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エクストラ外道(大賢者)に夢を絶たれた魔王は営業力を買われて助手になる

作者: 石依 俑

 魔族領域の城の最奥、「射干玉」と呼ばれる空間。そこに我は座している。

 闇の世界の覇王である、魔王と呼ばれる存在が我だ。


「見ろ! 本当にいたぞ! 僕は間違ってなかった、ほらほら魔王だぞ、見ているか⁈  魔王は実在しグエッホブボフォンカヌゥ!」


 元は絢爛だったのであろう、襤褸ぼろのローブを身にまとい、左手の杖に縋り、右手に魔導書を持った黒髪の男は、連れの方を向いて盛大にせながら興奮気味にそう叫んでいた。


「うっせえな見えてますよ。そりゃ魔王ぐらいいるでしょうよ。あと声デカイっす。普段はボソボソ喋るのに、そんなデカい声出せたんですね、そりゃせるってもんです。そのまま大声出し続けて声帯つぶしちゃいましょう。はい!魔導師のーちょっといいとこ見てみたい! それ、つっぶっせ! 喉、つっぶっせ!」


 大きな荷物を背負い、鳶色の死んだ目をした銀の髪のエルフの少女が手拍子をしながら黒髪を煽る。

 おかしい。我は思う。ここに来るまでに魔王親衛隊をはじめとした、魔人師団、魔獣師団、獣人師団、不死師団、それにそれこそ無数の、人族ではとても超えられない罠が、この射干玉を守っているはずなのだ。

 なぜこやつらはここに来れたのか。それになぜこのように興奮状態なのか。いろいろおかしい。


「貴様ら『ちょっと待った』」


 我が声を遮るとは不敬である、と少し眉を顰める。この者どもは立場というものを理解して然るべきだ、とも。

【王の威圧】

【不可侵の絶域】

永久とこしえの殺界】

 を同時に展開する。

 どれも単独で相手を死に至らしめる精神干渉であり、魔の神に賜った我が固有のスキルである。

 これでこの虫どもも少しは立場を理解するであろう。死ななければ、の話だが、な。

 魔王は歪んだ笑みを頬に浮かべる。


「見たか? これだよこれ魔王が実際に存在してたらきっと固有スキルがあると思ってたんだ上位不死者や呪獣人にも固有スキルがあったからな思ったとおりだ予想してた仮説がハマると気持ちいブオッホゲブノォ!」

「あなたが実際に存在してるのが私の不幸ですよ、非実在存在になってみませんか? あと、長文を早口の一息で言うのキモいです」


 人族魔道士は肉体にも精神にも干渉された風もなく、今も元気にせている。死んだ目をしたエルフ少女も特に威圧されたようには見えない。

 なんで?

 

「ゴホ、さて魔王、聞きたいことがあるッホ!」


 聞きたいことだと?

 そんなものは分かりきっている。なぜ人族の領域を侵すか、という問いであろう。

 なぜ人族は人族同士で争うのにも関わらず、他種族が争いを仕掛けると思い至らぬのか。

 人族が人族の理をもって森を拓くように、魔族は魔族の理で人族の土地を拓いているだけなのだ。

 生存様式を違えれば、それぞれの正義の、いや、生存本能同士が闘うことになるのは明白ではないか。

 実に唾棄すべき愚問である。


「ゴホゲベ、スーハー、スーハー、よし、落ち着いた! 落ち着いた? さて魔王よ、正確な年齢と、できれば何月何日生まれかを教えてもらいたい」


 おかしい。こいつおかしい。戦争相手の首魁に一体何を聞いておるのか。


「あ、それと貴様の種族と、あれば性別、名前も聞きたい」


 こいつはなんなのか。目ぇキラッキラさせながら、誰に何を聞いているのか。


「おかしいでしょ? この人、魔族学を始めるっつってから、ずっとこんなんなんですよ」


 エルフの少女が言う。え? 魔族、学?


「左様ブフ! ゴブェッホ! ごめんまだ落ち着いてなかっボ! ゴホン、左様!」


 バサリと襤褸のローブを翻し、杖を天に掲げ、魔導書を溢れ出んばかりの魔力によって宙に展開させながら、魔道士はかく語りき。


「僕こそが大魔導師にして魔族学創始者その人であるべブヌフボッホ!」


 ……あ、はい。


「これ一応、勇者パーティーの大賢者だったんですけどね。おかしくなってからは、この通りですよ」

「ボホべへ、師匠に向かって、これ呼ばわりはなかろう」


 おかしくなって、のくだりはいいのか。


「禄に師匠らしいこともせずに、荷物だけ持たせるようなクソ野郎には、これ扱いで十分ですよ。勇者連中を研究の邪魔だからって、冥界に幽閉した外道がなに言ってんすか」


 今なんて?


「だってあいつら、使命が使命がーってうるさかったじゃん? あんなんただの雑音だよ、雑おベボッフ!」


 仲間の勇者を幽閉? しかも冥界へ殺さずに? そんなことが人族に可能なのか。可能だとして、その行いは非難されるべきではないか。

 少なくとも我らは、同族にそのような非道な行いなどせぬ。

 だが、こやつを前にすると、先代魔王を降した時より、魔王継承の儀式で魔の神に向き合った時より、感じたことのない悪寒が背筋を走る。

 いや、そもそもなぜ我の、魔王のスキルを受けてなお漫才してやがるのか。


 これは焦り? この魔王がか?

 ふむ、良かろう。この礼儀を知らぬ輩には断罪をもって遇さねばならぬ。


あまねく閉ざす死のとばり

 我がスキルのなかでも最上位、生きとし生けるもの、死の中で生けるもの、生ける死物、そして神すらも。

 全てを包む、甘やかな帳がやつばらを死に閉ざす。


「うわ、すげえ! 見たこともないスキルだヤッホイ! なあ魔王、まだ見せてないものがあったら是非見せてくブオッホゴブヌファ!」


 閉ざさなかった。

 マジヤベえ。せながら目のキラッキラがさらに輝いてやがる。なんで生きてるのこいつら。


「ゲホブフ! いや、そうではなかった、落ち着け僕。スーハースーハー。よし落ち着いた。今度は落ち着いた? うん落ち着いた。さて、魔王よ、まずは」


 魔道士の興奮が収まる。目ぇキラッキラのままだけど。いや、なんで平気なの。神でも死ぬんだぞ。

 魔王の最上位スキル受けて、生きてられるのおかしくない?


「生年月日、種族、性別、名をここに書け」


 もうやだこいつ。


「人、そしてエルフよ、訊いておくべきことがある。答えよ」

「バッチ来い! ヘイヘーイ! ピッチャーびびってるー!」


 テンションおかしくない?


「なぜ貴様らは我が死のスキルに抗えておるのか」


 我が絶対の死のスキルだ。身代わりのアイテムでも備えているのだろうが、それにしてはあまりにも態度に余裕がありすぎる。

 なにか、我にわからぬ仕掛けでもあるのだとしたら、後に続く者達のためにもつまびらかにしておかねばならぬ。


「え、いや、これ上位精霊か、いいとこ下級神ぐらいを殺せるスキルだろ? そんな程度で抗うとか言われましても…」


 半笑いでそんな程度扱いされた。

 あれ?我、神殺しのスキルだ、って先代魔王から受け継いだよ?代々魔王の切り札だから、ここぞという時に切れ、って言われたよ?


「ちなみにこの弟子はこう見えてハイエルフの始祖直系でな。魔法でもスキルでも、この世から存在をなかったことにするぐらいには、強力じゃないと効かないぞ」

「はっ、今代の魔王はこの程度なんですね。これなら魔王だった爺ちゃんの原子崩壊デコピンの方がよっぽど効きますよ」


 エルフが煽ってくる。ちょっと泣きそう。

 大丈夫、魔王泣かない。だって魔王だから。

 それにしても原子崩壊デコピンってなんだろう。


「なに、お前、ひょっとして歴代魔王の身内なの?なんで言わないの、それなら話聞きに行ったのに。わざわざこんな所まで来る必要なかったじゃん」


 こんな所呼ばわりやめて。


「どうせ質問攻めにするんでしょうが。五代前の魔王の爺ちゃんは今は引退して、オーガニックな野菜料理の美味しい、ホテル兼レストランのオーナーです。セカンドライフの邪魔は、たとえあんたと言えど許しませんよ」

「え、ひょっとして『エルフの灯台』のこと? あそこ、お前の実家だったんだ」


 おーい、我の受け継いだスキルのこと、もうちょっと話題にして?  レストランの話はそれぐらいにしよう?


「オーガニックかあ、栽培促進魔法を使わないやつだよな。成長は遅いが味は濃くなるんだったか。あそこ、高級なのに予約取れないぐらいの人気店だよな。そうか、セカンドライフの先輩か、なら邪魔はできないなあ」


 レストランの話はいいっつってんだろ。


「客としてなら行っていい?」

「あんたは出禁になってます。私がしました」

「まだ1回も行ってないのに⁈  それちょっとひどくない?」


 レストランの話やめて。ほんとやめて。


「仕方ない、お前の爺ちゃんの取材は諦めるわ、セカンドライフの邪魔したくないし。せめてこいつから情報とるか」

「そうしてください。爺ちゃん、魔王時代の話は墓まで持って行く、って言ってましたから」

「そうだな、せっかくこんな所まで来たんだし」


 こんな所呼ばわりアゲイン。


 よくよく考えたら、五代前の魔王って『暴虐』じゃん、伝説の光神殺しじゃん、正真正銘の神殺しじゃん。お孫さんがいらっしゃったんですね、とても利発そうですね。仕方がない、ここは折れてやろう命が惜しいです。


「あー、情報が聞きたいならば、答えることもやぶさかではないぞ。ただこちらの質問にも応えよ」

「オッケー平和的に行こう」


 勇者を冥界送りにしたやつの言う平和とは。

 とりあえず手札全部切ったけど、こいつらの髪の毛一本動かせなかった事実はまあ置いといて。


「我は27代魔王、『漆黒』。元の名は捨てた。顕現の月日は知らぬが362歳になるはずだ。種属は魔人。見ての通り女である」

「いや、その玉座の身代わりゴーレムじゃ性別は分からんだろ。とりあえず出てこい」


 外道が無造作に天井に向かって魔力を放つ。

 ピンポイントで我の隠れ場所を暴いてくれやがった。なんでわかるの。


「ほう、あれが魔王の本体か」

「弱そうだなと思ってたら、本当に脆弱なんですね。爺ちゃんを見るだけで死ぬレベルで弱そうです」


『暴虐』のお孫さんが煽ってくる。弱い連呼やめて。あなたのお爺さんと比べないで。歴代魔王最強と比べられても、我、どうしようもないよ?


「話を聞きたいから降りて来たまえ。なに、悪いようにはしない」


 外道がなんか言ってるけど信用できない。絶対めちゃくちゃにされる。脳とか引きずり出されるに決まってる。


「おーい、降りてこないなら、ここから脳髄引きずり出すぞー」


 ほらほらやっぱりやっぱり!

 降ります、降りますから何とぞ五体満足で帰してくださいお願いします。

 浮遊魔法で恐る恐る降りることにする。


「よしよし、降りてきたな。さて『漆黒』とやら、聞きたいことが山ほどある」

「その前に、城の守りはどうしたのだ? 何も聞こえてはこなかったようだが」


 内心のガクブルを面に出さないよう、できるだけ尊大に構える。脇汗が凄いことになってるけど。

 おいエルフ、お見通しって顔でニヤニヤするのやめろ。


「ああ、そのことか。時間を止めただけだ」

「じかんとめた」

「この城で今動いてるのは、僕たち三人だけだ。兵も罠も動かないから安心したまえ」


 それ我に安心要素ないよね?そんな魔法聞いたことないよ?神の御業かな?


「なに、このザラスシュトラ写本があれば造作もないこと。それでまずは…」

「待て、その写本の原典は我らが魔の神が所持していたはずだが」


 我らにとっては、聖典とも言える魔導書だが、なぜ人の身でそれを。


「ああ、これはどうしても必要だったのでな、魔の神をしばき上げたら写本を寄越してきた」

「原典は勘弁してくださいって泣いてましたよ、魔の神」


お前ら人んちの神に何してくれてんの⁉︎ おっかしいだろ、常識あんの? よそんちの神に手を出したらいけませんって、お母さんに言われなかった⁉︎


「昔から言うだろう、無理が通れば道理がひっこむ、と!」


 道理を殺し尽くす勢いで胸張らないで。

 ああ、思えば短い魔王生だった。闘いに明け暮れ、魔族のために心砕き、民の生活が少しでも良くなるようにと願い、必要とあらば人族の殺害も命じた。

 それもこれも、ただ我らの有り様に忠実に生きるためだった。

 我が覇道はここに潰えるのか。


「ところで魔王の生活習慣はどうなってるか教えてくれ」


 あ、はい。


「朝は日の出の前に起き、武術と魔術指南役とそれぞれ一時間稽古、その後に、朝食。我は朝からしっかり食べる方だ」

「ほう、参考までに今朝のメニューは?」


 なんか色々ショックで朝何食べたか思い出せない。いかん、熱心にメモ取ってるこいつに忘れた、などと答えたら脳を引きずり出される。思い出せ、我。えーと。


「思い出せないの? 脳髄出す?」


待って待って! 今思い出すから待って!


「えーっと、乳を子牛を犠牲にして固めた塊、腐らせた果実を挽いた麦に混ぜて焼いたもの、肉を細切れにしてハラワタに詰めたものに、油、塩、香辛料をまぶした葉だ」


 思い出せた! いつも変わり映えのしないメニューを出す料理人よ、ありがとう! お前の変化のない料理のおかげだ、たまには変わったもの食べたい、とか我儘言ってごめんなさい!


「チーズと酵母発酵のパンとソーセージ、それにサラダね。魔族の表現はいちいち独特だな。ちょっと塩分が多いような気がするけど、その前に稽古してるなら、まあ許容範囲か」


 よかった、殺されなかった。思い出してホントよかった。


「はっ! ハイエルフ以外の魔族が野菜語るなんざ、千年早いですよ」


 『暴虐』のお孫さんやめて。そこに食いつかないで。我、食事は任せてたの。野菜の育て方とか知らないの。せっかく助かった心持ちなのに殺気向けないで。


「で、次は?」


 魔道士がメモを取りながら言う。


「もちろん執務だ、時折茶と菓子で休憩も挟むが」

「魔族の茶菓子について詳しく」


 なんでそこに食いつくの。こいつら、ことごとく食いつく場所おかしい。

 そんな尋問が続いて今日で早三日目。


「ところで貴様、飲まず食わず寝ずでいつまで尋問を続ける気か」


 お腹がペコちゃんもいいとこだよ、メイドと執事だけでも戻して!我のお世話させて!

 正直、我が魔王でなければ粗相してるぞ、魔力で頑張って抑えてるけど。


「ああん? 尋問じゃなくて質問だろ? な、そうだろ? な? そうと言えよオラ。それと飯は食えるけど必要ない。魔力を食って生きてるからな」


 脅しながら尋問じゃないと念押ししないで。そんでサラッと人間やめてる宣言しないで。

 あ、そうだエルフは? エルフは空腹だったり、喉が渇いてたりしないんだろうか。


「爺ちゃんの弁当うめえ。それぞれの素材の生かし方がさすがの一言ですわ。味が複合的なんじゃなくて立体的なんですよねえ」


 うまそうな弁当食ってた。爺ちゃんのこと好き過ぎだろお前。


「爺ちゃんは昔っから物事を突き詰めるハイエルフでしてね。軍事、内政、野菜の栽培と収穫時期の見極め、料理におもてなし、インテリアからエクステリアに、神の殺し方まで納得いくとこまでやり過ぎるぐらいで」


 最後が不穏だけど、すごい方なんだな『暴虐』。我も生きていられたら参考にしよう。


「あんたごときが爺ちゃんを参考にしようなんざ、千回生まれ変わっても不可能ですよ」


心読みながら、ベッキリへし折らないで。


「チッ、もう出てくるか。思ったより早かったな」


外道の周りの空間が歪んで、中から人が弾き出されてきた。何があっても、もう我、驚かない。

派手にゴロゴロ転がってムクリと起き上がる人影が三つ。


「貴様! 大賢者! 私達を冥界に送るとはどういう了見か! 返答次第によってはここで斬る!」


こいつ、もう見るからに勇者じゃん、剣も鎧も不自然なまでに光り輝いてるじゃん。金髪がバチバチと稲妻を纏って輝いてるじゃん。光の圧がものすごいことになってますよ。

「勇者は光の圧がすごかった」って報告読んだ時は何言ってんだこいつ、って思ったけどこういうことか。


「待って、彼にも事情があったのかもしれないわ。彼は仮にも大賢者、まずは話を聞きましょう」

 きっと聖女なんだろうな、蒼い髪にグリーンの瞳がいかにも癒しの存在ですってオーラを醸し出してる。さすがにお綺麗な格好ですね。

 我、衰弱しきってるから対比が酷いことになってる。自慢の紫髪も名前通りの漆黒のドレスも薄汚れてボッサボサですよ、ボッサボサ。


「おい、冥界の魔物ってすげえな!いくら倒しても復活してくんのな。倒し放題だったぜ!時間無制限食べ放題かと思ったよ!」


 体の急所だけを革鎧で守り、神具であろうガンドレッドとレガースを装備した、この陽に焼けた短髪の脳筋ぽいのは戦士だろうか。闘い続けることを嬉しそうに食べ放題に例えるあたり、だいぶ頭が残念なようだ。


「右からシャイニング直情バカ、人族至上思考停止バカ、脳筋バトルジャンキーバカです。ここに我がエクストラ外道バカが加わって勇者パーティーです。バカ四人衆が揃いましたね」


 仮にも勇者パーティーをバカ呼ばわりとか、このエルフも大概だな。


「よう久しぶり、ハデスは元気だった?」

「めっちゃ元気だったよ!!!」


 シャイニ…勇者がキレ気味に答えた。

 ハデスって冥界の主神ですよね、お知り合いなんですね、さすがに驚くのも売り切れだと思ってたら、まだまだ引き出しあるんですね。

 あの、我、もういいですかね、もういいですよね?


「お? ひょっとしてあんた魔王?」


ひっ! 脳筋がこっち見た!


「違います、通りすがりのザコ魔族です」


 こっち見ないでくださいませんか。

 おい聖女、我がボッサボサだからって、あからさまに蔑んだ目を向けるんじゃない。あとエルフは爆笑すんな。


「申し開きがあるなら聞いてやろう、なぜ私達を冥界に送った⁈」

「なにか理由があったのでしょう? あなたに悪気はないはずよ、お願いだから理由を聞かせて?」


 勇者と聖女が外道に詰め寄る。

 どうでもいいけど聖女、息子が学校で問題起こした過保護の母親みたいになってますよ。


「雑魚でもいいや。おい魔族、一戦やろうぜ」


 脳筋は黙ろう? この緊迫した空気、只事じゃないよ?


「よろしい、ならば答えよう」


 その刹那、物理的な圧力を感じさせるほどの、膨大な魔力のプレッシャーが射干玉を支配する。

 やめて! 壊れる壊れる! 射干玉壊れる!

 もうお前が魔王でいいじゃん。我、自分のキャラが薄過ぎてイヤになりますよ。

 人族よ、これ完全に過剰戦力だろがよ。我をオーバーキルする気満々じゃん。


「僕は魔族と闘うため、その生態を探っていた。属性や弱点、闘い方のセオリーを知るためだ」

「……ああ、それが役に立っていた事は認めよう」

「そうね、あなたの知識のおかげで窮地を凌いだことは幾度となくありました」

「なあ、もっぺん冥界に送ってくれよ、ケルベロスとの頂上決戦がまだなんだよ」


 もう一回言うけど、脳筋は黙ろう?


「そして僕は気付いたのだ」


 外道が次に何を言うかと、皆が固唾を飲む。


「魔族の生態って面白い!と」


 パアッと輝くような笑顔とともに、外道が心底楽しそうに言い放つ。

 これはあきませんわ、申し開きもくそもございませんわ、さすがの聖女も庇えませんわ。


「これは研究に値すると! これが僕に与えられた使命なのだと! 故にお前らは邪魔なのだ!」


 さらにダメ押ししてくれやがった。


「お、の、れ、おのれえええ!」


 勇者が電光石火の踏み込みで外道に迫る。剣もご本人もピッカピカですよ、眩しくて直視できませんよ。

 対する外道は。

 左手の杖を手放し、中指を握り込んで勇者の踏み込みに合わせる。

 バギン!

 剣が折れた音がしたかと思うと、途轍もない爆発が辺りを襲う。

 射干玉にキノコ型の雲がそそり立つ。

 うわー! おい! 我が魔王じゃなければ死んでたぞ! むしろちょっと死にかけたぞ! なんで生きてるの、我!

 あ、脳筋さんが守ってくれてましたか、すいません、ありがとうございます。


「雑魚なんだから気にすんな!」


いい笑顔で頼もしくもイラッとさせる脳筋。まあこの場じゃ我が一番ザコいから仕方ないですけどね。ホントこいつらヤダ。


「なあなあ、原子崩壊デコピンってこんな感じ?」


外道が、嬉しそうにエルフに尋ねる。エルフは苦虫を噛み潰したような顔で応える。


「チッ、話を聞いただけで再現……いや聖剣仕様に特化しやがりましたね?こ れだから天才はイヤなんですよ」

「よし、面白い技が手に入った。魔王云々抜きにして、やっぱりお前の爺様に会いたいな、実に素晴らしい発想だ」

「……爺ちゃんに聞いときましょう」

「おお! 頼んだぞ!」


 ニコニコしてる外道。対する勇者は。


「せ、聖剣が、折れた? いや、蒸散した?」

「まあすごい。さすが大賢者ね」


 聖女、外道を全肯定し過ぎだろ。


「なぜだ、なぜそんな力を! まさか魔族の操る闇属性に身を委ねたのか!」

「聖剣は光属性、それに対抗できるのは闇属性、だから聖剣が破壊された、とでも?」

「違うというのか!」


 勇者がえらくヒートアップしてる。

 脳筋とエルフと我は蚊帳の外です。よかったら魔族のお茶菓子ですけど食べます? 我もお腹すいたし。チーズケーキぐらいしかありませんけど、あ、スフレタイプです、お口に合えばいいんですけど。

 どこに置いたかな、ちょっと探しますね。確か闇の間の戸棚だったかな。


「光属性の武器に、勇者の光のオーラを乗せた状態が、魔族の闇属性に対抗する手段である。そこまではいいな?」

「だからなんだというのだ! オラダラッシャラア!」


 勇者めっちゃおこですね。荒ぶる勇者ですね。


「だが、同じ光属性同士ならどうだ? 僕はただこの中指に光属性を乗せてデコピンしただけだ。同じ属性なら素材の優劣が結果を左右するが、僕のデコピンは物質の結びつき、それ自体を破壊し質量そのものに秘められたエネルギーを開放したのだ」

「それ、爺ちゃんは核分裂と呼んでましたね」

 『暴虐』うぅぅぅ!なんつー技を開発してやがりましたか! 伝えて! 代々の魔王に伝えてその技!

「な、なに……」


 勇者、あからさまに動揺してる。


「来ますよ、やつのセカンドモードが」

「久しぶりにアレが見られるのか、冥界ではとうとう出なかったな」


 エルフと脳筋がチーズケーキ食べながら実況してる。

 え、ひょっとしてまだ強くなるのあれ。怒ったら強くなるとか、絵物語の類いだと思ってたけど、実際にそんなことあるの?


「剣を、聖剣を折られてしまった……もうダメだ、私、ダメ・オブ・ザ・勇者だ……歴代最ダメ勇者決定だ……」


 予想と違う。


 剣と鎧の光も消え失せ、しおしおと崩折れる勇者。輝いてた金髪もくすんで乱れてペトってなってる。一体なにが起こった。


「出た! やつの固有スキル『ハイ&ローテンション』。テンションが高いうちは身体能力も思考能力も精神力も全てが強化されるけど、心折られると全部が弱体化の呪いに転化する、わけのわからんスキル!」

「だはははは!へこんだへこんだ!ここ数年では最高の出来のへこみっぷり!」


 新作のワインみたいに言うな脳筋。エルフも楽しそうだな。


「さて、いつもならここで聖女のスキルによるフォローが入るはずですが」

「発動しねえな『憐憫の翼』。なんでだ?」


 脳筋とエルフが首を捻る。

 なんだろうそのスキル。人族って変わったスキルのやつ多いんだな。ところで、脳筋とエルフがこっち見てなにやら首肯してるのは、なに?


「こいつか」

「間違いなくこいつですね」


 なにが?


「勇者の『ローテンション』が出るときは、心折られたとき、つうのはさっき言いましたよね?」


 はい、聞きました。


「その場合、自動的にその場で一番弱い対象を無限に癒し、慈しむ聖女のスキル『憐憫の翼』が発動するんですよ。いつもならへこみ勇者がそのスキルの恩恵に与るんですがね」


はあ、そうなんですか。それが我となんの関係が?


「お前はあの状態の勇者より弱いってこった」

「その場で一番の弱者が、へこみ勇者じゃないパターンは初めてですね。なるほど、こうなるんですね」

「でもスキルが発動してるはずなのに、そんな気配ないよな?」

「そりゃ人の神の与えたスキルですから、魔族には影響ないんでしょう」


 え、つまり、この場で一番ザコい我にスキルが発動したけど、我、魔族だからなんの恩恵もないってこと?

 ちょっと待って。あそこで三角座りして地面になんか書いてるしおしおの勇者より、我、弱いの⁈勇者、枯れてるよ! 枯れきってるよ! 我、マジであれより弱いの?


「腐っても勇者ですよ。あんたごときが何言ってんだか」

「ははは、さすがに雑魚では無理だぞ!」


 ごとき & 雑魚呼ばわり。

 そりゃ確かに実力的にこの場では雑魚だけど、一体この場はどうなるの。我、これでも魔族の行く末を考える立場なんだけど。


「それにしても聖女は外道にご執心ですね、なんであんなのがいいんでしょうね?」

「わからん、しかし外野として見てる分には面白い!」

「たしかにその通りですね」


 なんだよ、なんだかんだ、こいつらも外道大好きっ子かよ。

 しかし、ここは魔王としてどうしたものか。なんとか対等の講和に落とし込まねばならぬ。こいつらにまともにぶつかったら、魔族全滅するぞこれ。

 端的に言うとこいつら怖い。

 魔王のプライド?んなもんスライムに食わせとけ。


「あー、魔族代表としては講和をしてもいいのだが、人族を代表できる者はここにいるか?」


 萎れ勇者以外が目を見合わせてる。外道が口火を切る。


「聖女か?あれで王女だし次期連合国盟主だし」

「聖女ですね」

「聖女だろうな」


 皆の注目が集まる。戸惑う聖女。


「あっ!」


 びっくりした、どうしたの外道。


「それはひょっとしてお前が言ってた魔族の茶菓子か!」


 さっき戸棚で見つけたこのチーズケーキ?

 そういえば人族の住まう世界には甘いものがほとんどないと聞く。

 我らにはハニーアントという魔族が、芋や麦の澱粉から種族の秘密のなんやかんやして糖蜜を精製してくれるから、甘味が広く普及している。

 嗜好品ではあるが、そんなに高価なものでもない。ちょっといいおやつに使えるぐらいには当たり前のものだ。


「ハニーアントの糖蜜ですか、爺ちゃんが個人的に取引してますね。デザートが美味しいと女がつかめるし、女つかんだら男もついて来るからって言ってましたっけ」


 『暴虐』、身も蓋もない経営論ですね。

 あと我、ハニーアントの件、初耳ですが。よく人族の勢力圏で魔族から仕入れできるな。


「うまいな!魔王から話は聞いたけど、本当にうまいもんだな!」


 外道が手掴みでチーズケーキ貪ってやがる。お前が魔力食わずに、普通に飯食ってればデザートくらい出したよ。

 時間が止まってるからか、ケーキの風味は損なわれてないようで、そこは良かったけど。

  聖女は上品にフォークを使い、神に感謝しながら泣いてるし、脳筋は脳を使わないからか、一切れ食べたらもういらない、だと。エルフは久しぶりに食べたけど、食べ慣れてるから欲しいやつが食えばいい、と。

 あ、勇者はさっきと変わらずに萎れてます。


「聖女よ、いきなりの講和は無理でも、休戦して交易くらいならできるんじゃないか?」


 外道がケーキのかけらを口のまわりにつけながら、外道らしからぬ穏健な提案をする。

 甘味にやられちゃいましたか。ありがとうハニーアント、魔族はそなたらのおかげで助かるやもしれぬ。

「それよりもハニーアントだけ奴隷にして、他は殲滅しては如何でしょう?」


 おい聖女おおぉぉぉ!!お前聖女だろ、なに涼しい顔で奴隷とか殲滅とか言ってくれちゃってんの!できそうだからやめて!


「あの女、人族の神の祝福受けてますからねえ、魔族に対して非情なのは仕方ないんでしょうね。むしろそれが役割ですし」


 エルフが身も蓋もない宣告をする。 待って待って!


「住み分け!住み分けを提案したい!魔族と人族の境界、及び緩衝地帯を設定しようではないか」

「その提案にこちらのメリットはないですよね?」


 ないんだよな畜生。考えろ、我。打開策を絞り尽くせ。でないと魔族滅びるぞこれ。


「レ……」

「レ?」

「レシピがある。人族では糖蜜をどう調理すれば良いか、わからぬであろう。こちらには高級な菓子から子供のおやつ、料理への利用まで研究が進んでおる。例えば煮込んだお肉をパサパサにしない方法など、下ごしらえにまで糖蜜を使っておる。それらの技術を交流という形で提供しよう。どうだ?」


 どうですか。マジで優位に立てるのが食べ物しかないのは、魔族ながらどうかと思うが、打てる手は全部打つしかない。


「わかりました」

「わかってもらえたか!」

「ハニーアントと料理知識を持つ魔族以外、殲滅ですね」

「わかってもらえなかった!」


 やばい、こいつはやる。やる奴特有の静かに据わった目をしている。一言で言うと、狂気を孕んでる。どうしよう、我は暗愚と罵られても良い。だがここは魔族の歴史が終わるかどうかの瀬戸際だ。例え泥を啜ろうとも、魔族の芽は残さねばならぬ。

 聖女一人なら、なんとか我を犠牲にすれば、道連れにできるやも知れぬ。魔族の行く末を見届けられぬのは残念だが、ここは


「はい、注目ー」


 外道が気の抜けた声を上げる。

 なんなの。我、今決死の覚悟してたとこだよ。


「はい、自己紹介よろしくね」


 なんというか、矛盾してるけどキラキラでボロボロな人物を引きずってる。誰なのそれ。


「貴様、人の身でありながらこの様な…許されるなどと、ひっ! ごめん!  中指やめろ! デコピンしないで!」

「はい、自己紹介よろしくね? 何度も言わせないでね?」

 ニッコリしながら脅しつけてやがる。なにがあったかは知らないけど、例のデコピンでさんざんやらかしたんだろうなあ。

「聞け聖女よ、人の子らよ、そして穢らわしい魔族よ」

「そういうのいいから」

「あ、はい、すいません。ゴホン」


 そいつが居住まいを正すと、瞬間、神気が周囲を満たす。痛い痛い!魔族にはキツイわこれ!


「此の身は人族の神にして世界の創造主である」


 厳かな声で宣言する。

 まあそうじゃないかとは思ってた。魔神を殴りつけて、聖典の写本脅し取ったやつだもんな、他の神にもやるだろうなあ。


「ようやく自己紹介できたな、よろしい。でもこいつが創造主ってのは嘘だから。こいつ人族限定の神だから。さてみんな、そんな身分詐称する神からありがたいお告げがありますよー、拝聴拝聴ー」


 神相手に積極的にプライドを折っていくスタイル。人族の神、プルプル震えてる。


「聖女よ、魔族殲滅の志、実に頼もしく思う」

「神よ、畏れ多くも有難き幸せにございます。魔族の殲滅を御身に捧げたく存じます」


 終わった。

 よりによって人族の神に魔族殲滅を誓いやがった。もうこうなっては、聖女一人を道連れにもできなくなった。人族は我ら全てを殲滅するまで止まらぬだろう。

 皆、すまない、我の不甲斐なさを怨んでくれて構わぬ。一人でも多く逃げて欲しい。ここは神相手とは言え、時間稼ぎにせめて一矢を


「だが殲滅は禁止とする。魔族との講和を目指すがよい。これは此の身の勅令と知れ」

「御身の御心のままに」


 なんで毎度毎度、我が覚悟決めるとあっさり解決するの。


「これでいいんだろ! 覚えとけこのクソ魔導師! あ、いや、冗談です冗談。では、此の身はこれで」


 人族の神がいそいそと消えた途端、パキィン!と鋭い音が三ヶ所から聞こえた。見ると、勇者の剣の残った部分と鎧、聖女の杖と首飾り、脳筋のガンドレッドとレガースが粉々に砕け散っていた。


「ぁ…あ……剣が、鎧が、ぁああ」


 萎れ勇者がさらに萎れていく。えっと、お爺さんみたいになってるけど大丈夫?


「あれ、私、は、こんな、所で、なにを?」


 聖女がオロオロしてる。もしかして操られてたの? だとしたらエグいな人族の神。


「おい神様! 次会ったら一戦やろうぜ!」


 脳筋はもうブレがなさすぎて。

 もうちょいブレた方が周りも幸せになると思う。こいつホントに人族かよ。


「無事に解呪されたか。神器で使徒を縛らぬと悲願も達成できないヘタレ神めが」


 勇者たち呪われてたの?


「まあ人族には呪いでなく、福音や恩寵と感じられるでしょうね。しかしあの程度に操られるとか、さすが愚か者どもですね、脳筋以外。バカには効かない呪いのようです」


 エルフの神ディスがハンパない。こいつ、ひょっとして外道の次にヤバイんじゃ?


「さて魔王、貴様は人族との講和が成れば引退したまえ。この弟子が次の魔王だ」

「なに言ってんすか、このイカレ。やるわけないじゃないですか」

「ほう、お前の祖父が魔王在位中にできなかった、人族との繁栄を作るチャンスなのに?」


 その言葉を聞いたエルフが、ハンっと外道を見下すように嘲笑う。


「爺ちゃんは人族との繁栄なんざ望んでないですよ。人に紛れてるのは自分の研鑽の結果を試したいだけです。魔族はセンスが悪すぎて物足りないって言ってましたがね」

「なるほど、お前の祖父ほどの者でも人に学ぶものがあると言うことだな」

「……なんでそうなるんですか」

「正当な評価というものには、それに値する相手が必要だ。それが魔族ではなく、人族だという意味をもう少し考えるんだな」


 あ、煽られて悩み始めた。

 爺ちゃんが…いやいやハイエルフの矜持が…でもそれ言ったら人族相手に店やってる今の爺ちゃんの立場が…。そういえば「人族相手は勉強になる」って何回も言ってたな…。

めっちゃ悩んでる。

 我? もう限界。もう魔王無理。あんな連中とやり合うの無理。

 萎れ勇者と動転してる聖女はともかく、脳筋は呪いもクソも関係なさそうにテカテカしてやがるし、神にデコピン喰らわす、この外道に至っては何をかいわんや。

 一言で言うなら、人族怖い。

 人族を怖がる魔王ってなんだよ、ゴブリン以下かよ、そりゃ魔族のために一度ならず命を捨てる覚悟はしたけど、助かるもんなら助かりたい。

 我、いや、私、前職のフラワーコーディネーターに戻るんだ。魔王時代の給料には手をつけてないから、あれを元手に会社を興して魔族雇って、結婚式や祭典の花を飾ろう。

 魔王やってたお陰で顔も売れたし、元から売れっ子だったし、魔王業の傍ら、登記と経理も勉強したし。

 そもそも魔族の神の加護を急にもらって魔王になったのも成り行きだ。

 せっかく取ったフラワーコーディネーター バアル級の資格、活かさずしてどうする!


「さて『漆黒』、貴様には僕の助手になってもらう」


 はい、夢破れた。秒で夢壊れましたよ。


「あの、理由を聞いても?」

「え? 魔族に顔売れてて大体の繋ぎが作れるだろう? あのエルフじゃその辺が弱いからな、営業力の差だな」


 営業力。

 我、魔王だけど営業力買われたの?


 こうしてフラワーコーディネーターの夢が破れた元魔王の私は、外道のアシスタントとして、魔界のあらゆる場所で営業、もとい外道の助手ををする羽目になりました。

勢いだけで書いた短編です。長編に膨らませようもないなあ、と書き終わってから思いました。だめじゃん。

少しでもお楽しみいただければ幸いです。

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