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闇夜が訪ねてくる(1作目・完結)  作者: マックス一郎
感染編
18/35

元大統領が見た夢

血の治療タンクの中で元大統領が見た夢。

日本国、東京都港区 汐留駅近辺

ワトソン重工の日本支社ビル特別地下シェルター

2025年3月某日 朝8時頃


以前大統領と呼ばれていた中年男性は専用の血入り治療タンクに入って、眠っていた。

12年前の大晦日の夜、自分の転生直後、あの忌々しい闇の評議会の戦闘員と戦った以来、定期的に体を癒すため、機能回復をするため、入らなければならない体になっていた。

転生した後、ほとんどワトソン重工のジャブロー研究所の中に過ごした。彼らは自分を救世主と呼び、よく尽くしていたし、良質な食事いけにえを用意し、戦いで負った深手の傷も治してくれていた。


ワトソン重工の研究所の者たち全員、自分の配下となったが、崇められていると深く感じながら、どこか彼ら、自分に対して忠誠心を持ってないと薄々感じていた。

元大統領、今はマスターと呼ばれている男は久々に夢を見た。

高い山々に囲まれた国にいる自分、闇夜で吹雪の中の細い山道を歩いていて、山の中央にあった洞窟の入り口に着いた。


「超越した存在になった者よ、入れ。」


頭の中に声が響いた。


「何者だ?我は世界の王者になる運命を持つ者だ。貴様、名乗れ。」


大統領が怒鳴った。


「名などない。世界の王者とやら、入れ。」


と更に頭の中に声が強く響いた。


「貴様、名乗れ。これは我の夢だ、我は貴様のマスターとなる者だ。」


と強く反発した。


「入れ。」


頭が割れるほどの強い痛みを与えながら、声が響いた。


中年男性は食物連鎖の頂点の存在になって以来、全身が恐怖に覆われるのを感じた。

言われるがままに、洞窟に入った。

洞窟の中は更に暗くて、不気味だった。奥に小さな光が見えた。


「光のところまでに来い、世界の王者とやら。」


声が聞こえた。


中年男性は夢を見ているのは分かっていた。それでもあんまりにも強い恐怖を感じていたため、

何度も夢から覚めようと思ったが、無駄に終わった。

光のところまで進むと、洞窟が大きくなっていて、前に光っているオイルランプの後ろに人の形をした怒り、悲痛と苦痛のオーラを放つ影が座っていた。


「座れよ、世界の王者とやら。」


元大統領の中年男性はランプの前に座った。


「おまえは道化だ。」


声が頭の中に強く響いた。


「おまえは道具に過ぎない。役目が終わったら、捨てられる、世界の王者とやら。」


と更に響いた。


「何故それがわかるのか。何故そんなことを言う。」


中年男性は問いかけた。


「黙れよ、世界の王者とやら。おまえは何もわかってない。」


声が頭の中に爆発した。


中年男性は頭を抱えて、悲鳴を上げた。


「世界の王者とやら、本当にそうなりたいのならば、余を自由にしろ。」


声が命令はした。


「止めろ、止めてくれ。」


頭を抱えながら元大統領は嘆願した。


「余を自由にしろ!」


痛みを与えながら中年男性の頭の中に声が響いた。


「お願いです。もう止めてください。」


再度中年男性は嘆願した。


「するか、しないか、答えろ、世界の王者とやら。」


声が強く響いた。


「何でもします、何でもする、あなた様のため。」


中年男性は落ちた。


「夢から目覚めたら、余との約束をちゃんと果たせ。余はおまえを世界の王者にすると約束しょう。」


声が響いた。


「はい。約束は果たします。」


恐怖を感じながら、中年男性は答えた。


「日本のマスターを滅ぼせたら、タウレッド王国に来い、世界の王者とやら。余はそこに囚われている。」


声の主が命令した。


「あなた様をどう探せばいいのでしょうか。」


男は聞いた。


「タウレッド王国の首都、トレード市に来いよ、余はそこにいる、世界の王者とやら。」


声が指示した。


「あなた様をどう呼べばいいでしょうか。」


男は質問した。


「余は不可触民パリヤ、忌み嫌われる者の王者なり。」


声は強く響いた。


そこで元大統領が夢から覚めた。血入りタンクから頭を出して、全身の皮膚は鳥肌になっていた。

暗い部屋にある時計を見た、午前11時を過ぎたところだった。

男は自分より大きく、恐怖と苦痛を与える存在に対して、初めて、転生前と転生後の人生でも、心の底から恐怖を感じた。


夢の中の存在はタウレッド王国の首都、トレード市に来るように命令をした。

中年男性はどこに行かなければならないことはすぐにわかった。スペイン王国、アンドラ公国とフランス共和国の間にある面積の小さい世界有数の先進国と発展を遂げた1000年の歴史を持つ国家、タウレッド王国の首都、トレード市にある、ワトソン重工の本社ビル。

その時、ビル全体にアラーム音が鳴り出した。


時は同じく

最上階の役員専用室にて小島はワトソン重工の科学者たちが作った特殊日焼け止め、専用アサルトスーツと武器を身にまとい、アラームが鳴り出したことをびっくりもせず、待っていかのように、エレベーターでビルの入り口まで向かった。


1時間前に警視庁の密告者である植田分析官より電話が来た。小島は既に起きていて、準備をしていた。電話の内容は日本のマスター、織田信長が目覚めたことと特殊部隊を引いて、真っ昼間にワトソン重工の日本支社ビルに攻めて来たという内容だった。


「田原君、怖い、怖い日本の赤鬼が我が家のドアを叩いているよ。歓迎の用意は出来ているかな。」


無線で副官に連絡した。


「用意済みです、隊長。」


応答があった。


「貴重な存在になる田森先生のデビュー戦だな。」


無線を切った後、笑いながらつぶやいた。














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