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ナハトシュロス〜古城の思い出

子供の頃、家出をした。

その時に体験した出来事が何故か色褪せる事なく、頭の中に鮮明に残っている。


古城で出会った、仮面の貴族みたいな男。


まるで仮面パーティーの様な摩訶不思議な出来事。

恐ろしくも美しいその世界は、いつだって気づかないだけで俺達の世界の隣に存在しているのだ。









旅行先だったのか何だったのかもう忘れたけれど、遠縁の親戚なのかの家に連れて行かれた長期休暇中、俺は親と喧嘩した。

跡取りなのだからとなんだかんだ、何でも口を出し決めてしまう両親に嫌気が差したのだ。


妹は嫁に行くんだからと、家柄に恥じない礼儀作法さえ守れば特に何を言われるでもなく、むしろ蝶よ花よと可愛がられ自由に好きに生きているのにだ。

男だから女だからと言う理由も時代錯誤だし、そもそも子供がその贔屓に納得できる訳がない。


その日も妹は綺麗なドレスや装飾品を与えられて、着飾られて楽しそうに笑って愛想を振りまいていた。

俺はと言うと、家を継ぐ為の家訓やら財政やらを学べと、その家にあった分厚い本を数冊渡され、3日後までにレポートにまとめろなんて事を言われて、食事やティータイム以外はほぼ書斎に閉じ込められたって言うのにだ。


ここがどこなのかなんて関係ないのだ。

俺は家でもどこでも、こうやって書斎やデスクに繋がれる。

だからそれが旅先のどこか遠い場所である事なんて、その決心をするまでは意識なんてしていなかった。


こんな家、出ていってやると心に決め、書斎から抜け出る為に映画みたいにカーテンを引っぺがし、窓に結んで夜中の外に飛び出した。

正直、映画でカーテンを使って外に出るシーンはよくあるけれど、実際やってみると無茶な設定だなと思った。

ただ俺は将来、家の家長になる為に厳し目のボーイスカウトなんかにも行かされていたので、ある程度の技術と体力があったから何とかなった。

でも、2階の部屋だったから出来たんだなとは思う。


そして外に出て周りを見た事で、はじめてそこが住んでいる家ではなく、どこかわからない遠い場所である事を思い出した。

頭にきすぎていて忘れていた。

ここは周りに殆ど灯りもないようなど田舎だった。

そこでやっとヤバいと思った。

だからと言って、またカーテンを伝って登るのは無理だ。

降りる事は出来ても、これを登るのは無理だ。

かと言って、玄関にまわって中に入ったら、何を言われるかわかったものじゃない。

きっと厳しい折檻を受けるだろう。


ああ、もうやるしかないんだ。


ここから逃げたければ、野垂れ死ぬ覚悟でここを出るしかない。

むしろ都会の家のまわりでは、夜中に歩き回っていたら人目につくし、厄介な輩に捕まりかねないが、ここではその心配があまりない。

むしろ気をつけるべきは野生動物の方かもしれない。

俺は書斎にあった使えそうなものをまとめて、スカーフで作った即席の袋を肩にかけ、真っ暗な庭園を抜け出し、森に向かった。


森と言ってもそんな鬱蒼とした森じゃない。

その小道を月明かりを頼りに進んでいく。

ここがどこかは知らないし、この道を進んでどこに出るかなんて知らない。

でも俺は、はじめて親に逆らってあの家を逃げ出してきた事で興奮していたんだと思う。

知らない土地で真っ暗な道を進んでいても、特に怖いと思えなかった。


「………うわ……。」


やがて小道は小さな湖畔に出た。

そこにはやはり、小さな城なのか宮殿なのか、石造りの古い建物がそびえていた。

欠けた月に照らされ、静寂の中に佇むそれを見た時、はじめて少しの恐怖を感じた。

だがふと思い出した。

読まされていた本の中に、うちの家系を遡るとこの土地を治める貴族で、その城が湖畔にあったと言う記述があった。

だとするとこれはその城だろう。

つまり、うちの家の所有物だ。

中はどうなっているのだろうと言う好奇心が芽ばえた。


「君、こんな夜更けに何をしているんだい?」


突然そう声をかけられた。

俺はビクッとして振り返った。

いつの間にいたのか、ちょっと古めかしいが身なりの整った若い男が、仮面舞踏会にでも出るような仮面をつけてそこに立っていた。


「君みたいな子供が出歩いていい時間じゃないと思うんだけどなぁ。」


その男はそう言った。

俺は後退った。

家出をして大人に見つかることほど面倒な事はない。

それが良識のある大人なら、間違いなく家に連れ戻されるし、そうでないなら更に危険だ。

襲われたらどう抵抗しようか必死に考えていた。


「……よくわからないけれど、危害を加える気はないよ?僕はあそこに住んでいるものだ。誰だって自分の家の周りをこんな夜更けにうろうろしている人影があったら、見に来るだろ?」


「……あの城に??」


「うん。そうだよ?」


この男はあの城に住んでいるという。

でもあれはうちの所有物だ。

管理をしている人間なのだろうか?


「……あれ、うちの家の城なんだけど……。」


「君の家の??」


そう言うと男は首を傾げた。

そしてじっと俺を見つめる。

仮面があるからよくわからないが、そう思った。


「ふ~ん?なるほど。でも僕の質問には答えてないよね?なんでこんな時間に君みたいな子供が出歩いてこんなところにいるんだい??」


「それは……。そう!城があるって言うから見に来たんだ!!うちのものだし、見に来たら悪いって言うのか?!」


管理人なら、うちの家に雇われている人間だ。

たとえ子供だからといって、舐められてはならない。

俺は精一杯の虚勢を張って、そう言った。

言われた男は一瞬、ぽかんと固まったが、やがて吹き出した。


「何で笑うんだ!失礼だぞ!お前っ!!」


「これは失礼、当城のお坊ちゃん。」


「お坊ちゃんとか言うな!俺は将来の当主だ!あの城もいずれは俺のものになるんだぞ!!」


「ふふふ、それは失礼しました。小さな未来の城主様。お城を見に来られたのですよね?では私がご案内しますよ。」


「う、うん……頼む。」


男は恭しく俺に一礼すると、案内すると言って手を差し伸べてきた。

俺はその手を握った。


「……冷たっ?!」


「これは失礼、城主様。貴方を探してしばらく外にいたせいか、冷えてしまったようです。」


「……別に…びっくりしただけだし……。」


「では参りましょうか?小さな未来の城主様。」


俺はその男に手を引かれ、古城に向かって歩いて行った。












「うわぁ……。」


城の中に入ると、その絢爛豪華なきらびやかさに驚いた。

装飾は妙に時代を感じる古めかさがあるが、きちんと手入れがされているのか、どれも美しく輝いている。

まるで中世の映画の中に入り込んでしまったみたいだった。

俺はとてつもなくテンションが上がり、周りをキョロキョロと見回した。


「どうです?小さな城主様?お気に召しましたか?」


「凄い!外から見た時は、寂れた古城にしか見えなかったのに!!中はこんな風になってたのか!!」


「喜んで頂けて、私もとても嬉しいですよ、城主様。」


彼はにっこり笑うと、俺の手を引いて進んでいく。

不思議ともう、疑心や不安はなくなっていた。


「城主様はタイミングがよろしいですね。実は今日、パーティーが行われている真っ最中なのですよ。」


「パーティー??」


そう言えば妹はドレスをもらって着飾っていた。

多分、このパーティーに参加していたんだ。

俺を書斎に閉じ込めながら、両親と妹はパーティーを楽しんだに違いない。

俺は少し俯いて、奥歯を噛み締めた。


「城主様?」


「いや、何でもない。そう言えばお前はなんて言うんだ??」


「私ですか?そうですね……私の事はフィンとお呼び下さい。城主様。」


「フィン??」


「はい。」


仮面の下の顔がにっこりと微笑む。

顔は見えないが、かなりのイケメンだろうなと思った。

何か女泣かせな雰囲気があるし。

まぁ、その辺は突っ込まなくていいかな。


「それでフィン、何のパーティーなんだ??」


「何って、これです。」


フィンはそう言うと自分の仮面を指差した。


「……仮面パーティー??」


「ええ、そうです。城主様。そうだ、だから城主様の仮面もご用意しませんとね。ではまずこちらに。」


そう言うとフィンは突然、曲がって部屋に入った。

そこは衣装部屋だったようで、古めかしいイブニングドレスやドレススーツなどが並んでいた。

本当に映画のセットみたいだと思った。


「あったあった。城主様、こちらをお使い下さい。」


ぽかんとその部屋の中を見ていた俺に、中を漁っていたフィンが箱を片手に戻ってきた。

フィンはクスリと笑うと俺の前に跪く。


「代々、城主がお使いになる仮面です。」


そう言って箱を開けた。

中にはフィンが使っているものによく似た、きらびやかな装飾の仮面が入っていた。


「……フィンのと似てる。」


「それはそうです。だって私の仮面はそれのレプリカですから。」


「そうなの??」


「はい。ですがこちらは本物です。本物の宝石があしらわれたものにございます。これはただ、豪華に作られているだけではございません。魔除けや悪意避け、逆に魔力を持っていて見えざるものも見えるようになるとも言われています。」


「見えざるものも??」


「ふふふ、そう言われているだけで、実際、何が見えるかは私は知りませんが。ただ、これには意志が宿っていて、自分が認めた者にのみつける事を許すのだそうです。」


「何だよそれ??仮面が人を選ぶのかよ??」


「ええ。ですからこの城の城主になるものは、この仮面に選ばれた者のみと言われていますね。」


「たかが仮面じゃないか?!そんな訳ないだろう?!」


「さぁ、どうなんでしょう??でももしそうなら、小さな未来の城主様は、この仮面に選ばれないと困ってしまいますねぇ?」


「いいからよこせよ!!」


「はいはい。ではどうぞお受け取り下さい?城主様?」


そう言われ、俺はフィンが差し出してくる箱の仮面を見つめた。

そんな話をされたせいか、その仮面が不思議な力を宿しているように見える。

怖気づいたと思われたくなくて、俺は勢い良く手を伸ばした。


「わっ!!」


「ぎゃああぁぁぁっ!!」


俺が取ろうとした瞬間、フィンが大きな声を出し、バタンと箱の蓋を閉めた。

驚いた俺は急いで手を引っ込めて、叫んでしまった。


「あははっ!!城主様、可愛いっ!!」


「フィンっ!!悪ふざけはやめろっ!!」


俺はちょっと涙目になりながら、怒ってフィンを怒鳴りつけた。

けれどフィンは箱を抱えたままけらけら笑っている。


「フィン~っ!!」


「ごめんなさい、城主様。ちょっとやってみたかったんです。ふふふ…。」


ひとしきり笑い終えると、フィンは箱を開けて仮面を取り出すと、それを俺の顔につけた。


「……お似合いですよ、小さな未来の城主様。ちょっとまだ大きいみたいですが、目の位置は大丈夫ですか??」


そう言って優しく笑う。

何だかわからなかったが、ふんわりと何かに包まれた感じがして、俺は不思議な気持ちでフィンを見上げた。


「うん、大丈夫。」


「それは良かった。」


「どう?変じゃない??」


「ええ。よくお似合いです。城主様。」


フィンは髪の毛などを整えてくれて、俺は大きな鏡の前に立たされた。


「これで貴方もこの城の主です。城主様。」


鏡の中、後ろに立って俺の肩に手を置くフィンが笑った。

仮面をつけた自分の姿は見慣れなくて、ちょっと不思議な気がした。


「城主様、ひとつだけ約束してください。」


「何??」


「パーティー会場では、何があろうと決して仮面を取ってはいけません。どうしても取りたくなったら、私を探してそれから外して下さい。いいですね?」


「どうして??」


「言ったでしょう?その仮面には不思議な力があるのです。だから誰かがその仮面を外そうとしても取れませんが、貴方が外せば外れます。そして見ての通り、とても価値のあるものです。何度もこの仮面は窃盗されかけました。価値故に狙われた秘宝の一つなのです。またその美しさ故に、魔が差す人間も現れるでしょう。今宵は仮面パーティーです。どんな人間が紛れ込んでるともしれません。くれぐれもお忘れなく。」


「わ、わかった……。」


「いいですね?決して外してはいけませんよ?」


「うん……。」


鏡越しに視線を合わせて話すフィンの言葉に、俺は少しだけ怖くなった。

そんな俺にフィンはにっこり笑いかける。


「ご不安なら、私の側にいらっしゃれば大丈夫です。必ず護って差し上げます。」


「フィンって強いの??」


「ふふふ、さぁ?どうでしょう??」


フィンはそう言うと、俺の肩にマントをかけた。

黒くて肌触りの良いマントだった。


「では参りましょう。パーティーをどうぞお楽しみ下さい。」










パーティー会場は活気にあふれていた。

皆、仮面同様仮装しているのか、古めかしい中世貴族を思わせる服装をしている。

さっきまでこの城の中にこんなにたくさんの人がいるなんて全く気づかなかった。

誰もが楽しげに笑い、踊っている。


「城主様、お腹が空いているんじゃありませんか?」


「うん、ちょっと空いてる。」


「ではこちらでしばらくお待ち下さい。」


「ありがとう、フィン。」


フィンはそう言うと俺をふかふかのソファーに座らせ、テーブルの軽食を取りに行ってくれた。

戻ってくると、サンドイッチやケーキが皿に並んでいる。


「テーブルには酒類しかありませんでしたので、今、紅茶をお待ちしますね。」


フィンは優しくそう言った。

俺はサンドイッチをかじりながら、フィンの事を目で追う。

フィンは角の方に行くと、そこにあったティーセットでお茶を入れて持ってきてくれた。

カップも何だか年代物のアンティークみたいだった。


「ふふふ、城主様、チキンのソースがついております。」


俺の顔を見たフィンは楽しそうに笑って、俺の頬を拭いてくれる。

何だか外で会った時より表情が柔らかい。

もちろん仮面をつけているからよくわからないと言えばよくわからないのだが、何か幸せそうだ。


俺も何だか昔から世話をしてくれている執事のおじいちゃんと一緒にいる時のようにリラックスしていた。

執事のおじいちゃんだけが俺の苦しみをわかってくれて、閉じ込められた書斎の中で、いつも優しく慰めてくれた。


「……フィンはいつからこの城を管理してるの??」


書斎に閉じ込められる生活をしていた俺と同じように、フィンもこの城に閉じ込められていたのだろうか?

楽しげなパーティーを眺めながら、ふと、そんな事を考える。

2つめの卵のサンドイッチを食べ終えてそう尋ねると、フィンは少しだけ困ったように笑った。


「いつと聞かれると困ってしまうのですが、ずっとここにおります。城主様。」


「ずっとっていつ??」


「ずっとはずっとです。」


「何だよそれ?!」


「ふふふ。小さな城主様が本当にここの管理を任されればわかる事ですよ?」


「そう…だけどさ……。」


だからって教えてくれてもいいじゃないか。

俺は最後のサラダサンドを咥えてちょっと拗ねた。

そんな俺の頭をフィンは優しく撫でてくれる。


「そんな顔をされないで下さい。ここにいてつまらないと思った日々も、こうして小さな未来の城主様に出会う為だったのだと今は嬉しく思っているのですから。」


「何それ??」


「だから早く、名実ともにここの主となって下さいね、城主様。」


「………なる……と思うけどさ……。」


「何かお悩みのようですね?私でよければ、お話をお聞かせくれませんか?」


フィンにそう言われ、俺は思っていた事を話した。

まとまりがなくて、思いつくまま話したけれど、フィンは辛抱強くそれを聞いてくれた。


「……なるほど。当主になるというのも、このご時世、大変な事なのですね。だからと言って、小さな私の城主様に全ての負荷を背負わせるのもどうかと思ってしまいますが。当主となるべくしてお生まれになったとは言え、城主様にだって子供として親から受けるべき温もりと愛情は、当主の教育と同様、受け取るべきものです。」


「……別に妹が憎い訳じゃないんだ。そして当主になるにはたくさんの事を学ばなければならなくて、その時間がいくらあっても足りない事もわかるよ。でも、何で俺だけってどうしても思うんだよ……。」


「それは当然の事ですよ。貴方は将来、当主として地位と財産を受け取るのでしょうが、その代わりに愛情を渡さなくていいと言う事はないはずです。少なくとも、私はそう思いますよ。」


フィンはそう言って、そっと俺を抱きしめてくれた。

少しだけ涙が出で、スッキリした。


「ありがとう、フィン。フィンが聞いてくれて、俺が不服に思ってる事は間違いじゃないって言ってくれたから、何とか頑張れる気がしてきた。」


「少しでもお力になれたのでしたら良かったです。」


「俺も子供とはいえ、もういい歳だ。父上と母上から今更、愛情を引き出したいとは思わない。だって、多分、あの人たちにはそれはできないよ。家を継ぐ教育は俺に、子育ての楽しみは妹に期待している。彼らは子供どちらにも教育と愛情をかけるなんて器用な事はできないんだ。だから分けて考えてるんだ。それは親の都合で彼らの自己満足でしかないけれど、人は誰しも完璧じゃない。だから仕方がないんだ。」


「城主様……。」


「それに、教育はその機会がなければ学べない。でも愛情は親以外からもいつでも与えてもらう事ができる。確かに寂しくないかとか不満はないのかと言われたらあるけど、それによって性格が歪むことも否定できないけど、それでも、愛情はくれる人はいる。執事のページおじいちゃんや……フィンみたいにね。」


そう言って笑った俺を、フィンは複雑な顔をして俺を見つめていた。


「城主様……もし……貴方が望むなら、ずっとここにいればいい……。ずっとここで……このパーティーの中にいればいい……。」


「……フィン??」


ボソリとフィンが無表情に低く呟いた。

俺はびっくりしてフィンの顔を覗き込んだ。

フィンもうハッとして首を降る。

そしてにっこり笑った。


「いえ、ずっとここにいらっしゃるなら、毎日、こうしてパーティーを開いて過ごしましょう。だって貴方はもう、ここの城主様なのだから。家を継ぐ勉強をしなくても、ここで過ごせばいいですよ。」


でも、フィンの様子はどこかおかしかった。

何だか変な気がして俺は困惑し始める。

フィンは俺を勇気づけてくれていたんじゃなかったのか??


「……フィン??何を言っているんだ??」


急にフィンがさっき会ったばかりの見知らぬ男である事を思い出した。

スっと背筋が寒くなった。

そんな俺に、仮面のフィンがにっこりと笑う。


「そうだ……そうしましょう、城主様……。わざわざ貴方がこれから数年、辛い思いを続けて家督を継ぐのを待って、ここを継ぐ地位を得なくても、ここは貴方の城なのですから……。」


目の前にいるのが、優しく俺を気遣ってくれていたフィンと同じ男なのか自信がなくなってくる。

その歪んだ笑顔が怖くて仕方がない。


「フィン?!待ってくれ!確かに俺はあの家から逃げたいと思ったよ?!地位も財産もいらない。浮浪者になっても構わないから逃げ出したいって!!でもフィンに会って!フィンが話を聞いてくれて!フィンが俺みたいな子供を城主って言ってくれたから!俺はあの家に戻って、たとえ辛くても頑張って名実ともにちゃんとここの主となって、フィンのところに帰ってこようと思えたんだ!!」


俺がそう訴えても、フィンの張り付いたような笑顔は変わらなかった。

まるで全体が仮面のように笑って、フィンが俺に迫ってくる。

優しい声が今は逆に恐ろしい。


「もう、そんな辛い思いをなさらなくてもいいのですよ、城主様。貴方はここにいればいい……。ここで毎日、きらびやかな日々を過ごせばいい……。」


フィンの大きさは変わらないのに、その影が濃くなって覆いかぶさるように俺の前に巨大な壁のように聳えている。

俺は立ち上がり、後退った。


「フィン?!一体どうしたんだよ?!何か変だぞ?!お前?!」


ここにいたら危ない。

本能がそう叫んでいた。

途端、周りのきらびやかなパーティーも、そこに参加している楽しげな人々も、恐ろしいものに見えてくる。

こちらに向けられるすべての顔が、張り付いた仮面のように思えた。


笑う仮面。


何の表情もないのに、目元と口元だけが笑うように弧を描いたような、無機質な仮面。


ゾッとした。


俺は這い上がってきた恐怖に耐えかね、反射的にその場を走って逃げた。

扉を乱暴に押し開け、部屋の外に飛び出す。

どっちに向かえばいいのかわからず、でもここにはいられなくて走り出す。


「城主様っ!!」


フィンの声が聞こえた。

俺は怖くて振り返れなかった。

じゃないと今度は書斎ではなくこの城の中に閉じ込められる気がしたのだ。


走った。

とにかく走った。









「はぁ…はぁ…はぁ……っ!!」


どこをどう走ったのか覚えていない。

そしてここがどこかもわからない。

とにかく出口を探さないと、息を整えながらそう思った。

顔を伝う汗を拭おうと、俺は仮面を外した。



「…………え…っ?!」



その瞬間、見える景色が変わった。

明るくきらびやかな装飾はもうない。


ただ暗い、石造りがむき出しの、寂れた古城の中に俺は立っていた。


「え?!何で?!嘘だろ?!」


それまで見ていたものが本当なのか、今見ているものが本当なのか理解できない。

月明かりに照らされたそこは、ただただ寒々しい、石の古城だった。



「ああ、外してしまわれたのですね……小さな城主様……。」



背後からそんな声が聞こえた。

ハッとして振り返る。

カツン…カツンと石に足音が響く。

暗い廊下の奥から、フィンが歩いてきた。

明り取りの窓の横に来たフィンは、困ったように、寂しそうに笑った。


フィンだけは、会った時のまま変わらなかった。

古風な衣装に派手な仮面の若い男。


いや、本当にそうなのかはわからない。



「絶対に取らないでと約束したではありませんか……。」



フィンは寂しそうにそう言った。

俺はジリリと後退った。


「どういう事だ?!フィン?!」


「お教えしたはずです。私の小さな城主様。その仮面には力があると……。」


俺は手に握る仮面を見た。

不思議な面持ちのその仮面は、月明かりに照らされ、謎めいた輝きを放っている。


「全部……これが見せた、幻なのか……?!」


「そうとも言えますし、違うとも言えます。」


「どういう意味だ?!」


「すべて真実です。あのパーティーは行われていました。そしてその場に貴方は本当にいたんですよ、城主様。」


意味がわからなかった。

理解できなくて、ただただ恐怖心が湧き上がってきた。

カタカタ小さく震え始めた俺を見て、フィンははぁ~と大げさにため息をついた。


「怖がらせるつもりではなかったのですが……申し訳ありません、城主様……。」


「怖がらせるつもりがなかった?!」


「ええ、もっときちんと説明すれば良かったですね……。」


「お前は何者だ?!フィン?!」


「そうですね、まず、そこから説明した方がいいですね。城主様、私は人間ではありません。」


「!!」


「ですが城主様が考えているものともちょっと違います。」


「何が違う?!」


「幽霊ではないって事です。」


「幽霊じゃない?!」


「はい、私は精霊です。その…今、城主様がお持ちの仮面についている精霊です。この城とその主を守る為に仮面についています。」


突拍子もない話に、俺はどう反応していいのかわからなくなった。

精霊?!精霊と幽霊は違うのか?!

よくわからないが、とにかくフィンは人間ではないのだ。


「仮面の事は少しお話しましたよね?魔除けや悪意避けなど、不思議な力が宿っていると。その力が私です。」


「………は??」


「ですから、その仮面に宿っている力が私なのです。魔除けの力も、邪気を払う力も、人の悪意を弾く力も、全部私がそこに宿っていて行っている事です。」


「フィンが……??」


「ええ。ですからその仮面が人を選ぶのも本当です。私だって、守るのも嫌な相手は護りたくないですから。私が護りたいと思える相手でなければ選びません。」


「……………。」


だとしたらどう言うことだろう??

俺はこの仮面をつけたよな??

それってフィンに選ばれたって事なのか??


「正直言うと、もう、誰も選ばないつもりでした。だって人間は強欲だし、身勝手だし、すぐ約束を破るし、僕を利用しようとしか考えないから。だからこの城が朽ちるに任せて、僕も朽ちていこうと思ったんだよね~。なのに……。」


妙に口調がブレながら、フィンは話し続ける。

俺は混乱しながらその話を聞いていた。


「なのに……君が現れるから……。はじめはちょっとした気まぐれだったんだ。退屈だったし、今夜くらい、人と関わっても良いかなって。今夜だけ、君を主としてこの城に招いても良いかなって……。」


フィンは少し寂しそうにそう言った。

彼がどれだけ長いこと誰も選ばずに朽ちるのを待っていたかはわからない。

でもそれは、俺が書斎に閉じ込められているよりも、ずっとずっと長かったはずだ。


「君といるのは楽しかった。君、可愛いし。」


「可愛い?!」


「だって、一生懸命、下に見られないように虚勢を張ってたじゃないか?こんな小さい子なのにえばってて可愛いなぁと思ったから、それに付き合うのも面白いかなぁって。」


「……悪かったな、虚勢を張ってて。」


「ふふふ、だから何か楽しくなっちゃってさ。退屈な長い長時間を過ごしたんだ。だからこの子が成長して、本当にここの主の資格を継ぐのを待ってみようと思ったんだ。君が来ると思えば待ってる間も楽しく待ってられるし、資格を獲れば君が死ぬまでは一緒に過ごせるだろうしね。」


「フィン……。」


「でもさ、それがそんな苦労をした結果なんだと知ったら、そんな事はさせられないって思ったんだ。人間の寿命なんて短いのに、こんなに小さいのに、妹が自由に愛情を受けて過ごすのを見ながら小さな書斎に閉じ込められ続けるのを待つなんて、僕にはできないって思ったんだよ。でもそれでも、あのパーティーにずっといればいいって言うのは、確かに人間の君からしたら恐ろしい提案だったよね、ごめんね。」


どうやらフィンは悪気があってした訳ではないようだった。

ただ俺とは、人間とは感覚が違っているだけだ。

それがわかって、少しだけ気持ちが緩んだ。


「だからって……。だいたい、あのパーティーは何なんだよ?!」


そう、その疑問は残る。

フィンの事はわかった。

だがあれは何だったんだ??

あのきらびやかな城の装飾と人々はフィンが見せた幻でないならば何なんだと言うのか??


「だから、本当の事だよ。ここの本当。」


「本当って何だよ??意味がわからない。」


「君を招くのに、今、君がいるここでは味気ないと思ったんだ。見ての通りの有様だからね。だから一番綺麗だったここに招いたんだよ。」


「??」


「ここであった事はいつでもここで起きている事なんだ。ん~、でも君にはわかりにくいよね?そうだね、君にわかりやすく言うのであれば……君はタイムスリップしていたのさ。かつてのここで行われた仮面パーティーの日に。」


「タイムスリップ?!」


「君にわかりやすく言えばだよ。だからあれは本当の事だよ。時を越えて君はあの場にいた。だから食べたものも普通の食べ物だし、ちゃんと胃に残っているだろう?」


俺は慌てて腹を触った。

確かに食べた感覚は残っている。

幻ならそれはなくなっているはずだ。

訳がわからなくて目を白黒させる俺を見て、フィンは笑った。


「別に変な事じゃない。君は時間が一定方向に動いていてそれは不変であると思っているけれど、君の記憶はどうだい?いつだって昔の事も昨日の事も同時に思い出せるだろう?それと同じさ。ここであった事は、いつでもここで起きている。だから僕は今と前を少し移動させただけだよ。」


「そんな事……。」


「まぁ、確かに人間にはちょっと難しいね。固定概念に縛られる生き物だから。だからそれを君にも可能にする為に、マスクを外すなって言ったんだよ。僕の側にいれば、多少の時間は持つけど、僕の影響下から離れてマスクを外してしまったら、君は無意識下の固定概念に囚われてここに帰ってきてしまうからね。」


何だか物凄く難しい話をされている気がする……。

わかったようなわからないような……。

頭をぐるぐるさせる俺を見て、フィンはくすくすと笑っていた。


「でもま、それでもたまに人間も飛んじゃう事があるんだよね。完全じゃなくて半分だけとかさ。すぐ戻っちゃうけど。それで昔の人の幽霊を見たって話になったりするんだよね~。」


「幽霊?!やっぱり幽霊なのか?!あれは?!」


「ん~違うとも言えるしそうとも言える。君はあの時に行っていたから、あの時はあそこに確かにいた人達だけど、今から見れば、大昔の人々にあったんだから幽霊だよね。」


「ひっひいぃぃぃ~っ!!」


「何をそんなに怖がっているんだい??誰も君に悪意を向けたりしてなかっただろう?まぁ向けられても僕が護ったけど。」


フィンの言うことはよくわからない。

でももうそれは考えても仕方のない事だと思った。

とにかくフィンとの確執は埋まった気がした。


フィンもそれを感じたのか、ゆっくり俺に近づいてくる。

目の前に立つフィンを見上げる。

言われてみれば、何となく人間離れした美しさみたいなものがある。

フィンはしゃがみこんで俺を見上げた。


「ねぇ、僕の小さな未来の城主様。確認だけど、君はまた書斎に閉じ込められて辛い思いをする事になっても、その道を選び、いつか名実ともにこの城の主になってくれるんだよね??」


フィンの仮面の下の目が、不安そうに揺れている。

何故かわからないけど、その時はそう思ったのだ。

俺はしゃがんでいるフィンの頭にぽんっと手を置いた。


「うん。約束する。今度は破らない。」


「そっか……なら、待つよ。君が来るのを。」


「うん。待っててくれ。ちゃんと城主の権利を持って戻ってくるから。」


「わかったよ、僕の小さな未来の城主様。楽しみにしてる。」


その時、空が明るくなった。

夜が開け始めたのだ。

俺は窓の外に目をやった。

青い闇はほのかになり、光の白さが少しずつ強くなる。


「フィン、夜が明けるよ。」


そう言って顔を戻すと、そこにフィンはいなかった。

驚いてキョロキョロするが、どこにもいない。


「フィン……。」


ふと気づくと、手に箱を持っている。

あの、仮面の入っていた箱だ。

古いが美しい彫刻の施されたアンティークの箱。

俺はそれを開いてみた。

中にはあの仮面が眠るように収まっていた。


「何だよ、ここにいたのかよ。びっくりした……。」


俺はそう言って箱を閉じた。

フィンはいなくなったけどちゃんとここにいる。

言葉が変だけど、そういう事なのだ。


何だか外が騒がしい。

窓から外を見ると、父上をはじめとする大人たちが何やら騒いでいる。

何をしているんだろうと思ったが、自分が家出中だったのを思い出した。

あ~あ、折檻されるんだろうなと思ったが、あそこに戻らなければここの権利を手に入れる事はできない。


「……あんなに綺麗なお城だったのに、今は見る影もないなぁ……。」


白み始めた空に照らされ、城の中が見えてくる。

何もない、古びた古城。

ここの主をする者と、この城を護る精霊の仮面。

それが今、この手にある。

俺は意志を固めて、外で騒ぐ大人達の所に行く為に歩き出した。

何故かどうやったら出れるか、その時の俺にはもうわかっていたのだ。















「いやぁ、都会というのは素晴らしいですね!」


「……………………。」


「刺激的だし、何より美人が多い!!」


上機嫌に笑うその男を、俺はとても不満そうに睨んでいた。

何なんだ、何なんだよ、本当に……っ!!


あの不思議な夜の古城の一件から、もう10年ほどたった。


あの後、俺は思ったより怒られなかった。

何故なら、長年行方しれずだった一族の秘宝であり、城の主の証である仮面を手に持っていたからだ。

そしてその身を初代当主の孫に当たる人物の刺繍入りのマントを羽織って俺が帰ってきたものだから、城の主になるべくして、秘宝が俺を招き寄せたのだろうと言う話になったのだ。

どう考えても胡散臭い話だが、俺は何も覚えていないとしらを切って乗り切った。


それからまた書斎に閉じ込められる日々でもあったのだが、俺は真面目に勉強した。

フィンとの約束を果たす為に。

執事のページおじいちゃんはとても心配してくれたので、俺はおじいちゃんにだけ本当の事を話した。

そしたらとても喜んでくれて、前より一層、世話を焼いてくれた。

そんなおじいちゃんも5年前に引退して、古城近くに隠居している。


「……どうしたんです?城主様?変な顔になっていますよ?」


「変な顔にもなるわ!馬鹿フィン!!何でお前!出てきてんだよ!!」


「え??それは何度もお話しましたよね??」


「待つのに飽きたとか!!あり得るか!!こんちくしょうっ!!」


そう、フィンだ。

あの時と寸分変わらない、仮面をつけた古風な服装の若い男。

その実はどうやら精霊らしいのだが……。


「何で!!どうして!!古城でもないここに!のこのこ出てきやがったんだよっ!!お前はぁっ!!」


そう、フィンは約束の時を古城で迎える前に「待つのに飽きた」と言って出てきてしまったのだ。

しかも思い出の古城でも何でもない、都会の俺のアパートメントにだ。


「だから何度もお話したじゃないですか??私は古城についている精霊ではありません。その仮面についているんですって。」


「わかるけど……わかるけども…っ!!」


精霊との約束の為に頑張ってきた俺の心意気はどこに行けばいい?!

このスカポンタンっ!!


ちなみに一族の秘宝のこの仮面は、何度も取り上げられて、金庫やらなんやらにしまわれるのだが、気づくと俺の机の上に戻ってくる。

何度やってもそうなるので、主を選ぶような代物だからと、流石に皆、諦めたようだ。

でもこの、大学に通う為に借りたアパートメントの机の上にまで現れるとは思わなかった。

そして、この古城とも何の関係もない都会の土地で、この馬鹿精霊が約束を無視して出てきやがるとは思わなかった。


「あ~!!ムカつく~!!」


「そんなに怒らないで下さいよ、城主様。都会が思いの外、面白かったものですからね~。それでもちゃんと数年は我慢してたじゃないですか??」


「だったら!最後まで我慢しろよっ!!」


「え~、200年以上主を作らず、古城とともに朽ちるのを待っていた私に、そのような事を仰るのですか?!城主様?!何もない田舎の古城しか知らぬ私に、少しくらい都会を楽しませて下さってもよろしいではありませんか?!」


「くそうっ!!だがムカつくっ!!」


「それに女性達が私を放っておかないのですよ~♡」


「…………何だって??」


「ですから都会のレディー達が~。」


「いや待て!お前?!ナンパでもしてんのかよ?!」


「ナンパはしておりませんが、街を見て回っていますとですね~。」


「外に出るのは勝手だが!姿は見せないって約束をしたよな?!もう破ったのか?!」


「破っておりません。城主様。」


「なら……どういう事だ??」


「こういう事でございます。」


フィンは両手をスっと差し出す。

するとそこに誰かの手が重なり、スゥーと半透明な女性が恥ずかしそうに現れた。

しかも両手になので二人の女性?が出てきたのだ。

二人とも恥ずかしそうにしながら、フィンにいちゃついている。

俺は真っ青になって叫んだ。


「ぎゃああぁぁぁっ!!幽霊?!幽霊なのか?!それはっ?!」


「そうですね~。城主様の言い方をしますと幽霊さんになりますね~。」


「どこ?!どこで拾ってきた?!」


「何処と言われましても色々です。道で血まみれで立っておられたので、治して差し上げたり、川で浮かんで………。」


「うわぁぁぁっ!!もういい!!聞きたくないっ!!」


俺は耳を塞いで机の影に隠れた。

まぁ隠れたところで、どうにもならないのだが。


「……おい、フィン。」


「何でしょう?城主様?」


「それは……その二人だけか……??」


俺が涙目になって睨むと、フィンはあからさまにあさっての方に視線を反らせた。


「ええと~どうでしょうか~??」


…………………。

マジか…、俺のアパートメント、幽霊屋敷かよ?!

どおりでたまに何が後ろを通った気がする事が多いと思ったよ!!

てっきりフィンだと思っていたから放っといたけど、そう言う事なら冗談じゃない!


「…………け…っ。」


「城主様??」


「出ていけっフィンっ!!そいつら連れて出ていけ!馬鹿野郎っ!!」


「えええええぇぇ~っ!!」


「居候の癖に!!俺んちに女を連れ込むな!!幽霊なんてもっと駄目だっ!!全員連れて!さっさと出ていけ!!」


「えええええぇぇっ?!待ってくださいよ!城主様~っ!!」


「出ていけ~っ!!」


思い出の古城を遠く離れた都会のアパートメントの一角に、俺の怒声が響き渡る。

その後、女の子とは外でデートするだけにするから追い出さないでくれと、俺の足に泣いてすがって謝るフィンと、俺は1週間、口をきかなかった。

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