決着①
作戦はこうだ
熊撃退にメインチームはハク、誠、クリスが担当
遊撃隊の様に臨機応変に対処する。
指示はハクが行い、各班に分かれて罠を張る。
道路は町の中心部比較的大きい交差点を中心に実行
其処は東と西は道幅が2車線、
北と南は1車線の住宅地に通じる。
此処に先ず誘導する、その餌となる囮には健が
買って出た、ハク達や御堂達は無論反対はしたが
健は自ら買って出ることにより父の尊厳や母を守る
と言った決意が固かった。
弱い子供が囮になるのは合理的だった、
平和な時代なら非難の的だろう
だが今は全てが終わる緊急事態だった……
パンデミックにしろ侵略にしろ、自分は大丈夫と
言う傲慢さに人は容易く流される。
だが誰もが側にある人生の終わりを意識しない
それは子供であろうが大人であろうが強かろうが
病人であろうが容赦無く平等にやってくる、
自分は特別?違う世界の話?
その傲慢さが家族や大切な人の人生を終わらせる
さらに自分の人生を終わらせる……
子供だって親を守っている、親だって
子供を守っている、今、皆が守りあってこその
安全な作戦が始まる。
健の決意に渋々合意した御堂父、
指示が出せるハクは移動が多く弱そうに見える
囮としては良かったが彼には彼の役割が
あったからだ、それを察しての健の気持ちに
感銘を受けたのもあった、彼も立派に皆を守ろうと
護衛にハクは仲の良い信頼関係が厚く実力も充分な
クリスを指名した。
ハクは常々言っている事がある、大人より
子供の方が余計な知識が無い分、純粋で根本的な
人が一番大事にしているモノをもっていると
純粋が故に暴力や悪にも染まりやすいが大人が
そのものを示さなければならないと
大人になり人は知識を得る、そして其れは同時に
歪みを伴い易い、人が漫画や映画に感銘を
受けるのは心の中の大事なモノ、忘れかけたモノに
響くからだろう。
御堂「健……今更ではあるが、やめてくれないか」
健「……僕はやるよ、出来る事をやる、
じゃないと、皆んなが全滅したら、
その時は同じ結果になるだけじゃない……
お父さんにも役割があってお母さんにも役割がある
僕の利点は子供という餌に見える大人よりも
優位点があるもん」
御堂「くっ……わかった」
「ハクさん……健は大丈夫なんですよね?」
ハク「大丈夫」
しっかりとしたチャラけた表情を一切見せず真顔で
答える彼を御堂は信用し深々と丁寧に頭を下げた。
そしてクリスにも深々と頭を下げた。
御堂「クリスさん今までの非礼すまなかった
学が無いから上手く言えないがすまなかった」
「一度殻を破ると素直に謝れるモノなんですね……
今までは謝る事が負けの様に感じてました」
クリスも御堂に同じく頭を下げる。
クリス「健は素晴らしい男だ、其れを育てた
アンタや奥さんに敬意を表する」
「そして俺に守らせてくれる事を感謝する、
必ず健のことは俺が守ると今此処に誓う」
健の耳にそっと語りかけるハク
ハク「いいお父さんだね、彼は自らの行いを後悔し
正す事が出来た人だ、これは出来そうで出来ない
事なんだ、健の父さんは……」
親指を立て笑みを浮かべ健に向けた
「かっこいいぜ!」
父を褒められて嬉しそうな表情な健だった。
健「うん!ありがとう」
ハク「彼の為にも頑張ろうな、そして御堂さんの
想いもシッカリ僕の中に伝わった、この気持ちが
また力となる、僕も君のお父さんの為にも
必ず成功させて見せる」
「……って言っても本当に簡単なんだけどねw」
健は不安そうな顔を浮かべてはいたがハクの一言に
安堵感を感じる。
「簡単なの?」
ハク「ん?簡単だよ?人はね道を探す事が出来る
つき詰める事も出来る、道は一つじゃ無い、
諦めの道は進歩がない、つまり一つだけど
諦めない選択肢は人が団結すればその数だけ
無限に広がるんだ」
両手を広げ満面の笑みを浮かべた。
健の緊張感が薄れてゆく、其れほどにハクは余裕の
表情でいたに他ならない。
絶望とは違う希望しか見えないハクに
そして作戦は始まった……
集会所総員103名
誠のバイクにハクが乗りまずは誘導作戦だ。
交差点に建つ高いビルに四方を囲む様に
集会所の人員を各2名配備、これで全体を見渡す
事が可能となった。
更に交差点から500m程、離れたビルにも人員を
配置此処には3名ずつ、担当は子供と女性を中心に
配備、これで20名の目で戦いの場中心に死角を
無くした。
そして東西南北に分かれた通路に各20名系100名
を配備し準備は整った。
ハク「さぁ!負ける道理は一つもない!行くよ
皆んな!恐怖を感じたら守りたい人を想い浮かべて
その時、自分は恐怖に負けてももう一つの思いが
その恐怖から救ってくれる、独り身は未来の
奥さんや旦那さんを想像して!」
「今貴方が倒れたら、その人も不幸になる、
未来は作るんだ!行くよ!」
『オオオオオオオッ!』
歓声が上がる、そして二つのエンジンが鳴り
響いいた、青い空に暴走音は振動となり人間の
英気を上げ熊達には居場所を伝えた。
人に怯え、縦横無尽に駆ける熊を相手に罠を
仕掛けるのは容易では無い、しかし、ゾンビ熊達は
ほぼ一定の間隔で群をなしている事。
普通なら何も無い状態で無作為に行動しては人は
身体的能力で熊に立ち向かうことは困難だ。
圧倒的な力に勝つには別の力、それはスピードで
あったり文明の力であったりする、今ある力を
最大限に使い敵に打ち勝つ方法それは……
ハク「数にも圧倒的にこちらが有利、それに
人間には頭があるからね」
彼はそう言った。
高いビルに配置した報告では半径50mを中心に
二つに分かれて行動する熊であった。
ハクの指示で交差点には仕掛けが何重にもあった。
明るい朝に必要な物を運び出していた。
大層な物と言えば元ある杭にそこら辺に無数にある
自転車から取ったチューブに木材、あとは現地調達
すると言ったいい加減なものだった。
誠がビルの見張りの誘導で群れの一つの前に
バイクを止めアクセルを吹かしまくる。
誠「熊おら!来いよ!」
けたたましい音に反応し警戒しながらも近く
ハクはバイクから降りてゆっくりと近く
その間は誠は威嚇を止めハクを見届けた。
弱そうなハクに視線が移り、音のしなくなった
環境に安心したの熊は一斉にハク目掛け走り出した
ハク「よし食いついた!さすが僕、美味しそうに
見えるとは……」
呑気に感心するハクに手で目を覆い空に向かい顔を
あげる誠
誠「呑気なやっちゃ……」
誠はエンジンを吹かし一気にハクを拾う
交差点に誘導する様に一定の速度を保ち走った。
意識をこちらに向けさせる為、そしてビルにいる
見張りに、罠を仕掛ける人達に自分の位置を把握
させる為、数分置きにケタたましい音を立てながら
進むのであった。
ハク「順調、順調♪」
健側も同じ作戦で熊の群を呼び寄せていた。
クリスは慎重に、かつ安全に健を守りながらも熊の
誘導に成功、けたたましい音はハク達にも聞こえ
作戦の成功を知らせていた。
時間の誤差は10分とし、同時に罠には誘導しない
そこは保険に保険をかけたハクの指示であった。
安全性を高める為に先に罠を仕掛けるのはクリス達
が誘導する側であった。
そして熊は撃退したゾンビ熊達とは違った、
恐らく群れとして同時に行動していなかった理由と
してあげられるのは
敵対する群であったと思われた。
誠、クリスが撃退したゾンビ熊の方が強く群れては
いたものの、その範囲は大きかった、
個々の力が強いからこその単独行動に近い行動範囲
の大きさであると思われた。
この集団は『かの熊よりも弱い』故の集団行動の
密接、だが数は勝っていた故の敵対勢力だった。
群れの塊は以前の熊達よりは密集している
それは強さでもあり人間の張る罠としては優位点
に他ならなかった。
ハク「さぁ物語としては盛り上がりに欠けるけど
一気に行くよ」




