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【旧作】じゃじゃ馬セレナの不器用真っ直ぐ錬金術〜未来の誰かのための魔導具作り〜  作者: 八坂 葵
第二章 つむじ風が吹いた教室で

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第14話 私の友達…?アミーカの隠された一面

10歳になり初等学校へ行くことになったセレナ。入学式で出会った明るい女の子、アミーカ。この子とどういった学校生活を送るのでしょうか?

 初等学校での生活が始まった。


 ヴェルダの街の中心にある学校は、私が思っていたよりもずっと広くて、綺麗(きれい)だった。


 石造りのしっかりした校舎に、大きな窓からは明るい光がたくさん入ってくる。


 教室には、木の温もりがある机と椅子が、きちんと並べられていた。なんだかワクワクする雰囲気(ふんいき)だ。


 クラスの人数は…30人くらいかな?

 みんな同じ10歳のはずだけど、背の高い子もいれば、まだ小さい子もいる。

 男の子と女の子は半々くらい。


 先生は、優しそうな女の先生だった。

 名前は…えーっと、なんだったっけ?ちゃんと聞いとかないとダメだよね。


 私の席は、窓際の後ろから二番目。悪くないポジションだ。


 文字はともかく、計算なんて算数レベル。理数系の大学でほぼ4年まで学んだ私にとっては退屈でしかない。


 なので、その時間は魔導具の構想を()るつもりだ。後ろの席は都合が良い。


 考えてみたら、自分が小学校の時は席ってアイウエオ順だったけど、自己紹介を聞く感じではそういうわけでもなさそうだった。

 一体何順で決めてるんだろ?


 ---


 そして、入学式の時から変わらず、隣の席にはあのアミーカが座っている。

 栗色の髪を二つに結んだ、元気いっぱいの女の子だ。


「セレナ、おはよ!」


「うん、アミーカもおはよ!」


 毎朝、教室で顔を合わせると、アミーカは太陽みたいな笑顔で挨拶してくれる。私も自然と笑顔になってしまう。


 授業は思った通り、今の私にとってはちょっと簡単すぎた。


 文字の読み書きも、思った以上にママに習ってしまってたようだ。教科書を見ると、むこう1年は何も聞かなくてよさそう。


 国の歴史の話は知らないことも多くて面白いけど、やっぱりちょっと退屈な時間も多い。

 でもアミーカが隣にいるおかげで、退屈はしないかな。


 最初の頃は私もまだ少し様子見というか、猫かぶりしてたんだけど、アミーカはそんなのお構いなしに、休み時間になるとすぐに話しかけてきてくれた。


「ねぇセレナ、昨日の夜ご飯、何食べた?」


「えっとね、お魚のスープと、パン!」


「いいなー!うちは食どうだから、いつも残り物なんだよねー」


 アミーカの家は、街で人気の食堂『月のしずく』だって言ってた。私もパパやママとたまに行くことがある。すごく美味しいお店だ。


「残り物でも美味しいんでしょ?」


「まあね!でもたまには普通のおうちのご飯も食べてみたいなー」


 なんて、他愛(たあい)もない話をしているだけでも、なんだか楽しい。


 ---


 アミーカは、とにかく明るくて、誰にでも物怖じしないで話しかけるタイプみたいだ。

 休み時間になると、他の子たちともすぐに打ち解けて、輪の中心で楽しそうに笑っている。


 すごいな、コミュ力高いってやつだ。前世の私も友達は多かったけど、アミーカほどじゃなかったかも。


 ただ…ちょっとだけ気になることもある。


 例えば算数の授業中。先生の教材は生徒が用意する決まりなのだが、アミーカがこっそり私の袖を引っ張った。


「ねぇ、セレナ、これ見て」


 アミーカが指差す先を見ると、先生が使っている教科書の隅っこに、小さなネズミの絵が描かれてる!?

 しかも次のページは猫、その次は犬と、まるで動物図鑑だ。


「これ、アミーカがかいたの?」


 私が小声で聞くと、アミーカは得意げにニッと笑って(うなず)いた。


 (…ええっ!?先生の教科書に?いつの間に?)


 ---


 またある時は歴史の授業で、昔の偉い王様の肖像画が出てきた時。


「ぶふっ」


 隣でアミーカが吹き出すから、何かと思ったら、私の教科書の王様の肖像画に、立派なチョビヒゲが描き足されていたり…。


 極めつけは、ある日の放課後。


「セレナ、ちょっと面白いことしない?」


 アミーカがキラキラした目で私を誘ってきた。

 なんだろう?と思ってついていくと、まだ誰もいない明日の教室へ忍び込んで…


 なんと、クラス全員の机と椅子を全部逆向き、黒板にお尻を向ける形に並べ替え始めたのだ!


「ちょっ、アミーカ!?何やってるの!?」


「いいからいいから。明日の朝、みんながどんな顔するか楽しみじゃない?」


 アミーカは全然悪びれる様子もなく、ケラケラ笑いながら作業を続けている。


 ---


 (…うーん、これは。)


 前世の『(みお)』の感覚で言うと、完全にアウトだ。

 先生の教科書に落書きとか、教室の備品でイタズラとか、普通に怒られるやつだよね?

 下手したら、親呼び出しかも…。


 アミーカは明るくて面白い子だけど、ちょっとイタズラが過ぎるかな。

 このまま一緒にいたら、私も怒られちゃうかもしれない。


 (少し距離を置いた方がいいのかな…?)


 一瞬、真剣にそう考えてしまった。


 でも…。


 アミーカの、あの心底楽しそうな笑顔を見ていたら、なんだかこっちまでワクワクしてくるのも、確かなんだよね。


 前世の私は、どっちかというと真面目な優等生タイプだった。

 授業をサボったり、先生にバレるようなイタズラしたりなんて、考えたこともなかった。


 でも、今は違う。私は『セレナ』で、まだ10歳の子供だ。


 もちろん、人に迷惑をかけたり、物を壊したりするのは絶対にダメだけど…。


 ちょっとした、クスッと笑えるようなイタズラなら…?


 子供のうちだからこそ、許されることって、あるんじゃないかな?


 それに、あの教科書のパラパラ漫画、正直、ちょっと面白かったし…。机逆向きも、明日の朝のみんなの反応、想像したら、ちょっと…いや、かなり面白そう!


「…ふふっ」


 思わず笑いが漏れてしまった。


「なーに笑ってんのよ、セレナも手伝ってよ!」


 アミーカが私の背中をパンと叩く。


「もう、しょうがないなぁ。こっちの列は私がやるから!」


「やったー!」


 ---


 結局、私はアミーカのイタズラに加担することを選んでしまった。


 真面目だった『(みお)』の私が見たら、卒倒しちゃうかもしれない。


 でも、なんだろう。悪いことしてるはずなのに、アミーカと一緒に机を運んでいると、ドキドキして、すごく楽しい!


 これがこれから始まる


「ヴェルダ初等学校のつむじ風コンビ」


 の、ほんの序章に過ぎないことを、この時の私はまだ知らなかった。

初等学校は完全国営で、運営費は税金と貴族からの献金で成り立ってるため、庶民は完全無料です。これは教育重視で未来の国力を増強するという現国王の政策が元となっています。


楽しんでもらえたら、★入れてもらえると嬉しいです♪

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