第17話 幼馴染に「かわいいね」って言ってみたら、顔を真赤にして照れまくった
分かるぞーその気持ち。
めっちゃ気恥ずかしいよな。
どういう反応していいのか分からなくて。
まあ一華に関して言えば、嘘偽り誇張なく、全部本当のことなんだけどさ。
「……も」
「も?」
「もう一回……言って」
食いついてきやがった。
いいぜ、何度でも言ってやる。
「一華、お前可愛いよな」
はううーといった感じに目を閉じる一華。
そのまま机に突っ伏すと、ちらちら視線を送りながら聞く。
「じゃ、じゃあ……私とあの女だと、どっちが可愛い?」
あの女って識さんのことだよな?
上手く話は逸れたが、なんか変な方向に向かってないか?
……まあいい。
俺はあごに手を当てると、識さんの容姿を今一度思い出してみた。
きらきら輝くセミロングの茶髪、可愛らしい猫顔、抜群のスタイル……。
初めて話したのは確か保健室のベッドの上で、その後いきなり覆いかぶさってきて……あの豊満な胸が俺に当たって……。
おおっといけない!
イメージがあらぬ方向に!
頭を振り追い出すと、次に俺は一華を見てみる。
腰まであるぼさぼさの黒髪に愛嬌のある犬顔。
一見地味にも見えるが、肌が雪のように白く顔が整っているため、異様な魅力が身の内から滲み出ている。
問題の胸はというと……うん、小さい。小さいが、それはある意味慎ましやかともいえるかもしれない。
「あのー」
しかし識さんの胸、まじで凄かったなー。
「あのーすみません」
おでことおでこを引っ付けた時なんて、超いい匂いしたし。
「あのすみません!」
「――あっ、はい!」
ようやく気付く。
顔を上げると、そこには眼鏡をかけたおとなしそうな女の子がいた。
どうやらこの席の生徒のようだ。
「机から荷物を出したいから、ちょっといいですか?」
「あ、ごめん」
「あ、いいですよ。座っててもらって」
そういえばこの子、どこかで……。
不意に脳裏に蘇る。
数日前の、保健室での光景が――
体操着で前を隠す女の子。
俺の手の中で花開く生温かいパンツ。
――『それ、返してください!』
ああっ! あの子か!
カゴに足を引っかけて、着替えをぶちまけちゃった。
今はしっかり制服を身にまとっているけど、この子、ああいうパンツをはくんだな……。
女の子が去ったところで、一華がもう一度聞いた。
「で、私とあの女、どっちが可愛い?」
まだ続いてたんだ……その話。
「ねえねえ、どっち? どっちが可愛い?」
「う、うーん……」
「何それ? 私もちょっと気になるし」
がばっと、突然後ろから抱きしめられた。
この声、そしてなによりこの背中に当たる柔らかい感触は……。
「し、識さん!? じゃなくて日和??」