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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第一章 錬金術師セレナのはじまり

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第3話 初めての魔石操作!青い魔力が私を認めた日

魔導具作りの『怖さ』とはいったい?

 私は緊張した面持ちで庭に出た。

 魔力の危険性。何を見せられるんだろうか?さっきママが石を割ったことを思いだし、背筋に冷たい汗が流れた。


「セレナ、よく見てて」


 ママが握り込んだ青色の石から水が勢いよく飛び出し、庭を濡らす。


「今のは水の魔力を含んだ『水の魔石』ね。じゃあこれが『火の魔石』の場合はどうなるか分かる?」


 それはもう嫌と言うほど分かった。

 もしこれを家の中で暴発させたら......

 私はその想像に身震いした。

 ママは私の顔を見て理解したと分かったのだろう。


「そ。そういうことなの。魔導具を作るには魔石がほぼ必須。でもこの取り扱いを間違えたら大事故につながるの。」


 ママは『火の魔石』を指先でいじくりながら、


「でもね、もっと怖いことがあるんだけど、セレナに分かるかな?」


 と聞いてきた。


 もっと怖い?

 自分の家が火の海になるより怖いことなんて......そこで気が付く。


「お客さんの家で事故を起こすこと?」


 そうだ、下手をしたらお客さんの生命を奪うことにもなりかねない。


「そ、よく出来ました!だから私たちの一番の仕事は、『安全な』魔導具を作ることなの。笑顔がどうとかはその先にあることなのよ。だからセレナの想いは良いことだけど、決して順番は間違えないで」


 私は深くうなずく。

 まずは『安全』

 分かったよ、ママ。

 私はしっかりとその教えを胸に刻む。


「さ、それじゃ次は種類について教えるわ」


 そう言ってまた工房へと入っていった。



「さて、魔導具には大きく分けて二つの方法があるのよ。『付与(ふよ)系』と『回路系』」


 ママは机の上に、木の板と金属の板を並べて説明を始めた。


「『付与(ふよ)系』は、素材そのものに直接魔力を込めて、特別な効果を持たせるもの」


 そう言って手近にあった布を持つ。


「例えば、この布に火の魔力を込めれば燃えにくくしたり、水の魔力を込めて水を(はじ)くように出来るの」

「へぇー!」


 素材自体に効果をプラスする感じかな?


「それに対して『回路系』は、今朝ママが書いていたみたいに、まず紙に『魔導回路』を書く」


 金属の板の横にあった図面を私に渡す。


「これは魔力をどう動かすか決めるお約束みたいなものね。これを素材の上に置いて魔力で焼き付けるんだけど...」


 ママは手元からもう一枚魔導回路の書かれた紙を取り出し、金属の板の上に乗せる。


「この時の注意しないといけないのは、ちゃんと回路の最初が魔石(ませき)にさわってること、回路の最後がゴールにさわってること。」


 なるほど、そのまま電子回路だったわけね。澪の持つプログラミング?の感覚と似ている気がした。


 きちんと初期情報を定義して、順を追って処理させる理屈はやっぱり似てるなーって。


 ―――


「じゃあまず付与系の基礎ね。付与系は例えば水の魔力を布に与えたりするんだけど、ママには属性がありません。さて、こんな時はどうしたらいいでしょう?」


「えっ!......うーん。誰かにやってもらうとか?」


「それじゃあいつまで経ってもママ一人で作れないじゃない。そういう時はこれを使うの」


 ママが棚から小さな箱を取り出した。

 開けると中には、キラキラした赤、青、緑、黄色の石が入っている。


 これはさっきの魔石。


「自分にない属性の魔力は、この魔石から取り出して使うことができるのよ」


「じゃあ、ママも属性ないけど、火とか水の魔導具作れるのは、これがあるから?」


「そう、正解。錬金術師はこの魔石から魔力を上手に引き出す技術を覚えるのが、まず第一歩なの」


 ママが頭を()でてくれるが、なんだかちょっと気恥ずかしい。


 なるほど、属性持ってなくても魔石があれば、色々な魔導具が作れるんだ。

 魔石って便利!


 ―――


「じゃあ、まずはその『水の魔石』から、魔力を引き出す練習をしてみましょうか」


「まず水の出し方ね。魔石に、自分の魔力をぎゅーっと押し込むように入れてみて」


 私は魔石をぎゅっと(にぎ)って、お腹のあたりに力を込める感じで、「えいっ」て魔力を押し込んだ(つもり)


 ビシャッ!!


「わっ!?」


 突然、魔石からさっきのママのものより、強く水が噴き出して、ママのエプロンを濡らした。


「うわっ!ご、ごめんなさい」

「うふふ、大丈夫よ。でも勢い良すぎたわね」


 ママは濡れたエプロンを気にせず、優しく私の頭を()でた。


「これが魔石の力の使い方ね。火の魔石とかは今の勢いで火が出ちゃうから、セレナは一人で勝手に使わないこと。火事になっちゃうからね」


 今の勢いで火が?魔石怖っ!


 ―――


「じゃあ次が本番ね。魔石から魔力を『吸い出す』イメージよ」


「まず、魔石を持っていない方の手、セレナなら左手かな?

 その手のひらの上に、見えないコップがあるものと思ってごらんなさい」


 見えないコップ?あー、あるある。

 ......ウソです、よく分かんないです。


「次に、右手で持ってる魔石から、魔力をそーっと手の中に吸い込んで、左手のコップに少しずつ溜まっていくイメージで」


(そーっと吸い込むって何っ!?ってか、石の中身吸い込むって想像もつかないんだけど)


「上手くいくと、左手のひらの上に、水色の魔力の球が浮かび上がってくるはず」


 私は言われた通り、右手の魔石に意識を集中して、「吸い込めー、吸い込めー」と念じてみる。

 左手には見えないコップ。


 全然、何も起こらない。

 どうやって吸い出すんだろう?

 ストローで吸い出すのはイメージしやすいけど、石にさしたら折れるよね、絶対。


 私がうーん?と難しい顔をしていると、ママは苦笑いして箱からさらにたくさんの水の魔石を取り出した。


「はい、これ、10個あげるから、ちょっと練習してみなさい。最初は難しいから、焦らなくていいからね」


 ママは自分の作業に戻ってしまった。

 置いてかれちゃった...


 ―――


 私は目の前に並べられた10個の水の魔石を前に、途方に暮れる。

 吸い出して移す、吸い出して移す......


 何回か試してみたけど、全然うまくいかない。魔石はただの石ころみたいに黙り込んだままだ。


 中身が勝手に移動してくれたら楽なんだけどな。例えば高いところにある水が低いところに勝手に流れてく......


(あ!『サイフォンの原理』!!)


 これなら、無理に吸い込む必要もないぞ!


 左手に水色の魔石を持って心臓より少し高い位置にかざす。

 右手は左手より少し低い位置、おへその前あたりに構える。


 魔石のことはマグカップでイメージしよう。

 それなら外から中の水が見えなくても仕方がないし、ホースもストローもささる。


 右手には変わらず、見えないコップがあるイメージ。

 私は見た目に左右されないよう目を閉じる。


 マグカップから伸びた透明なホースが、右手のコップにつながると、青色の魔力がゆっくりと流れ落ちていく。


 じわじわと、左手のマグカップから温かいものが右手に流れ込む感覚。

 腕がプルプル震えるけど、止めちゃダメだ!

 私はお腹に力を入れてなんとか我慢する。


 しばらくすると流れが止まる。

 恐る恐る目を開けると、右手のひらには淡い青色の、ピンポン玉くらいのキレイなボールが、ふわりと浮かんでいた。



 胸の奥がぽわっと温かくなる。

 できた、私の力で魔石の魔力を動かせたんだ!


 まだ錬金術師として、最初の最初、第一歩目だけど、自分の力で何かを成し遂げられる。

 その実感が、体中にじんわりと広がった。



 すると、「ガタッ!」と音がするので振り向くと、ママが驚きの表情で固まっていた......

セレナが魔導具関連に挑み、初の成功です。

しかしその後に続くママの動揺はいったい何でしょうか?

次回お楽しみに!


楽しんでもらえたら、★入れてもらえると嬉しいです♪

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― 新着の感想 ―
前世の知識と経験が生かされそうで、面白いなと思いました。
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