表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇夜が訪ねてくる(1作目・完結)  作者: マックス一郎
後処理編
32/35

戦いの後

戦いが終わって、それぞれの動きと思惑。

日本国、東京都千代田区

帝国ホテル内・本館・某大広間

2025年3月某日 午後14時00分頃


ジェフリー・ダーマー博士、ワトソン重工の日本支社長は汗を滝のようにかいていた。

10時頃に行った記者会見では海上爆発したコンテナ船について説明した後すぐ、12時頃、今度は支社ビルで爆発騒ぎがあった。多数の社員が死亡したことは明るみで出たので同じ日に2度目の会見をするはめとなった。


ダーマー博士は65歳にして、外見は40代後半にしか見えず、白髪交じりの金髪はダンディな雰囲気を演出していた。


彼は1976年、合衆国北部に位置するミシガム州のクリントン郡にあるバス町のリビア高校に入学した直後、ワトソン重工の先代会長が講義に訪れた際、知能指数の高さを見出され、ワトソン重工の奨学金を得て、飛び級制度でマサチューセッツ工科大学の経済学部へ入学し、いくつかの博士号取得した。

それからワトソン重工へ入社し、出世街道まっしぐらで合衆国支社の幹部を経験した後、2008年に日本支社長へ就任した。


先代会長と現会長の寵愛と庇護を受けて、彼の特殊な性癖と衝動も今まで外に漏れたことはなかった。合衆国で60人以上の男性を葬り、日本支社長になってからは40数人を葬っていた。

表向き合衆国支社幹部時代で結婚した日本人妻と子ども3人に恵まれ、絵に描いたよう家庭だった。


「社長、原稿を用意しましたので目を通してください。後5分で会見が始まります。」


と日本人幹部の宮崎が業務口調で伝えた。


「わかった。」


とダーマーは疲れた声で答えた。


この日本人幹部はダーマー博士同様、先代会長が見出した人材だった。彼は手首を回せず手のひらを上に向けられない、珍しい障害を患っていた。ダーマーとの関係は比較的良好だったが、お互いの秘密を知っており、ダーマーは彼の趣味を嫌っていた。


記者会見の時間となり、ダーマー博士とその他の幹部たちが深く頭を下げ、謝罪した後、支社長として、流暢で上品な日本語で説明し始めた。


新たな事実として夜明けのコンテナ船爆発と日本支社ビル爆発は同じ環境テロリスト組織の仕業とされ、犯行声明も用意された。この環境テロリスト組織は実際ダミーであり、ワトソン重工が不正を隠蔽するためによく使うものだった。

亡くなった社員と乗組員の遺族への補償、当面支社ビルの一般人立ち入り禁止、警察との協力、日本政府の緻密な連絡などの対策が発表された。

記者会見は1時間にわたって行われ、ライブ中継もされた。

会場にいた新一はゆっくりワトソン重工の日本支社役員一同の顔を見ていた。


「貴様らの仮面を剥がして、必ず捕まえる。」


と静かにつぶやいた。



遡って

日本国、東京都千代田区

警視庁

2025年3月某日 午後13時10分頃


信長は愕然とした。

自分たちは敵陣営を攻撃している間に、敵の少数精鋭が警視庁に侵入し、

長寿者エルダーに感づかれることなく、人間ウォーム10名、新人者ニューボーン6名を簡単に始末していた。

信長が罰した裏切り者の元分析官が救出された上、その分析官は人間ウォームの身でありながら、喰種グール2体を滅ぼしていた。

敵は一枚上手だったと認めざる得ないと信長は思った。


「お館様、申し訳ございません。我々がいながら、こんな失態を。」


と2人の門番、森兄弟は謝罪していた。


「気にしなくてよい、敵の策にはまった私の責任だ。」


と信長は2人をなだめていた。


「お館様、私からも申し訳ございません。」


と森成利が謝罪をした。


「問題ないのだ。それより成利よ、田森一派は粛清されたとしても、他の協力者がいると思うので必ず捕まるようにね。今回の敵は恐ろしい、知略を得意としている。ワトソン重工を近い将来に日本から追い出さないといけない。」


「仰せの通り、信長様、全力で取り組みます。」


と森は答えた。


「新一よ、ワトソン重工の会見を偵察し、情報を探せ。」


と信長。


「承知いたしました。我がマスター。」


と新一は答えた。


信長は地下治療室へ行き、弥生を見舞った。


「我が姪、調子はどうだ?」


「おかげさまで回復した。」


と弥生は答えた。


「休むが良い、今回は敵に裏をかかれたが、次回はそうはいかない。」


と信長。


「はい、伯父上どの、次は必ず報いを受けさせる。」


その時、ゼンフィラが治療室に入って来た。


「信長様、この作戦を考えたのは小島という男です。」


と報告した。


「やはりか。」


と信長がうなずいた。


「上官としてとっても有能で必ずバックアップ計画をいくつも用意している。」


「なるほどね。情報感謝するぞ、ゼンフィラ。」


「先まで敵だった私を受け入れてくださり、私の方こそ感謝しても、しきれない。」


「ゼンフィラ、君は我が陣営の者だ。」


と信長が優しく微笑んだ。


弥生を休ませるため、信長とゼンフィラは治療室を後にした。


いくら地下であるとはいえ、昼間に活動するのはゼンフィラや森たちを疲労させていた。

信長はテレパスで全員に伝えた。


「皆、大儀であった、ゆっくり休んで力を蓄えろ、戦いはこれからだ。」


信長の系統、全員が眠りに入った。

ゼンフィラは仮眠室へ向かおうとしたところ、信長に呼び止められた。


「美しい戦士、ゼンフィラ、我のところへ来ないか?」


「はい。喜んで行きます。」


彼女は嬉しそうな笑みをこぼし、赤面しながら答えた。


2人は信長のいた冬眠の間へ入った。


仮眠用の一室でヘルムートはミナに腕枕しながら、天井を見ていた。


「ね、何を考えている?」


とミナが聞いてきた。


「これからのことさ、戦いは厳しくなっていくだろうな。」


とヘルムート。


「ワトソン重工の陰謀であることはまず間違いないし、ね。」


とミナ。


「ああ。その通り、ミナ。」


「今考えることを止めて、もう一度私を見てよ。」


とミナが恥ずかしそうに伝えた。


「そうするよ。」


と答えながらヘルムートがミナにキスした。


別の仮眠室でマモールデは妻に電話していた。


「おそらく、明後日戻るよ。愛しているよ。」


と妻に優しく伝えて、電話を切った。

それから彼は眠りについた。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ