表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

私は暗闇の中、祖父に抱きかかえられ階段を上っていた。

外から響く声は、押し寄せる波のように迫り、胸の奥を(きし)ませる。

「レオも7歳になったのだ。これから見る光景は貴族としてしっかり覚えておくのだぞ。」

祖父は真摯(しんし)な口調でそう言ったが、その目は輝きに満ち、誇らしげだった。

やがて階段を上りきり、扉の前に立った。祖父は私に笑顔を向けて扉を勢いよく開けた。


眼前に広がるのは果てしなく続く軍勢。


軍旗が風を受け、波のようにうねりながら砂漠を彩る。

槍が森のようにそびえ、重厚な甲冑がひしめき合う。

その光景に、息をすることさえ忘れてしまいそうになる。

だがその中でもひときわ輝いているものがあった。


巨躯の騎士ーー陽光を反射する白銀の鎧は、まるで神々の加護を受けた聖騎士のよう。城壁の前に並ぶそれは威厳と力強さに満ちていた。


祖父は私の肩に手を置き、その光景を静かに見つめながら語り始めた。

「レオ、あれはただの兵ではない。民の命を預かり、国を支える者たちだ」

低く落ち着いた声には、揺るぎない信念が宿っていた。


「貴族とは、命じる者ではない。導く者だ。恐れられる存在ではなく、信じられる存在でなければならぬ」

祖父の視線は軍勢の向こう、はるか彼方を見据えているようだった。

「そして信頼は、言葉や血筋だけでは得られない。最後に民を守れるかどうか――それがすべてだ」


白銀の騎士たちを見つめながら、祖父は力を込めて続けた。

「守れる強さを持て。逃げぬ覚悟を持て。民が背を預けられる背中を示せ。それが、貴族に課せられた責務だ」


その言葉は、胸の奥深くに刻み込まれた。

この日見た光景と祖父の背中が、やがて私の歩む道を決定づけることになるとは、その時の私はまだ知らなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ