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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第四章 帰還、そして選択の前夜

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第68話 置いてみただけ

久々登場マチルダ先生。

セレナの発想を見込んで何やら相談があるようです。

「セレナさん、三十分くらいちょっとお茶しない?」


 ある日の放課後、いつも通りダッシュで帰ろうとした私にマチルダ先生が声をかけてきた。

 珍しいな、先生が話したいなんて。

 私は魔導具練習と少し迷ったが、何かあるのだろうと話を受けた。



 個人指導室。

 ここに来るのは『つむじ風コンビバレ&授業改革』の一件以来だ。

 あの日、アミーカと大喧嘩して泣いたことを思い出し、ちょっと恥ずかしくなった。


 部屋について待っていると、先生がお茶を運んできてくれた。

 この香りは......ローズヒップティーかな?


「ごめんなさいね、魔導具の練習で忙しいのに」


「いえ、一日くらい大丈夫ですよ。それで、お話って?」


「実はね......」


 マチルダ先生が話したのはおおよそこんな感じのことだ。


『つむじ風コンビ』が年明けからイタズラをしなくなり、生徒が不満が溜まりやすくなった。 


 私とアミーカが授業が終わるとすぐ自分の勉強をしに帰るので、学校って必要なのかな?という意識が生徒たちに薄く出始めてる。


 まあおおむねこの二点だ。


「つまり、私にどうしろと?」


「ううん、生徒にやらせちゃ先生失格よ。でもこの前の授業改革の案はとても感動させられたの」


 授業改革の時のことを思い出したのか、先生は少しだけ困ったように笑った。


「だからあなたなら?って思ってしまったの」


 無茶を言わないでほしいなぁ。

 あの計画だってだいぶ前から思ってたから話せたのであって、この場で聞いた悩みに即答えられるほど頭は良くないよ?


「そんなこと言われても......。それに、私たちはたぶん特殊中の特殊な状況でこう変わりましたからね」


 そう言って王都での話を大まかに話す。

 もちろんクナ・ヴァポリスや照明革命とかの危ない話は伏せてだ。


 私の話を聞き終えると、先生は紅茶を一口すすり、頭に手を当てため息を漏らす。


「はぁ、あなた達すごい経験をしてきたわね。何よ伯爵に公爵って。この学校の先生だって話したことなんかないわよ、きっと」


「ま、まあそこについてはパパのせいと言うか、おかげと言うか......」


「そういう強い経験があったのなら休み明けの変わりようも納得ね。」


 王都で私は魔導具、アミーカは料理の道を強烈に意識させられたからこそ、今の自分たちがある。


 あ、それならクラスメートにもこの先の道、職業をより強く意識するよう準備してみたら?


「先生、なんか世の中の職業がひとつにまとまった大きな図みたいなのってないですか?」


「ああ、あるわよ。最近はみんなある程度職業決めちゃうから、資料室の奥で埃かぶっちゃってるけど、昔はよく使ってたんですって」


「よし、それ教室に貼りましょう」


 私が席を立って資料室に向かおうとすると、先生が声をかけてきた。


「ちょ、ちょっと、それで何をするの?」


「うーん、授業改革以上にみんな任せだからまだ言えないですね。でももしかしたら変わるキッカケくらいにはなるかもと思って。まあ上手くいったらラッキーと思ってください」


 私は先生に手を振って個人指導室を後にした。


 ◇◆◇


 翌日。

 私が教室に入ると、そこはいつもと違うのに、いつも通りの空間があった。


 みんながクラスに入ってくると、それ(・・)に目をやったり、一瞬驚きながらもいつも通りのザワザワした空間に戻っていく。


 教室の後ろ。

 そこには、ほぼ壁一面を覆うように、街のマップが貼られていた。


 もちろん本当のヴェルダのマップではないが、その中に職業のイラストの下に簡単な説明が入ったものが散りばめられており、街がどういう職業で成り立ってるかを説明するものだ。


 昨日何が大変だったって、埃にまみれたこの紙を、破かないように丁寧に拭くことが一番の重労働だった。

 先生たちが手伝ってくれなかったら夜までかかっていただろう。


「わっ!何これ」


 登校していたアミーカが教室に入り、マップを見て驚く。


「おはよっ、アミーカ。これ私の悪だくみだよ」


 イヒッと笑うと、


「えー、面白そうなことするなら言ってよー。寂しいじゃん」


 と言われてしまったので、慌てて手を振って


「ううん、昨日先生に呼ばれて話して、そのままやったからさ。昨日はアミーカの帰りも早かったじゃん?」


 と、言い訳をしたが、やっぱり納得いかなかったらしく、ちょっとだけほっぺをふくらませ、


「それでも声かけてほしかったなぁ......」


 とスネた。


(もー、この可愛い生き物なんなの!)


 私はアミーカのほっぺをぷにぷにつつきながら、「ごめんってー」と謝ってると、つついた拍子にふくらませたほっぺから「プッ」と音が出た。


「もー、セレナぁ!」


 ぽかぽかと叩かれながら、私たちはすぐおかしくなって笑い声を上げる。

 久しぶりにこんな雰囲気が作れてなんかホッとするなぁ。


 たまにはアミーカと短くてもいいからお茶でもする時間取ろうかな?

 ついそんなことを考えさせられた。



「で、結局なんなの、これ?」


「うーん、私も思いつきでしかないんだけどさ」


 私は昨日の先生との話と、私の考えを話す。


「あぁ、要するに考えを職業に向けてやれば、余計なこと考えなくて済むでしょ?ってことね」


 さすがは親友、話が早い。


「でもね、職業に考え向くかどうかなんて人によるじゃない?だから本当に思いつきなの」



 それから一週間、たまにマップを見て話したりする子は出てきても、雑談程度で終わったり、興味がない子はそもそも見てもいない。


 うーん、失敗したかな?

 元々思いつきとはいえ、マチルダ先生の期待に応えられず悪かったなぁと、ちょっとした罪悪感が湧いていた。



 その日のお昼休み。

 クラスで一番話すのが苦手で、引っ込み思案な子がマップをジーッと眺めていた。


 何か一つの職業だけを見るんじゃなくて一つ一つの職業をじっくりと見て研究でもしてるかのようだ。


 私はその様子に興味をひかれて、つい声をかけてみた。


「ねえ......」

さすがに貼っただけで引っかかる人はいないよなぁと考えてたセレナのマップに引っかかった哀れなクラスメート(笑)

次回、この二人を軸に話が展開します。


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