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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第三章 王都という名の試練

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第38話 料理人アミーカ、グレッダ伯爵に挑戦する!

突然のママ登場で、ルキウスの想いが明らかになった前回。

ルキウスはどう動くのでしょうか?

 さすがに色々言われてパパも重い腰を上げることにしたようだ。


「うーん、仕方ないっ!そこまで言われて行かないわけにいかんだろ。パステル、手伝ってやる」


 パステルさんの顔がパアッと輝く。


 パパはアミーカに向き直って、


「アミーカちゃん悪いなぁ。せっかく王都に来られたのに、ろくに案内できなくなっちゃって」


 と、頭を下げる。


「王城も市場もすっごく楽しかったですよ! 今度はうちの両親も休み取らせるので、またみんなで来て遊びましょうよ」


 イタズラだけが際立って見えてしまうが、アミーカはこれでいてちゃんと周りに気遣いが出来るとってもいい子だ。たぶん食堂の娘なので、自然とそういうのが身についたんだろう。


 それに……パパとママがいなくても、私たち「つむじ風コンビ」に、エルダーシルフドッグっていうのが分かったリオと三人、きっと何かしら面白そうなことを思いついて、勝手に楽しんでると思うから、ぜひとも安心して欲しいと思う。


「あ、でも……」


 ぽつりと声が落ちた。気になる沈黙が落ちて、胸がざわつく。


「どうしたの?」

「王城の料理、ちょっと食べてみたかったなぁって。」


 あの『コックさんセット』をプレゼントした日以来、アミーカは本気で料理にのめり込んでいるそうだ。


 せっかく王都まで来たんだし、学べるものは学びたいんだろう。

 でも王城の料理なんて、庶民のパパにはさすがに遠すぎる世界だ。

 そんなこと言われてもなぁと、悩んでいる時だった。


 目の前に、それが“できそうな人”が座っていた。

 グレッダさんだ。


「グレッダさん、グレッダさんなら王城の料理食べさせてもらえたりしますか!?」


 勢いで聞いた私に、彼は少し困った表情になった。


「子どもを王城に招くのは俺でもさすがに無理だぞ」


 ショボン……


 私とアミーカは大きく肩を落とす。

 唯一の希望が見えた瞬間、あっという間に消えてしまったのだから仕方ないよね。

 そんな私たちを見て、グレッダさんもさすがに悪いと思ったのか、代案を出してくれた。


「ただ、個人的に親しくしている王城料理人はいる。うちの屋敷で作ってもらうよう、依頼することは出来なくもない」


 ガタッ!

 アミーカと私は、椅子を鳴らす勢いで同時に立ち上がった。


「いや、待て待て。親しいとは言え王城料理人だ。彼に頼むのなら、ふたりにもそれなりの条件をクリアしてもらわないとフェアじゃないだろ」


 グレッダさんの目が真剣になる。

 アミーカは息をのんで背筋を伸ばした。


「では材料は特に指定しない。お題は『私に感動を与えてくれる一皿』だ」


「何、感動って?そんな曖昧な条件、何出しても『感動しなかった』って言ったら終わりじゃん。もっとハッキリ分かる条件ちょうだいよ。」


 私の抗議を、彼は静かに受け止めた。


「ではセレナ嬢、料理の判定におけるハッキリとした条件とは何だ?塩をどのくらい使った、火入れをどのくらいした。そういうものではないだろう?」


 グレッダさんの言葉に私は黙り込む。


「先ほどのロックボアを食べたろう?どう処理したかは分からなくても、あまりの美味しさに感動してたではないか」


 これは…冒険者グレッダじゃない、きっとグレッダ伯爵として、私に伝えてるんだ。


「例えどんな時、どんな状況であっても、料理人が自分の経験の全てを懸けて、お客様に最良と思われる一皿で勝負をする。それが料理人の矜持というものだ」


 その言葉は重くて、でも真っすぐで。

 言い返すことなんてできなかった。


 アミーカは、ぎゅっと両手を握りしめていた。

 小さく震えている。

 怖いのか、それとも期待か。


 でも、その震えの奥に火が灯っているのを、私ははっきり見た。


「セレナ、私は挑戦したい」


 顔を上げたアミーカは、いつものいたずらっ子じゃなかった。


 職人の目をしていた。


「パパがいつも言うんだ。『一度の皿で、次も来てくれるか決まる』って。

 私も、料理人として挑みたい!」


 ああ、そうか。

 まだ本人から聞いたわけじゃないけど、もう分かった気がする。


 料理人。


 しかも王城の料理人。この国の最高峰。

 アミーカはそこを本気で目指してるんだ。


(ったく、そんなすごい夢、さっさと親友には打ち明けなさいよね)


 そう思いながらも、胸の奥がじんわり熱くなる。


 アミーカは一度だけ深く息を吸った。

 迷いを押し流すみたいに。


「わたし、その挑戦受けます!」


 アミーカの宣言は、真っすぐで揺るぎなかった。


「よし。三日やろう。今日が十八日だから、明日から三日。試験日は二十二日の正午、俺の屋敷で成果を見せてもらう。いいな?」


「はい!」


「買い物も必要だろう。明日からひとり、うちのメイドを付けてやる。護衛としても優秀だからルキウスたちも心配せんで済むだろう」


 強いメイド?

 それちょっと楽しそう……なんて、余計な想像をしてしまった私は、自分の頬をペチンと叩いた。


 アミーカの夢のための挑戦だ。

 親友の私がよそ見してどうする。


「ワンッ、ワンッ!」


 なぜかリオにまで怒られた。


「ハハッ、頼もしい仲間もいるから、さらに心配はいらんな」


 こうして、アミーカとグレッダさんの料理試験が、正式に動き始めた。


 今回はパパもママも自分の仕事でいない。

 アミーカは親友の私がしっかり支えなければいけない。

 魔道具で何かサポートできることがあるといいんだけど......


 私はアミーカのために何が出来るだろう?と、必死に考え続けていた。

アミーカは自分の夢にとてもまっすぐ突き進み、なんと伯爵に挑戦するという、

本来あり得ない機会に恵まれました。

これに対してセレナはどう動くのでしょうか。


楽しんでもらえたら、★入れてもらえると嬉しいです♪

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