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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第二章 つむじ風が吹いた教室で

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第20話 初めて誰かのために ― アミーカへの想い

20話到達しました。みなさまの応援のおかげで頑張れております。いつもありがとうございます!


今日は学校外のセレナとアミーカのお話です。

 初等学校2年生になり、アミーカとはイタズラだけではなく、あらゆる面で「大親友」と呼べるような間柄になっていた。

 今日はそんな大親友との学校外でのお話。


 —


 私は学校以外の時間は基本的には魔導具製作の技術を磨いてるんだけど、やっぱり学校がある分、前ほどのペースで練習出来ないのが玉にキズだ。


 一応使えるものが作れるようになったとは言え、まだまだスムーズな焼き付けが出来ずに、壁にぶつかっている。


 リオが隣で(なぐさ)めてくれる中、


 少しずつ、本当に少しずつだけど私は前に向かって進んでいた。


 —


 そんなある日の午後。

 ママの工房に、アミーカとアミーカのお母さん、食堂『月のしずく』の女将(おかみ)のフローラさんが訪ねてきた。


「マリエッタさん、お願いがあるんだけど…」


 フローラさんは少し困った顔で、古くなったエプロンを見せてくれた。

 よく見ると、油染(あぶらじ)みや()げ跡があちこちについている。


「いつもエプロンを新調するたびに付与をお願いしていた方がいるんだけど。」


 そう言って古いエプロンをしまう。


「その方がもう高齢で引退なさるらしいのね。それでマリエッタさんを紹介されて。」


 ママはそれでピン!ときたらしい。


「あぁ、もしかしてドノヴァンさんですか?この間久々に顔を見せた時に引退の話されてましたから。」


「そうそう、そうなのよ。それにアミーカがいつもセレナちゃんにお世話になってるから、他の方に行くよりはお願いしやすくて。」


 そう言ってフローラさんは今度は新しいエプロンをママに差し出してきた。

 バッククロスタイプの、肩が幅広な布地のものだ。


「申し訳ないのだけど新しいエプロンに付与をお願いできないかしら? 」


 ママが普段お店に(おろ)している魔導具には、布製品を火に強くする付与や、水を(はじ)く付与をしたものがある。食堂で使うエプロンにはぴったりの機能だ。


「ええ、もちろん喜んで!心を込めて付与させていただきますわ。」


 ママはにっこり笑って、フローラさんからエプロンを受け取った。


 —


 ママはちょうど急ぎの仕事もなかったようで、早速その日のうちに付与に取り掛かり始めた。

 私は庭でアミーカとリオと一緒に外で遊んでいた。


 すると、ふと家の工房の窓から、ママが新しいエプロンに魔力を込めているのが見えた。

 淡い光がエプロンを包み込んでいる。


 (綺麗(きれい)だなぁ。)


「……いいなぁ」


 隣で見ていたアミーカが、ぽつりと呟く。

 その瞳はとても寂しそうな、羨ましそうな(うれ)いを帯びていた。


 —


「ん? 何か言った?」


 私はあえて聞こえなかったフリで聞いてみる。


「ううん、なんでもない! それよりセレナ、あっちで競争しよ!」


 アミーカはすぐにいつもの笑顔に戻って、駆け出して行った。


 そっか、アミーカもおうちの手伝いしてるって言ってたから、ママみたいな、ちゃんとしたエプロンほしいのかな。


 (何か私が手伝えたらいいんだけど…)


 —


 その日の夜ご飯の時、私はパパとママに聞いてみた。


「ねぇ、アミーカのお母さんのエプロン、ママが付与してるんだよね?」


「ええ、もう終わったわよ。耐火(たいか)撥水(はっすい)の付与をしたの。」


「え、早っ!…それって、難しい?」


「うーん、セレナも練習してるから分かると思うけど、布全体に均一に魔力を込めるのは、ちょっとコツがいるわね。でも、ママは慣れてるから。」


 そっか…でも。

 私は、昼間のアミーカの(つぶや)きを思い出していた。


「ねぇママ、あのね、わたしアミーカにプレゼントを作りたいの!」


「ほう、プレゼント?」


 パパが興味深そうに聞いてくる。


「うん、来月アミーカの誕生日なの。今日庭で遊んでる時にママの付与を見てアミーカがいいなぁってうらやましがってたんだ。」


 ママは食べるのをいったんストップして私の話をきちんと聞くよう向き直った。


「それで、せっかくプレゼントあげるなら、アミーカが一番よろこぶモノをあげたいなって思って」


「まあ、セレナがアミーカちゃんのために? 素敵じゃない!」


 ママも賛成してくれたみたいだ。


「それでね、ママが作ってたみたいな、火に強くて水もはじくような…そういう服を作ってあげたいんだ!」


「なるほど、付与系の魔導具か。でもセレナは今まであまり取り組んで来なかった分野だよな?」


 (うっ、パパに痛い所を突かれた。)


 だって、イメージ力が必要な付与系よりも、順序だてて魔導回路を組み上げていく方が私にはしっくり来るんだもん。


「うん、でもね、いつもこっちがこまるくらいに元気いっぱいなアミーカが、本当にさみしそうな声してたんだ。」


 私はアミーカの見せたあの瞳を思い出す。


「だから私が努力してなんとかなるなら、なんとかしてあげたくて…」



 ガタッ、ヒュンッ、ガシッ、グーン、ピタッ!

 ここまでわずか2秒(体感)


 パパは目にも止まらないスピードで席を立ち、私を(つか)んで高く上げた。


 (ちょっ!)


「セレナ、偉いっ!友達のために自分が頑張りたいなんて偉すぎるっ!!」


「パパ!昔より年取ってるのに動き早くなってるってどういうこと!!」


 さすがにその後のヒゲジョリジョリは一度本気で怒ったから、さすがにやってこなかった。


 私たちの(というかパパの)やりとりを見て笑っていたママは、


「そうね、セレナがそこまで言うなら協力してあげるわ。必要なものは用意してあげる。でも後はセレナが一人で頑張るのよ?アドバイスくらいはいつでもしてあげるから」


 とフォローしてくれる。

 今回はちゃんと私に挑戦させてくれるみたいだ。


 にこやかな笑顔の裏には、私がどこまで出来るか楽しみだという顔も見え隠れしている。

 まあでもママはいざとなったら助けてくれるから大丈夫!


 とりあえず二人の協力があればなんとかなりそうだ。

 私はちょっと安心できた。


 まだ細かく何を作るか決めてはいないけど、アミーカが喜んでくれる顔を想像すると、なんだかすごくワクワクしてきた!


 —


 私は付与系はまだ基礎練習の段階で、1つの素材に1つの効果しか付与できない。


 しかもあまり広い面積のものに付与したことはない。


 相当難しい挑戦になるかもしれない。

 でもアミーカのためなら頑張ってみせる。

 なんてったって大親友の誕生日プレゼントだもん!


「よし、決めた!わたし、アミーカのために、最高のプレゼントを作ってみせる!」



 私は力強く宣言した。

 パパもママもそんな私の決意を、温かい笑顔で見守ってくれていた。

ルキウス(セレナパパ)は一度、ヒゲが短くて痛いなら伸ばせば!とやってみたところ、育成2日目でマリエッタ(セレナママ)とセレナから気持ち悪がられ、泣いて諦めたそうです(笑)

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