駅の改札前で、蓮が立ち止まった。
「じゃあ、また明日」
「ああ」
別れ際、蓮が俺の頬にキスをした。
「テスト、頑張ろうね」
「ああ、一緒に」
蓮が改札を通っていく。その後ろ姿を見送りながら、俺は思った。今日、一線を超えそうになった。でも、止められてよかった。蓮のことが好きだからこそ、ちゃんとした時にしたい。その想いが、俺の決意を固くする。
※ ※ ※
テスト週間が始まった。月曜日から金曜日まで、毎日二科目ずつテストがある。
初日は数学と英語。俺は蓮に教わったことを思い出しながら、問題を解いていった。
「……できた」
最後の問題を解き終え、俺は答案を見直した。蓮の教え方が丁寧だったおかげで、ほとんどの問題が解けた。
「終了!」
先生の声で、テストが終わった。
昼休み、屋上で蓮と合流した。
「お疲れ様」
「蓮も」
「数学と英語、どうだった?」
「結構できたと思う」
「よかった!」
蓮は嬉しそうに笑った。
「海斗、頑張ってたもんね」
「蓮のおかげだ」
「明日も頑張ろうね」
「ああ」
二日目は国語と理科。これも、蓮に教わったことを思い出しながら解いていった。古文も、化学式も、ちゃんと解けた。
三日目は社会。最後まで集中して、問題を解き終えた。
「終了!」
テストが全て終わった。教室に、解放感が満ちている。
放課後、俺は蓮と一緒に帰路についた。
「お疲れ様、海斗」
「蓮も」
「テスト、どうだった?」
「結構できたと思う」
「よかった!」
蓮は嬉しそうに笑った。
「海斗、この一週間本当に頑張ってたもんね」
「蓮のおかげだよ」
「二人で頑張ったからだよ」
蓮は俺の手を握った。
「結果が楽しみだね」
「ああ」
「それに――」
蓮は嬉しそうに微笑んだ。
「テストが終わったら、夏休み!」
「そうだな」
「海、行こうね」
「ああ、絶対に」
駅の改札前で、蓮が立ち止まった。
「じゃあ、また明日」
「ああ」
別れ際、蓮が俺の頬にキスをした。
「お疲れ様、海斗。ゆっくり休んでね」
「蓮も」
蓮が改札を通っていく。その後ろ姿を見送りながら、俺は思った。テストは終わった。結果はまだ分からないけど、全力は尽くした。そして、これから夏休みが始まる。蓮と一緒の、楽しい夏休みが。
家に帰り、ベッドに横になる。
スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。
『テスト、本当にお疲れ様。海斗、よく頑張ったね。絶対、いい結果が出るよ。そして、夏休みを一緒に楽しもうね。この前のこと、ありがとう。海斗が止めてくれて、嬉しかった。大切にしてくれてるんだなって、分かったから。おやすみ』
最後の一文に、蓮の想いが込められていた。
俺は返信を打った。
『蓮のおかげで、テスト頑張れた。本当にありがとう。夏休み、一緒に楽しもう。蓮のことを大切に思ってるから、ちゃんとした時にしたい。約束、覚えてる。おやすみ』
送信すると、すぐに既読がついた。そして、ハートマークのスタンプが送られてきた。
「蓮……」
俺は思わず、スマホを抱きしめた。
テストは終わった。これから、夏休みが始まる。蓮と一緒に過ごす、最高の夏休みが。楽しみで仕方なかった。
「明日も、蓮と一緒」
呟いて、俺は目を閉じた。新しい季節が、もうすぐ始まる。蓮と一緒の、幸せな夏が。蓮の笑顔が思い浮かぶ。その笑顔のために、俺はこれからも頑張れる。胸の奥に、温かいものが広がっていった。夏休みへの期待と、蓮への想いが、俺の心を満たしていく。この幸せな時間が、ずっと続いてほしい。そう願いながら、俺は深い眠りについた。
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