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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第四章 帰還、そして選択の前夜

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第67話 見えないままで

夢(澪の世界)から目覚めたセレナ。

しかし前と違い一晩経ったわけではないようで......

「セレナ、セレナッ!!」


 ママの涙混じりの切羽詰まった声を聞き、私は慌てて飛び起きた。


「セレナ......あぁ、良かった、心配したじゃない、もう!」


 強く抱きしめてきたママの身体はブルブル震えていた。

 あれ、私......どうしたんだっけ?

 なんか身体が妙に冷えてる気がする。


 ちょうどドアを開けて外に出ようとしていたパパも、私の回復を見るとすっ飛んできて、


「セレナ、痛いところとかないか?大丈夫か?」


 と、あたふたしている。

 この二人がこんなに取り乱したのなんて初めて見たかもしれない。

 その姿に胸が締め付けられる思いだ。


「二人とも心配かけてごめん、私はもう大丈夫だから」


 私はママを抱きしめ返す。

 少し抱き合っていると、すぐにママの震えも取れてきて、グイッと引き剥がされる。

 すると、私の肩を掴んで両目をじーっと見てきた。


「目も変になったりはしてないみたいね。最後目を押さえて気絶したから、目にも何か起きたのかと本気で心配したのよ?」


 そう言ってコツンと私の頭を小突く。

 いつも自信家のママのことだ、きっと照れ隠しなんだろう。


「よし、落ち着けるようお茶でも淹れてやろう。二人とも座って待っててくれ」


 パパの方は無事とわかるとすぐに立ち直ったみたいだ。いつもは正反対な性格なのに......

 夫婦って面白いなぁと考えていると、不意に



 ......ちゃんと経験積んで、いい相手見つけなよ?



 そんな澪の言葉がよみがえる。

 二人はたぶんいい相手同士なんだろうなぁ。




 パパがお茶を入れてくれたので、先ほどの続きを話す。


「さっきの話なんだけど、貴族に囲われるとすると、具体的には何をしたらそうなるの?」


「そうだなぁ。やっぱり能力が信じられるものを最低でも二回か三回作ることかなぁ。さすがに一回で囲うまではしないだろうしな」


 パパの言葉にママもうなずく。


「あのね、さっきの力、もしかしたらなくなったかもしれないの。さっき倒れる前、力が出る前と逆でとっても目が冷たくなって、それで寒くて震えて倒れちゃったみたいだから」


 力がなくなったことを、私の気絶直前の状況をうまく利用して、そういう話にして説明してみる。


 納得しがたい二人を横目に見て、私は昼間作ってた四つの回路のひとつを取り上げて集中して見てみる。


 ......うん、何も起こらない。

 ありがとう、澪。ちゃんと抑えられてるよ。


「やっぱり消えたみたい。ママの凶悪な試験のせいで一時的に変になっちゃったんじゃないかな?」


「本当に......見えないの?」


 ママの疑惑の目を、私はきちんと正面から受け止めて


「うん、見えない(・・・・)よ」


 本当のことを言えず、胸を掴まれるような痛みが私を襲うが、一切顔に出さないよう身体に力を入れてそう答えた。


 ママは一瞬目を細めたが、すぐに諦めたような表情に変わる。


 ごめんね、ママ。


 正確には一時的にだけど、今それを伝えて心配をかけたいわけじゃないから。


 澪の言う通り、それまでに私が誰にも何も言わせない立場になる。

 本当にそこへ立てるのか、今はまだ分からないけど。




「でも仮にさっきのがまた出て、もう戻らないとしてさ、私が変なことに怯えず済むためにはどうしたらいいのかな?」


「ま、一番手っ取り早いのは貴族に後ろ盾になってもらうことだが、これは相手を間違えると、さっきセレナの言った通り『囲われる』のと変わらん」


 パパはそんなことはさせまいと言わんばかりにとてもこわばった顔をしている。


「セレナがその能力で王国の危機とか深刻な悩みを解決する魔導具を作る。代わりに誰も手出しをさせないよう王国の後ろ盾をもらう手もあるわよ?王国の後ろ盾を持つ庶民とか痛快じゃない」


 そう言って楽しそうに笑うママ。

 もう、真面目に考えてるんだけどなぁ。


 でも、でもたしかにそれが叶うなら、私は願ったり叶ったりだ。


「まあいずれにせよ貴族・王国への繋がりは必要ということだから、今回繋がった縁は大切にしておくんだぞ?」


「セレナの言葉で構わないから、きちんと季節の挨拶の手紙や、高等学校に行くならその報告もしておくんだ」


 パパはそういうと自分の工房に入って何やらゴソゴソと探す音がしたかと思うと、本を数冊持ってきた。


「アミーカちゃんにも貸した貴族の生活や、しきたりみたいなものが書かれてる本だ。セレナも読んでおくといい」


 ドサッ!


 まあまあいい音を立てて本が食卓に置かれる。アミーカ、これもう読み終えてるとかやるなぁ。

 これは私も負けてられないぞ。


「ありがと!ちょっと借りておくね」


「さ、明日は学校だろ?そろそろ寝ておけ」

「そうだね、それじゃあおやすみ、ママ、パパ」


 部屋へ去っていく私の後ろで「またママが先だった〜」と嘆くパパの声が聞こえた気がするが気にしない。

 その嘆きを聞きたくてわざとやってるんだから。


 思わずクスクスっと笑ってしまう。

 とりあえず、今すぐどうこうという事態は避けられたことに、とても安心して私は床につく。



 まさか翌日学校でマチルダ先生からあんなことを頼まれるなんて、この時は文字通り夢にも思ってはいなかった。

ひとまずセレナのあぶない才能問題はここでいったん落ち着きました。またいずれ出てくると思いますので、それまでお待ち下さい。

次回、久々の学校回でセレナはマチルダ先生からセレナならではの依頼をされます。

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