第15話 つむじ風コンビ、罠に挑む!
すごくいたずらっ子なアミーカ。セレナもつい面白そうとそれに乗ることに。この2人の行動がついに問題化してきました。
私たちのイタズラは、日々エスカレートしていった。
エスカレートというか、レパートリーが増えていった、と言うべきか。
アミーカの発想力は本当にすごくて、次から次へと面白いアイデアが湧いてくるみたいだ。
私も最初は少しだけ罪悪感があったけど、アミーカの楽しそうな顔と、みんなの(主に先生たちの)驚く顔を見ているうちに、すっかり共犯者になってしまっていた。
そしてそんな楽しい日々が1年経ち、私達も無事2年生へと進級したある日のことだった。
◆◇◆◇◆
ヴェルダ初等学校の職員室には、重苦しい空気が漂っていた。
私は体育教師のバルガス。
議題は、ここ一年以上、教師陣を悩ませ続けている、神出鬼没の二人組のイタズラっ子、通称「つむじ風コンビ」についてである。
つむじ風というのはイタズラをした者の正体が分からず、イタズラだけが残り、「まるでつむじ風が通っていったようだ」と漏らした先生の一言からそう呼ばれるようになった。
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当初は「子供のやること」と大目に見られていた。
教室の机が逆向きになっていたり、教師の教材の目立たない端っこに落書きが何ページにも続いたり。
実害という実害はなく、むしろ準備に手間がかかっていることを考えると、ある種の芸術性すら感じられると言った教師までいた。
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イタズラだけならもう少し早く動いたのだが、後片付けまでしっかりされているイタズラが多かったのも、対応が遅れた一因だった。
(落書きなどは消そうと思ったら、いつの間にか消えていた…)
しかし新入生が入り、イタズラが下級生にまで目撃されるようになると状況は変わった。
「学校の規律が乱れる」「真似をする子が出たらどうする」という声が教師内からも高まり、ついに本日、「つむじ風対策委員会」が正式に発足するに至ったのだ。
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「…というわけで、これ以上の放置はできません。何としても、今年度中に『つむじ風』の正体を突き止め、指導する必要があります」
委員長としてこの会を発足したベテラン教師、ゴードン先生が力説する。
この方は教頭でもあるので、秩序維持ということへの責任も人一倍あるのだろう。
「分かっているのは、昨年入学した2年生の女子生徒二名である可能性が高い、ということだけか…」
セレナ達の担任でもあるマチルダ先生が溜息をつく。
私も含め、どの先生も明確に口には出さないが、容疑者はアミーカ・ルナリスとセレナ・シルヴァーノにほぼ絞られている。
ただ決定的な証拠がないだけだ。
「そこで、罠を仕掛けようと思う」
ゴードン先生が、ニヤリと笑った。
「もうすぐ春の交流パーティーがあるだろう。あのような楽しいイベントに、奴らがイタズラ心を動かさないわけがない。」
ゴードン先生は黒板をバンッと叩き、特別イベントの図面を指し示す。
「今年は例年にはない特別な出し物…大きなチョコレートファウンテンを設置することになった。これの装置を保管しておく倉庫の扉を解放しておくのだ。」
「なるほど…それを盗みに入ったところを捕らえる、と?」
「その通り。倉庫の周りに我々が張り込み、侵入を確認したら、扉を締め、外からかんぬきをかける。倉庫には窓もない。袋のネズミだ」
計画を聞き、教師陣の間に「今度こそ…!」という決意がみなぎった。
◆◇◆◇◆
そんな先生たちの企みなど露知らず…いや、実はバレバレだったんだけどね。
ある日の学校帰り、アミーカが興奮した様子で私に耳打ちしてきたのだ。
「ねぇセレナ、聞いた? 先生たち、私たちを捕まえようとしてるんだって!」
「え、そうなの?」
聞けば、昨日の夜、アミーカのお母さんがお店を閉めようとした時、遅くまで残っていた先生たちが、例の「罠」について熱心に話し合っていたらしい。壁に耳あり障子に目あり、ってやつだ。
アミーカのお母さんは、
「まさかあんたのことじゃないでしょうね?」
ってアミーカを問い詰めたらしいけど、
「いくら私でもそんなにひどくないってば」
ってしらばっくれたんだって。
どの口が言うのやら…うん、アミーカらしいや。
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「でね、倉庫にチョコレートファウンテン隠して、私たちが入るのを待ってるんだって!」
「へぇー、チョコレートファウンテン! いいじゃん!」
「でしょ!? でもさー、罠だって分かってて、わざわざ捕まりに行くなんて、つまんなくない?」
アミーカが悪戯っぽく笑う。
「…だよね!」
私もニヤリと笑い返した。先生たちの計画、逆手に取っちゃおう!
二人のイタズラ(というかアミーカのプラン)は学校のみんなをププッと笑わせることを目的に行われてるので、あまり行き過ぎたこと、例えば設備破壊やイジメと捉えられそうなことなどは絶対しないよう気をつけています。




