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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第四章 帰還、そして選択の前夜

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第64話 見えてはいけないもの

セレナの伸ばす手、それは温かな笑顔の始まりか、それとも?

 おっとり刀でやってきたフローラさんが、テーブルの上からランタンを外してくれる。

 席にはまだ私よりも小さい子どももいて、不安そうにお母さんの服を握っている。


 この子に笑顔を取り戻してあげなきゃ。

 その思いで彼女の頭に手を置き、


「お姉ちゃんがすぐ直してくるから、少しだけ待っててね」


 と笑いかける。

 少しだけ不安が緩んだ顔になり、コクンとうなずいてくれた。

 この子の期待を裏切らないよう頑張らないと!


 幸い私たちはまだ来たばかりだったので、案内される予定だったテーブルは明るさもあるし、何も乗ってない。好都合だ。


 ランタンのケースを開け、回路の異常を探す。すると、


「あぁ、単なる魔力切れみたいね」


 後ろからママが余計な一言を言ってきた。

 でもたしかに回路に異常はなさそうだし、魔石から魔力を感じないから、その判断で間違いなさそうだ。

 チェッ、せっかくの腕の見せ所って張り切ったのに。


 バルドさんが交換用の『火の魔石』を持ってきてくれた。

 後は魔石を交換して終わりだね。


 そう思った時、ふと回路がぼやけて見える。目をこすって何度見返しても変わらない。


 すると、頭の中で「ガチャン!」という鈍い音が聞こえた。


 (な、なんだ!?今の音?)


 周りを見回しても誰も音に気付いた感じはない。まさか、私だけ......?


 そした次第に目がぽかぽかと暖かくなってきて、一瞬、ほんの一瞬だけ、まるで燃えるような熱に襲われた。



「ッ!......」


 あまりの熱さに目を覆おうとしたが、次の瞬間には熱はさっぱり引いていて、まるでパパが作ってくれた目薬をさした後のような清涼感が残っていた。


「あんたさっきから何一人で踊ってんのよ?ほら、早く魔石交換なさい」


 ママは冷たくそう言うが、目は心配そうに細められている。


「あ、うん、ごめん。すぐやるね」


 そう言ってランタンの回路に向き合うと、

 うわっ!なにこれ......



 普通焼き付けが終わった回路は単なる溝で、そこに魔力が見えるなんてことはない。魔力を流して初めてその流れが確認できる。


 なのに、それなのに、私の目には明らかに焼き付けた時の魔力の残滓がありありと見てとれた。


 これ......気持ち悪い。

 魔力が波打ってたり、引っかかって変な流れ方してたり。全然キレイに流れてない!


 私はカバンから魔導筆を取り出し、デコボコの高さを揃え、魔力溜まりを解放してどこの回路にもキレイに魔力が通るよう手直しをかける。


 ほんのわずかな時間、気になったところを手直しして、バルドさんから受け取った魔石を嵌めてランタンをもとに戻した。


「よし、これで大丈夫なはず」


 そう言って私がランタンのスイッチを押すと、


 ビカッ!!


 通常のランタンではありえないほどの光量があたりを照らす。


「うわっ!」

「な、なんだこれは!!」


 辺りのお客さんも私たちも、強すぎる光の槍から目を守ろうと必死で手で覆った。


「セレナ、スイッチオフ!」


 ママの言葉に反射的にスイッチを切ると、店内には静けさが戻り、いくばくかの暗さをもたらした。


「新しい魔石使い切るような調整するとか、あんた何考えてんの!」


 ペチンッ!とママが大声で私を怒鳴りつけ、頭を叩く。


「そっ、そんな......」


 ことしてないもん!

 そう言おうとした私の口はママの手によって塞がれる。

 塞がれた手が震えてる......


「家帰るまで今のは黙っておきなさい」


 私はママの目を見て一度だけコクンとうなずき返した。



「うちの娘がごめんなさーい......ルキウス、ちょっとひとっ走り家まで行って、作り置きのランタンふたつ持ってきてくれる?魔石もお願いね」


「おうっ!」


 そう言うとパパはバルドさんやフローラさんが止める間もなく店を飛び出していき、ほどなくしてランタンを三つ(・・)抱えて戻って来た。


「ほれ、バルド。迷惑かけたから二つはやるよ。その代わり美味い料理、今日も期待してるからな?」


 トンとバルドさんの胸を叩くと、バルドさんも苦笑いだ。おそらく何を言っても無駄なことが分かってるのだろう。


 私はパパから一つランタンを受け取り、あの子のテーブルに行って明かりを灯してあげた。

 先ほどの攻撃的な光とは違う、とてもやわらかな光。


「さっきはごめんね。驚いちゃったよね?」


 女の子の頭をよしよししてあげると、


「びっくりしたけど、とっても楽しかったよ!」


 と、とても元気な笑顔を見せてくれた。

 期待してた笑顔とは違ったけど、これはこれで素敵な笑顔もらえたからいっか。


 失敗して少し落ち込んでた心が、この子の笑顔のおかげで少しほぐれた気がした。


 席に戻るとママがランタンを袋にしまってこちらを睨み、


「帰ったらしっかり説明してもらうからね?」


 はぁ......


 そこからはたくさん美味しい料理を食べたり、アミーカとお話出来たり、とてもとても楽しい時間だったはずなのだが......


 なんて説明しよう?


 常にこの言葉だけが頭の中でぐるぐる周り、私はずーっと上の空だった。


やらかしセレナここにあり......ですね。

とりあえずママが大急ぎで「失敗」として片付けましたが、シルヴァーノ家は三人共内心ドッキドキです。

次回、またセレナの悲哀から始まります(笑)

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