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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第一章 錬金術師セレナのはじまり

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第7話 森で出会った銀色の魔物…魔物?

先日初めてリアクションいただけました。

していただいた方、ありがとうございます。

これからも励みにして頑張らせていただきます

m(_ _)m

 馬車に戻ってみると、(つな)いでおいた馬たちが何やら落ち着かない様子で、鼻を鳴らしたり、足踏みをしたりしている。


「…セレナ、気をつけろ。パパの後ろに隠れて、しっかり捕まっているんだ」


 パパのとても真剣な声に、私も自然と手に力を込める。言われた通り、私はパパのシャツをぎゅっと掴んで、サッとその後ろに回り込んだ。


 背後からやられたらたまらないので、私はパパの後ろから、キョロキョロと周囲を見張ることにする。


 パパは護身用の腰の剣に手をかけながら、ゆっくりと馬車へ近づいていく。私もドキドキしながら、パパの背中越しに前を見る。


 外から見た感じ、馬車の中に誰かいるとか、そういう感じではないみたい。周りの茂みにも、あからさまに魔物が潜んでいる気配もない。


 あれっ、なんだろう?? 馬たちが怯えてるだけ…?


 その時、パパが「ははぁ、あいつか」と、少しだけ安堵したような声を上げた。


 パパが見ている方に目をやると、馬たちの少し前、草むらの中に、何か小さな生き物がぐったりと横たわっているのが見えた。銀色の綺麗(きれい)な毛並みだけど…顔の形は…犬…かな?


「あれはシルフドッグだな。風の魔力を持っていて、警戒心(けいかいしん)が強くて、走るのがとっても早い魔物だ」


「ま、まもの!? わたしたち、おそわれちゃう?」


「いや、シルフドッグは臆病なんだ。むしろすぐに逃げていくさ。人を(おそ)ったなんて話は、パパは聞いたことがない」


 そっか。じゃあ良かった…。でも、なんかあの子、お腹のあたりが赤くなってない? 血…?


「パパ、あのこ、けがしてるみたい」


「ん? ああ、本当だな。かわいそうに。たぶん、他の動物か魔物にでも(おそ)われたんだろう。」


 魔物!やっぱりいるんだ。

 怖いな〜…


「見たところ、まだ生まれて間もない子供みたいだから、うまく逃げられなかったんだろうな」


 パパが少しだけ、悲しそうな顔で言った。

 生まれたばかりの子犬が、怪我して倒れてる…。


「ねぇ、パパ。かわいそうだよ」


「んー…そうだな。まあ、周りに親も(おそ)ったやつもいなそうだし、ちょっと様子だけ見てやるか」


 パパは念のため、もう一度ぐるりと周囲を見回してから、私と一緒に、そのシルフドッグの子へと近づいた。



 近づいてみると、やっぱりまだすごく小さい。私の(ひざ)くらいの高さもないかもしれない。


 お腹の横あたりが、鋭い爪か何かでざっくりと引っかかれたみたいになっている。息も少し荒そうだ。


「ああ、やっぱり爪だな。傷はそんなに深くないか…。たぶん、こいつを(おそ)ったやつは、他に(ねら)いがいたんだろうな。とりあえず、このまま放っておいても、命に別状はなさそうだ」


 パパは傷口をそっと確認して、そう言った。…放っておいても大丈夫?



 お? それは、前世で雨の日にダンボールに入れられて(ふる)えてた捨て犬を拾って、親に内緒でこっそり育てていたこの私への挑戦状かな?


 結局バレてメッチャ親に怒られたけど、私も一歩も引かなかったから、最後には親が折れて家族の一員になったんだよね。


 あの時の闘志を思い出し、パパへと食って掛かる!



「ダメ!ぜったいダメ!おうちにつれてかえって、ちゃんとてあてするの!!」


 私はパパの服を掴んで、全力で訴えた。


「いやいや、セレナ。人を(おそ)わないとは言っても、一応魔物でだな…。それに、野生の生き物は何かと難しいことが多いし…」


「やだ! つれてかえってくれなきゃ、パパのこと、キライになるからねっ!!」


 どうだ、伝家(でんか)宝刀(ほうとう)! 効果は抜群(ばつぐん)のはず!

  …あぁ、ごめんパパ。思った以上に壊滅(かいめつ)的なダメージを与えてしまったみたい。


「セ、セレナぁ…。そんなこと言うと、パパ、本気で泣いちゃうぞ…」


 (というか、もうすでに涙目じゃん!)


 まあ、魔物だから危険かもって心配するパパの気持ちも分かるよ。

 私の安全を第一に考えてくれてるのも、うんうん、分かってる。


 (でも、ここでこの子を見捨てるとか、私には()()()()なんだ!)


「…じゃあ、わかった! もうすぐわたしのたんじょうびでしょ? ことしのプレゼントは、このこで!」


「ハウッ!!」


 パパが変な声を上げた。これで、もう断れないはずだ。


 案の定、パパは弱々しい声で「…はい」と、がっくりとうなだれた。


 …よし、完全勝利!

ちなみにパパのルキウスは昔冒険者と付き合いがあり、その時少しだけ剣を教えてもらった過去があります。もっとも短い期間だったのでほとんど素人と変わらないんですが…

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