表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第三章 王都という名の試練

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/75

第34話 明かされるリオとママとセレナの秘密

グレッダとの再会で色々話が進み、今回は余計なことまで話が進んでしまいます。

はたしてその内容とは?

「で、今はどこで何してるんだ? 出ていく時に行き先も言わねぇから、探しようがなかったぞ。」


 グレッダさんは強面(こわもて)のわりに声は妙に寂しげだった。


「悪かったな。あの頃は自分のやりたい仕事を追うことしか考えてなくてよ。行き先も決めずに飛び出したんだ。今はヴェルダで家族と楽しく暮らしてるよ。」


 にこやかなパパに、グレッダさんも心底ほっとした顔を見せる。


(やっぱり仲良かったんだな、この二人。)


「ていうか、パステルとは年一で連絡してるぞ? あいつに聞かなかったのか。」


 パパが首をかしげると、グレッダさんはバツが悪そうに頬をかいた。


「あー…ルキウスが辞めて少ししたら、錬金術師ギルドがゴタつき始めてよ。お前いねぇなら別にいいかって、近づかなくなったんだ。」


「そうか。迷惑かけたな。」


「なに、お前が元気で暮らしてんならそれで充分だ。」


 そう言ってから、彼は私たちへ視線を合わせてしゃがみこんだ。


「ところでお嬢ちゃんたち、腹減ってないか?」


 言われてみれば、ベーネ工房でお菓子をつまんだきり、ずっと歩き通しだった。

 お腹空いた、って言おうとした瞬間。


「「ググゥ〜」」


 アミーカと私のお腹がハモった。


(やめてぇえええ!!)


「ワッハッハ! ルキウス、子どもの面倒はまだまだだな。どうせ久々の王都でテンション上がって歩かせたんだろ?」


 グレッダさんは懐から袋を取り出す。


「依頼料もたんまり入ったし、久々の再会祝いだ。『金の太陽』行こうぜ。あそこならペットもOKだ。」


 パパの背中をバンバン叩く。


「だから痛ぇっての! じゃあ、せっかくのお誘いだ。その依頼料全部溶かしてやるよ。」


(全部溶かすって。パパ、それダメ人間ワードじゃん。)


「よし行くぞお嬢ちゃん達! 王都で一番の酒場だ。食事もうめぇぞ。」


 強面ウインクが飛んできたけど、これはちょっと食べられそうな恐怖があるな。

 私だけでなく、 アミーカもビクッとしたのを私は見逃してない。


 そうして私たちは『金の太陽』へ向かった。




『金の太陽』はさすが王都一の酒場だけあって広い。『月のしずく』の3倍はあるし、2 階席まである。


(総キャパ500席くらいかな。王都、でかすぎない?)


 グレッダさんは店主と言葉を交わし、慣れた様子で席を確保した。

 飲み物を頼むと、彼は胸を張って言う。


「まず料理は任せてくれ。ここの名物料理が王国一と言っていいくらい絶品なんだ。まずはそれを食ってほしい。」


「お願いします!」


 もう私もアミーカもこの人には緊張しない。

  軽快すぎるノリのおかげだ。

 そのあたりがパパと仲良かった理由なのかも。


「しかしシルフドッグか。ん? こいつエルダーか?」


 そう言って本を取り出し、見せてくれた。


「ほら。目が少し透明がかった濃い青だろ? それエルダーシルフドッグだ。」


(ほんとだ!)


「普通のは弱い風魔法だけだが、エルダーは強い風魔法で敵を切り刻むぞ。」


 私たちは思わず声をあげた。


「あっ、あの時の…」


「エルダーだからなんだ…」


(あ、やば。パパに内緒だったのに!)


 でもパパは涼しい顔で、


「ああ、エルダーだぞ。」


「パパ知ってたの!?」


 当然みたいな顔。


「錬金術師ってのは冒険者の次に魔物に詳しいんだよ。リオがうちに来て目覚ました時から気付いてたぞ。」


 と、ドヤ顔。

 そしてさらに追撃。


「グレッダ、聞いてくれ。こいつら行商人の薬草瓶壊して、無断で森に入って代わりを探して、ロックボアに襲われかけたんだぜ?しかも隠れてやり過ごしたなんてウソついて。」


 話しかけられたグレッダさんは


「ロックボアは嗅覚鋭いからな。隠れられるわけがない。」


 と冒険者らしく答える。


「ってことで、パパとママは全部知ってましたー!」


「「こどもか!!」」


 私たちの声が見事に(そろ)った。


(うぅ、嘘ぜんぶバレバレだったのか…悔しい…)


 私のふてくされた顔を見たパパは苦笑し、ウェイトレスさんに何か耳打ちする。


(役者だよね、ほんと…)


「よし、乾杯するぞ!」


 グレッダさんの掛け声で、皆で杯を合わせた。




「ルキウス、お前奥さんは?」


「街灯事件に巻き込まれて、今はベーネ工房で馬車馬みたいに働いてるよ。」


「ベーネ工房? で、奥さんの名前は?」


「マリエッタだ。工房じゃマリーって呼ばれてたらしい。」


「ベーネ工房のマリー! あの『台風娘』がお前の奥さんか!」


「ブホッ!」


 パパは飲んだ酒を盛大に吹き出した。


「うわっ、パパ、汚いっ!」


「何だ『台風娘』って?」


「思い込んだら一直線、表情をころころ変えて、誰彼かまわず突っかかり、王都中へ騒ぎをまき散らす。誰が呼んだか『台風娘』だな。」


「なあ、そういう芝居流行ってたのか?テイストが俺のと全く一緒なんだが。」


「まあ実を言えばどっちも広めたの俺だからな。」


「お前かよっ!!」


 パパはグレッダさんの胸を平手で軽くパンッと叩く。


(おおっ、まさか漫才が見られるとは!)


 私がそんなどうでもいい感動をしていると、


「ねぇ、セレナ。」


 とアミーカが袖を引く。


「マリエッタさんが『台風娘』でしょ? セレナは『つむじ風』だから、同じ風で仲良しだね。」


 にやっと笑うアミーカ。


「アミーカ、私をハメるとか正気っ!?」


 案の定パパが食いつく。


「つむじ風?」


 アミーカは大まかに説明してしまった。

 入学直後からのイタズラ、先生たちとの攻防、ついこの前のバレた件まで。


(ねぇアミーカ…あなたほんとに私の親友?)


 残念なことに、一緒にイタズラする時の彼女は楽しさ優先で先を考えないことがある。


『つむじ風コンビ』がバレたのも、あの時アミーカがカッコいい名前につられて自白さえしなければなんとかなったかもしれないのに。


 なんかアミーカの不用意な一言で、また面倒事が落ちてきそうな、そんなイヤな予感がヒシヒシとしてきたよ...



血の繋がりはないのに、セレナはしっかりルキウスとマリエッタの子どもです。

「つむじ風」が『台風』になるのか、『嵐』になるのか、はたまた『そよ風』にイメチェンするのか?

セレナの今後の成長を楽しみにしましょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ