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第六話 時計の謎
この時計は人の意志を糧に時の針を進めている。
きっと今までにも多くの意思を紡いできたのだろう、もしかしたら俺をあの蔵に誘ったのも、この時計そのものなのかも知れない。
けれど、そのせいでどんな結末を迎えるかも知らずに、どんな人間が強い意志のもとにこのリューズを巻くかも分からずに、平然と導いて、多くの人々の心を幾度となく粉々に打ち砕いてきたのだろう。
もし、俺が最後であるならば、それは紛れもなくこの時計の終わりを示すことなのだろう。
まだ、雨は止みそうにない。