第7話 森で出会った銀色の魔物…魔物?
先日初めてリアクションいただけました。
していただいた方、ありがとうございます。
これからも励みにして頑張らせていただきます
m(_ _)m
馬車に戻ってみると、繋いでおいた馬たちが何やら落ち着かない様子で、鼻を鳴らしたり、足踏みをしたりしている。
「…セレナ、気をつけろ。パパの後ろに隠れて、しっかり捕まっているんだ」
パパのとても真剣な声に、私も自然と手に力を込める。言われた通り、私はパパのシャツをぎゅっと掴んで、サッとその後ろに回り込んだ。
背後からやられたらたまらないので、私はパパの後ろから、キョロキョロと周囲を見張ることにする。
パパは護身用の腰の剣に手をかけながら、ゆっくりと馬車へ近づいていく。私もドキドキしながら、パパの背中越しに前を見る。
外から見た感じ、馬車の中に誰かいるとか、そういう感じではないみたい。周りの茂みにも、あからさまに魔物が潜んでいる気配もない。
あれっ、なんだろう?? 馬たちが怯えてるだけ…?
その時、パパが「ははぁ、あいつか」と、少しだけ安堵したような声を上げた。
パパが見ている方に目をやると、馬たちの少し前、草むらの中に、何か小さな生き物がぐったりと横たわっているのが見えた。銀色の綺麗な毛並みだけど…顔の形は…犬…かな?
「あれはシルフドッグだな。風の魔力を持っていて、警戒心が強くて、走るのがとっても早い魔物だ」
「ま、まもの!? わたしたち、おそわれちゃう?」
「いや、シルフドッグは臆病なんだ。むしろすぐに逃げていくさ。人を襲ったなんて話は、パパは聞いたことがない」
そっか。じゃあ良かった…。でも、なんかあの子、お腹のあたりが赤くなってない? 血…?
「パパ、あのこ、けがしてるみたい」
「ん? ああ、本当だな。かわいそうに。たぶん、他の動物か魔物にでも襲われたんだろう。」
魔物!やっぱりいるんだ。
怖いな〜…
「見たところ、まだ生まれて間もない子供みたいだから、うまく逃げられなかったんだろうな」
パパが少しだけ、悲しそうな顔で言った。
生まれたばかりの子犬が、怪我して倒れてる…。
「ねぇ、パパ。かわいそうだよ」
「んー…そうだな。まあ、周りに親も襲ったやつもいなそうだし、ちょっと様子だけ見てやるか」
パパは念のため、もう一度ぐるりと周囲を見回してから、私と一緒に、そのシルフドッグの子へと近づいた。
―
近づいてみると、やっぱりまだすごく小さい。私の膝くらいの高さもないかもしれない。
お腹の横あたりが、鋭い爪か何かでざっくりと引っかかれたみたいになっている。息も少し荒そうだ。
「ああ、やっぱり爪だな。傷はそんなに深くないか…。たぶん、こいつを襲ったやつは、他に狙いがいたんだろうな。とりあえず、このまま放っておいても、命に別状はなさそうだ」
パパは傷口をそっと確認して、そう言った。…放っておいても大丈夫?
お? それは、前世で雨の日にダンボールに入れられて震えてた捨て犬を拾って、親に内緒でこっそり育てていたこの私への挑戦状かな?
結局バレてメッチャ親に怒られたけど、私も一歩も引かなかったから、最後には親が折れて家族の一員になったんだよね。
あの時の闘志を思い出し、パパへと食って掛かる!
「ダメ!ぜったいダメ!おうちにつれてかえって、ちゃんとてあてするの!!」
私はパパの服を掴んで、全力で訴えた。
「いやいや、セレナ。人を襲わないとは言っても、一応魔物でだな…。それに、野生の生き物は何かと難しいことが多いし…」
「やだ! つれてかえってくれなきゃ、パパのこと、キライになるからねっ!!」
どうだ、伝家の宝刀! 効果は抜群のはず!
…あぁ、ごめんパパ。思った以上に壊滅的なダメージを与えてしまったみたい。
「セ、セレナぁ…。そんなこと言うと、パパ、本気で泣いちゃうぞ…」
(というか、もうすでに涙目じゃん!)
まあ、魔物だから危険かもって心配するパパの気持ちも分かるよ。
私の安全を第一に考えてくれてるのも、うんうん、分かってる。
(でも、ここでこの子を見捨てるとか、私には絶対無理なんだ!)
「…じゃあ、わかった! もうすぐわたしのたんじょうびでしょ? ことしのプレゼントは、このこで!」
「ハウッ!!」
パパが変な声を上げた。これで、もう断れないはずだ。
案の定、パパは弱々しい声で「…はい」と、がっくりとうなだれた。
…よし、完全勝利!
ちなみにパパのルキウスは昔冒険者と付き合いがあり、その時少しだけ剣を教えてもらった過去があります。もっとも短い期間だったのでほとんど素人と変わらないんですが…




