無自覚
申し訳ありませんが更新は不定期です。すぐに更新したかと思えば次の更新は1ヶ月後とかになることもあると思います。1ヶ月で4〜5を目標に頑張ります!
この出会いは必然だった……みたいなかっこいいことを言えれば僕も少しはラブコメの主人公っぽくなれるのだろうか、なんて電波なことを考えていると。
彼女が至近距離で僕の顔を覗き込んでいた。
「何か用ですか?」
取り敢えず質問してみた。「へぇ〜私にこの距離で見つめられて全く動じないなんて…流石に私なだけあるわね。」
この人は自分のルックスにかなりの自身をお持ちの様で。そういえば鷹島のやつが校内No.1の美女だとかなんとか言ってたな。
「僕が僕自身に見惚れるとでも?全くどんなナルシストですか?」
「それもそうね。」
彼女はつまらなそうに笑った。
「取り敢えずあなたの名前から教えてくれない?」
「告君麗梨。2年3組だ。君の名前は?」
僕は念のため月見さんの名前を知ってることは伏せておいた。
「私は月見夜宵。2年5組よ。末長くよろしく私自身。」
取り敢えず二人で握手を交わす。
「しかしホントに不思議な気分ですね。あなたとは他人とは思えない。」
「私もよ。あなたを初めて見かけたのはほんの3日前だけど、その時から私はあなたとは親友になれるのではないかと思ったもの。」「親友?これ以上いらないぐらい親友多そうですけどね月見さん?」
「それ冗談でしょう?私と本質が同じあなたになら友達はいるけど親友はいないって感覚分かるんじゃないの?」
これは割と以外だった。僕ごときにすら親友と誇れる人が二人はいるのに。やはり考え方が同じでも、環境も同じであるとは限らないということか。
「その感覚は分かりますけど、僕には親友がいますからね。どうやらあなたとは違うらしい。」
そう言うと彼女はクスリと笑った。
「いえ、あなたと私は同じものよ。まぁ今のは親友という定義を曖昧にしたのが悪かったわね…。ではこうしましょう。あなたには、自分の全てをさらけだせる、そんな親友はいるのかしら?」
「………。」
僕は答えられなかった。僕には応えられなかった。そもそも自分の全てとか言われても、僕にはもともと何もない。さらけだすものなど持ち合わせていないのだ。
「やはりあなたにはいないのね。自分の全てをさらけだせる相手が。私と同じ、自分が無いあなたには。」そう、彼女の言い方こそまさしくだった。僕には自分が無い。自分が無いことをさらけだす覚悟もない。吐き気がするような弱さだ。「ねぇ明日からここで一緒にお弁当食べない?あなたとはやはり気が合うみたいだし。」
僕は考える。月見さんと話しをするのは中々面白そうだけどな…。今日は鷹島と石崎さんとお弁当食べてあげられなかったし、うん、断ることにしよう。
「悪いけど、僕には先約があるんだ。明日も無理だし、たぶんここに来ることは滅多になさそうだし断らせてもらうよ。」
そう言うと彼女は少し残念そうな顔をした。
「あらそう…それは残念ね。でも私はだいたいお弁当はここで食べるから気が向いたらいつでも来てね?私はまだまだあなたとお喋りしたいのだから。」
「分かりました。それでは僕はこれで。」
「ええ。また今度。」
僕は屋上を出ていった。彼女とは近いうちに必ず、また出会うであろうことを確信して。
さて、午後の授業も終わり、下校しようかと思ったとき、石崎さんが話し掛けてきた。
「麗梨君、私今日空手部が休みですの。一緒に帰りませんか?」
これは珍しい誘いだった。石崎さんとは何度も帰っているけど、それは鷹島に3人で帰ろうぜと言われたときだけだったからだ。大抵は彼女は自分の女友達と帰っていたし、そもそも3人で帰るときは石崎さんと鷹島の部活が休みの時だけで、そんな事1年に一度あるかないか位なのだ。まぁ登校の時は朝練のない石崎さんとよく一緒になるけど。「今日はお昼も断っちゃったしね。いいよ、一緒に帰ろう。」
「本当ですか!?」
いきなり石崎さんが叫んだ。何だろう急に。僕が不思議に思っていると
「あ!申し訳ありません私つい粗相を…。」
「いや、あまり気にしてないよ。じゃあ帰ろうか。」「はいっ!」
僕と石崎さんは玄関へ向かって教室を後にした。
玄関を出て校門へ向かって校庭を歩いていると。
「危ないどいてどいて〜!」
女の子がこっちに向かって突撃してきた。僕は石崎さんの手をとって横へと避ける。
「うわ〜〜〜〜!」
女の子は僕らの後ろにあった樹齢80年と言われる大木ち激突した。
「さぁ、帰ろうか石崎さん。」
「だからさんはいらないと何度いえば…。」
「ちょっと待て〜!」
後ろから声がしたので振り返ってみるとそこには……鷹島がいた。
「なんだよ媛姫に麗梨〜。二人だけで帰るとか中々冷たいんじゃねぇの〜?」
「君には部活があるだろう。」
「そうだったなはっはっはっ。そいじゃな媛姫に麗梨!」
そう言って鷹島は走り去っていった。どうでもいいけど去りぎわに鷹島が石崎さんに「頑張れよ!」といった視線を向けていたが何だったのだろう。中間テストの事だろうか。
まぁそんなどうでもいいことは無視して今度こそ帰ることにして石崎さんと校門を出ようとすると
「待ちなさい!」
今度は女の子の声が聞こえた。振り返ってみるとぼろぼろな姿の突撃少女の姿があった。樹齢80年と言われる大木には傷一つついていなかった。中々頑丈なようだ。さて、この突撃少女、見た目から話すとまさにスポーツ少女という感じで、まず髪の毛はピンクのショートカット。肌は白いが何故かとても健康的な印象を受けた。顔は小さいが目はパッチリとしている。この少女も鷹島に言わせれば美少女なのだろうか。
「あなた!私を受けとめてくれてもいいんじゃない?」
勝手な言い草だった。そもそもどけと言ったのは彼女の方ではないか。
「あの〜その程度の用なら帰ってもいいですか?」
学年が分からなかったので、取り敢えず下手に出てみる。
「まだ話は終わってない!」
ダメだったようだ。はぁ…仕方ない、いつもの理詰め作戦でいこう。
「どう考えてもこちらに非はありませんが、分かりました。百歩譲ってこちらにも非があったとしましょう。しかし、それでも突撃してきたのはあなただし、この件について改善できる事があるとすれば、むやみやたらに人に突撃しないというところだけではないでしょうか。なので僕たちのことを怒っても意味はないと思うんだけど……。」
そう言うと少女ははっとしていきなり
「すいませんでした!!」と叫んで土下座された。
「いや、分かってもらえればいいんだけどさ、何も土下座までしなくても…。」「いや、今回は私が悪かったです全面的に!なので後ろの方どうか許してくださいお願いします!」
後ろの方……?と思って振り返ってみるとそこには。「………。」
不気味な笑みをたたえている石崎媛姫その人の姿があった。今の彼女には八百万の神々も笑顔で服従するだろう。今は神無月だが出雲大社にいる神々も今の彼女が呼べば彼女のもとへとんで来るに違いない。
「それではさようなら〜〜〜〜〜!」
といって少女は去っていった。
「それでは帰りましょうか麗梨君♪」
やはり彼女には逆らわない方がいいみたいだ。そのことをかたく胸に誓って校門を出た。
「ところで麗梨君。」
学校を出てしばらくたった頃、それまでの学校での話題とか、勉強の話とかが一区切りついたところで石崎さんが聞いてきた。
「何?石崎さん。」
「お昼はどこへ行っていたのですか?」
ふむ…。別に彼女と会っただけでやましいことはしてないし(ピッキングはしたけどね)、友達に隠すようなことでもない。知る必要はない、みたいなことを言えるキャラでもなかったので、石崎さんには話すことにした。
「屋上へ行って食べようとしたら奇遇にも月見さんも屋上にいたんだ。だから二人で話してた。それだけだよ。」
バーン!!!!
石崎さんは急に両手で上品に持っていた学生カバンを急に地面に叩きつけた。
「ど、どうしたの石崎さん?」
「私達の誘いを断ってまで月見さんに会いに行きたかったと。そういう事ですか麗梨君?」
こ、怖い…。富士急ハイランドのお化け屋敷なんて目じゃないくらい怖いよ!
「いや、別に会いに行ったとかじゃなくて、偶然いたというか、居合わせたというか…。と、とにかく石崎さんの誘いを断ったのは悪かったって!明日言うこと何でも聞くから許して!その振り上げた学生カバンをおろしてくださいお願いします!」
もう謝りまくりの僕。ヘタレキャラ定着の瞬間だった。
「何でも聞く……?それなら麗梨君。明日は中庭で二人っきりでお弁当食べましょう。それから明日も二人だけで帰りましょう。それで許してさしあげます。」「分かりました…むしろ一緒に居させてください……。」
なんて冗談めかして言うと、石崎さんは急に顔を真っ赤にして下を向いた。また怒らせた?
「あの〜石崎さん?」
そう言って顔を覗き込むと、パ〜〜〜〜〜ッ♪と明るい顔をした石崎さんがいた。取り敢えず機嫌は治ったみたいだ。よかったよかった。
家に帰ってみると、鍵が空いていた。妹は先に帰っていたらしい。「ただいま静香〜〜!」
「お帰り…なさい…麗梨…君…」
またしても消え入りそうな声。ちなみにだが妹は絶対に僕のことをお兄ちゃんとかお兄さんとか呼ばず、麗梨君と呼ぶ。その理由を前に聞いてみたら、顔を赤くしてうつむかれてしまった。妹は両親のことでいろいろあったので深入りはしないでおいた。
「お風呂…沸いた…から……先に入ってて…。」
「ああ…ホントにいつも迷惑かけてごめんな。」
今日石崎さんに言うこと何でも聞く約束をしたけど妹にこそそうするべきかもしれない。よし!
「なぁ静香。今度の日曜日二人でどこかに出かけないか?」
そう言った瞬間、パリーンと皿の割れる音が聞こえた。
「え…?麗梨君いまなんて!?」
なんと珍しくはっきりと妹の声が聞こえてきた。
「いや…どこかに出かけないか今度の日曜日?」
「行きます!なにがなんでも行きます!絶対行きます!即座に行きます!」
なんとも急な妹の豹変。こんなの生まれて初めてだ。「じゃあまぁ行き先はまた決めるとして、僕はお風呂に入ってくるから。」
「はい…分かり…ました…。」
もういつも通りだった。
脱衣室へ移動し、シャワーを浴びて、風呂に浸かる。体が温まっていき、脳がマヒしていく。そしてふと思う。僕はいつまで保つだろうか。みんなの予想に反した空っぽで、何もない僕にいつ気付くだろうか。その時に僕は耐えられるだろうか。自分の正体がばれた時の痛みに。自分の本性一つ隠しきれない腑甲斐なさに。「吐き気すんだよ…」
何を考えているのだろうか。そもそもばれていようがなかろうが自分が無いという時点で十分僕は痛くて腑甲斐ないくだらない存在なんだ。本当に救いようの無い、どうしようもない僕は、とりとめのない、何の意味もない思考に耽った。
読んでみて分かると思いますがこの作品あまりにも謎なところが多いっ。そもそも高校の名前もでてないし、主人公のフルネームも二話目にしてようやく発覚だし!
とまぁこんな感じの拙い作品ですが一応構成は考えてあります。二部構成で、第一部は主人公の心を中心に、ヒロイン達との触れ合いを描いていきシリアス展開多めです。第二部ではヒロイン視点の話を作りつつコメディ重視に少しシリアスを混ぜていく様にします。駄文で稚拙な上にだらだら長いのかよ!と言われたらその通りとしか言えないダメな作者ですができれば最後まで読んでやってくださいお願いします。