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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第一章 錬金術師セレナのはじまり

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第8話 新しい家族、リオがやって来た日

シルフドッグを救うべくパパに立ち向かい、見事勝利したセレナ。そして...

「…というかだな、家まで待たなくても、応急処置くらいならここで出来るぞ?」


 ぶつぶつ言いながらも、パパは(こし)のポーチから小さな小瓶を取り出した。中には緑色の液体が入ってる。ポーションだ!


 パパは慣れた手つきで、シルフドッグの傷口にポーションを数滴垂らした。


 子犬は一瞬「キャン!」と痛そうな声を上げたけど、すぐに穏やかな表情になって、苦しそうだった息も少しずつ落ち着いてきたみたいだ。


「わー! パパすごいっ! でも、ポーションってたかいんじゃないの?」


「ん? いやいや、そんなことないぞ。今のはとりあえず傷が(ふさ)がって、痛みが軽くなればいい、っていう程度の簡単なやつだからな。」


 そう言ってパパはポーションを()らしたあたりに包帯を巻いてくれた。


「ポーションも、モノによって値段は様々さ。」


 ふーん…。パパ、6歳の『セレナ』は(だま)せても、22歳の『(みお)』は(だま)せないよ。

 その顔に、たらーって流れた冷や汗、私、見逃さなかったからね。


 どうせ私に何かあった時用とかで、なんなら高いポーションなんでしょ?


 (でも…ありがとうっ!)



「じゃあ、いったん連れて帰るか。でもなセレナ、この子が元気になったら、ちゃんと森に返してやるんだぞ。」


「えー、なんで!?」


「もし家から逃げちゃっても、絶対に文句は言わないこと。シルフドッグにはシルフドッグの住む場所があるし、それを決めるのは、この子自身なんだからな。いいな?」


 うっ! そう言われてしまうとその通りだ…。


 まあでも、無理やり(かこ)いたいわけじゃないから、それは仕方ないか。ちゃんと元気になってくれれば、それで。


「うん、わかってる。もしにげちゃったら、そのときはまたべつのプレゼント、ちゃんとおねだりするからね!」


「はは…、セレナさんは、本当にしっかりしてますなぁ」


 パパは呆れたように笑うと、子犬をそっと抱き上げた。


 帰りは、パパが御者(ぎょしゃ)台、私と子犬で荷台に乗って、私たちはヴェルダの街へと帰っていった。子犬は、私の(ひざ)の上で、すやすやと眠っていた。



 そして、家に帰るなり。


「ルキウスっ! 何で止めなかったの!! 」


 …パパ、ごめん。


 (あん)(じょう)というか、予想通りというか。パパは今、ママにめちゃくちゃ怒られている。


 理由は、もちろんシルフドッグの子を連れて帰ってきたからだ。


「いや、すまん! でも、セレナがどうしてもって言うから、セレナの情操(じょうそう)教育にも良かれと思ってだな…」


「ウソおっしゃい! どうせセレナにキライになるよとか言われて逆らえなかっただけでしょ? 本当に、あなたって人は甘いんだから!」


 さすがママ。

 森にいました? っていうくらいに、事態を正確に把握(はあく)している。


 私がわざとパパの弱点をついたことまで、全部お見通しなのだから恐れ入る。


「もー。まあ、連れ帰っちゃったものは仕方ないわ。あとは、この子が目を覚まして、どう動くか、ね」


 ママは大きな溜息(ためいき)をついた。


 ママのお説教がうるさかったのだろうか?

 その時、私の足元で丸くなっていたシルフドッグが、ぴくりと耳を動かして、ゆっくりと目を開けた。

 綺麗(きれい)な、空色の瞳だ。


「あ、め、さました!」


 さぁ、どうなる…? と、私たち三人が固唾(かたず)を飲んで見守っていると、子犬はきょろきょろと周りを見回す。


 パパ、ママ、そして私の顔を順番に見て…突然、ぶんぶんと尻尾を振りながら、私に飛びかかってきた!


「わっ!? セレナっ! !………セレナ?」


 パパとママが(あわ)てて駆け寄ろうとするが、私はシルフドッグに押し倒される形で床に転がり、そのまま馬乗りになられて、すごい勢いで顔中を()められまくっていた。


 (うわーっ、くすぐったい! この、子犬特有の無邪気な愛情表現! 前世ぶりだー!)


「……え?」


「……あら?」


 パパとママは、何が起こったのか分からない、という顔で、不思議そうに顔を見合わせている。


「…よく分からんが、セレナのことを気に入った、みたいだな?」


「助けてくれたのが、ちゃんと分かってるのかしら…?」


 もちろん、そんな疑問に答えが出るわけもない。


「もう、ちょっと、くすぐったいってばー!」


 私はようやく子犬の猛攻(もうこう)から顔を解放し、その小さな体をぎゅっと抱きしめた。


 おおっ、モフモフだ! 銀色の毛は、見た目以上に柔らかくて、ふわふわで…。こ、これは、たまらん…!


「うーん………よしっ、あなた、なまえは『リオ』ね! よろしくっ、リオ!!」


 私は抱きしめたまま、最高の笑顔で宣言した。

 その名前は私が前世で拾った犬につけてあげた、お気に入りの名前だ。


 リオは、私の言葉が分かったみたいに、


「キャン!」


 と元気よく一声鳴いた。


 こうして、シルヴァーノ家に、シルフドッグの『リオ』が新たに加わった。


 リオの誕生日は、拾われた今日4月1日、私と同じ、拾われたもの同士、4月の誕生日となった。


リオ、いらっしゃいませ!

ようこそ、私たちの楽しい、楽しいシルヴァーノ家へ!!

今回具体的に日付が登場しましたが、本作けっこうこういう情報欲しい時があり、オリジナルの設定作っても私が覚えてられる自信がなかったので、現代日本に合わせてます。

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