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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第二章 つむじ風が吹いた教室で

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第16話 先生たちを出し抜け!春の交流パーティー前夜

先生達の「つむじ風コンビ」捕獲計画を事前に知ったセレナとアミーカ。さあ、どのように立ち回るのでしょうか?

 そして、春の交流パーティー前日。

 パーティーは明日の昼過ぎから始まる予定だ。


 私たちは午前中のうちに「準備」を(ととの)えた。

 問題の倉庫は、校舎から少し離れた体育倉庫の隣にある。先生たちの計画通り、倉庫の扉は解放されており、誰でも入れるようになっていた。


 —


「よし、セレナ、行くよ!」


「うん!」


 私たちは、事前に作っておいた秘密兵器―わらを束ねて、古い服と帽子を着せただけの、簡単な「身代わり人形」二体を抱えて、倉庫に一番近い茂みまで、息を潜めて近づく。


 茂みの中からそっと様子を窺うと、少し離れた木の陰に、ゴードン先生と…あともう一人、体育のバルガス先生かな? が隠れて倉庫を見ているのが分かった。

 よしよし、計画通りだ。


 私たちは二人が一瞬目を離したスキを狙う。


「せーの!」


 アミーカと同時に、私たちは茂みから飛び出し、全力で倉庫の扉に向かって藁人形を投げ込み、素早く茂みの奥へと後退した。


 ここなら死角になってるから、先生たちからは見えないはずだ。


 —


 案の定、私たちが「中に」入ったと思った先生たちが、猛ダッシュで倉庫に駆け寄ってきた。


「よし、入ったぞ!」


「今だ!」


 ガチャン! バタン!

 勢いよく扉が閉められ、外からかんぬきがかけられる音が響く。


「さあ、もう逃れようはないぞ、いたずらっ子め! 大人しく謝りなさい!」


 ゴードン先生の勝ち誇った声が聞こえる。ふふふ、まだ気づいてないみたいだね。


 私たちは茂みの中でクスクス笑いをこらえるのに必死だった。


 —


 しばらく先生たちの呼びかけが続いたけど、当然、倉庫の中からは何の反応もない。しびれを切らしたのか、先生たちがかんぬきを外して倉庫の中に入る気配がした。


「…なんだこれは!?」


「草人形…? やられた!!」


 先生たちの驚愕する声。…よし、今だ!


 私たちは茂みから飛び出すと、先生たちが倉庫に入った隙をついて、外から扉をバタン!と閉め、そのままかんぬきをガチャン!


 私たちはハイタッチすると、あとは知らないフリをして、足音を立てながらその場を走り去った。

 後ろからは先生たちの怒鳴り声が聞こえてくるけど、気にしなーい!


 —


 2〜3分ほどしてから、私たちは先生を助けるため、草むらから出ていく。


 うわっ、服にめっちゃ草くっついてる。

 これママに怒られるなぁ。


 とりあえず見える範囲の草をパッ、パッと手で払い落とし、私達はわざと倉庫の近くを通りかかるように歩いていく。


「…けてくれー! 誰かいないかー!」


 倉庫の中から、助けを求める声が聞こえる。よしよし、いい感じだ。


 —


「あれ? 先生の声がしない?」


「ほんとだ。倉庫の方からだよ!」


 私たちは「偶然通りかかった」フリをして、倉庫の扉に近づく。


「おーい、先生だ! 間違って鍵をしめられたから開けてくれー」


「えっ、先生?どうしたんですか!」


「大変!すぐ開けますね。」


 私たちは大急ぎでかんぬきを外し、扉を開けてあげる。


 —


 中から出てきたのは、ゴードン先生と体育の先生。

 二人とも、なんだかすごく疲れた顔をしている。


 そして、私たちの顔を見て、ギョッとした表情になった。


「セ、セレナくんに、アミーカくん…」


「先生、大丈夫ですか? 間違えて閉じ込められちゃったなんて、大変でしたね!」


 私が心配そうな顔を作って言うと、アミーカも


「私たち、たまたま通りかかって良かったです!」


 と続ける。


「あ、ああ…ありがとう。助かったよ…。ところで、二人はこんなところで何をしていたんだね?」


 ゴードン先生が、疑いの目を向けながら聞いてくる。


 (せっかく助けてあげたのに失礼な!)


 とは言えここからはボロが出ないようにしないと。


「アミーカが薬草について知りたいって言ってたから、さっきまで二人で図書室で勉強してたんです。」


「それで、帰りに中庭の緑を見ながら帰ろうと思って、こっちの道を歩いてたら、先生たちの声が聞こえたの。」


 私たちは事前に打ち合わせておいた完璧なアリバイを披露する。


「…そうか。2人とも助けてくれてありがとう。気をつけて帰るんだぞ。」


 先生たちはまだ何か言いたそうだったけど、それ以上は追及してこなかった。


「「はーい! 先生、さようなら、また明日!」」


 私たちは二人で声を揃えて挨拶すると、元気に駆け出した。


 ◆◇◆◇◆


「ふぅ、ひどい目にあったな。」

 私はそう呟くとゴードン先生と顔を見合わせて苦笑した。

 まさかセレナとアミーカ、「つむじ風」の最有力候補に助けられてしまうとは。


 元気に駆けていく二人を何気なく見送っているとあることに気付く。


「ゴードン先生、セレナとアミーカの背中、やけにいっぱい草がついてないですか?」


「あぁ確かに。親御さんもあれだと洗濯が大変だな。」


 そういうことではない。

 倉庫の周りには誰もいなかった。それは突入時に確認をしている。

 では我々をハメた者はどこにいたのか?


 まさか隠れていたのではないか?


 そう、例えば「茂みの中」とか。


 —


 いや、今日のところはもういいだろう。

 明日のパーティーのため、準備の手伝いに戻ろう。


 例の二人を捕まえることも大切だが、一年頑張った生徒、新しく入ってきてまだ慣れていない生徒、みんなが楽しみにしてくれている春の交流パーティーを成功させることに、我々教師は全力を傾けようじゃないか!


「バルガス先生、何だか気合いの入ったいい顔してるねー。」


「えぇ、結果は残念でしたが、パーティーの成功に尽力することも大切ですから。」


 そして私は会場となるグラウンドへと視線を向ける。


「さぁ、ゴードン先生戻りましょう。皆が待ってますよ。」


 そうして我々は学舎へと戻っていった。


 ◆◇◆


 先生たちとも結構離れたかな?

 走りながら、ちらっとアミーカの背中を見てみる。


 あー、やっぱり草がいっぱい付いてる。

 アミーカと落とし合いっこしてから出ていくべきだったなぁ。


 もしかしたら先生たち気づいたかも?

 いやいや、脳筋バルガス先生に、ちょっと鈍臭いゴードン先生だもん、きっと大丈夫。


 それに、気づいたとしても証拠はないもんね!

 私たちは顔を見合わせて、またクスクスと笑い合った。



 さあ、明日は春の交流パーティーだ!

 目一杯楽しまなくちゃね。


まさかの先生を捕まえるという逆転発想。これを考えたのはアミーカで、細かい補強をするのがセレナです。

二人のイタズラはだいたいこういう分担で考えられてます。

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